■二十才になれば / 佐井好子 (クラウン)
さて、今日は成人式なれど、サイケおやじのような者にとっては、その日付が毎年変わるようなシステムには、どうにも納得出来ないのが本音です。
やっぱり記念日ってのは、確固として定められてこそ、意味が強くなるんじゃ~ないでしょうかねぇ。
しかし、さりとて、サイケおやじがリアルタイムの1月15日の成人式に出たかと言えば、そんなこたぁ~、ありはしませんでした。
なにしろ成人ともなれば、ありがたい(?)選挙権がいただけるわけですが、その本質は国家体制に組み入れられる事に他ならず、おまけに式次第の挨拶という名目で説教たれる政治家の先生方にとっては、そこに居並ぶ新成人は「票」と「税金」の頭数、つまりは自分達のメシのタネにしか見えていないはずですから、高所から見下したその態度には必然性がイヤミなほどでしょう。
なにもそんな所へノコノコと出かけていく愚行よりは、堂々と缶ビールでも飲みながら、成人映画を観ていたほうがマシというのが、当時のサイケおやじの今も変わらぬ天の邪鬼でした。
まあ、そのあたりの事は、現代の新成人の皆様にも重々承知なんでしょう。
男も女も、ここぞとばかりに非日常的なスタイルに身を包み、久々に会う友人知人とワイワイ騒げる大儀名分を与えられる日なればこそ、それは祝祭!
むしろそうやって為政者や権力者をジコマンさせる意義は、しっかりと持っているにちがいありません。
そこで本日掲載のシングル盤A面曲「二十才になれば」は、まさに逆説的成人の意義を歌い、なんとかなりそうで、実は袋小路に迷い込むであろう大人の世界を怨嗟するが如き、これが如何にも発売された昭和50(1975)年の気分がどっぷりの哀愁フォーク歌謡なんですから、たまりません♪♪~♪
う~ん、このネクラなムードの良さは、今も享楽的に生きようとしているサイケおやじを本音で胸キュンさせるんですから、全く自分は昭和者!?
そして歌っている佐井好子は関西フォーク系のシンガーソングライターとして、同年にデビューし、その実質的な活動期間であった4~5年でオリジナルアルバム4枚と数枚のシングルを残してくれました。
この「二十才になれば」は、おそらくはデビュー曲でしょう。
実は告白すると、サイケおやじはリアルタイムでこの歌が気になっていたのですが、決して直ぐにゲットしたわけではありません。
ところが彼女のレコーディングに大野雄二が関係している事を知ってしまえば、そのブルージーなサウンドの作り方や時として十八番のジャズフュージョン味が滲み出たアレンジと演奏は、残されたアルバム諸作に顕著なんですから、後は一気呵成にレコードを集めたというわけです。
それらは追々ご紹介致しますが、気になる皆様はとりあえず1stアルバム「萬花鏡」と3rdアルバム「胎児の夢」をお楽しみ下さいませ。
しかし主役はあくまでも佐井好子が自作自演の歌であり、そのオドロでありながら清らかな世界観(?)が、独りの女性の心情から幻想と退廃に彩られて伝えられれば、後は自ずと聴き入ってしまうわけですよ。
もちろんサウンド面だけでなく、佐井好子本人のボーカルも最高!
極言すれば、ハードボイルドなフィーリングさえ、強いんです。
あっ、そういえば当時のロマンポルノには、密かに彼女の歌が映像のパックに流されていた事が多々あったんですよねぇ~♪
ということで、せっかくの成人の日に免じて、本日はベタな選曲になりましたが、これを機会に佐井好子の世界にもどっぷり浸り込む♪♪~♪
それもまた、素敵な祝日ですよ。
最後になりましたが、彼女の世界は浅川マキ、あるいは中島みゆき、そのあたりの歌手と比較される事も多いんですが、それはリスナーの十人十色の思い入れでしょう。
当然ながら、佐井好子は決して流されるようなミュージシャンではありません。
現在では未発表だった音源も含めて、復刻CDが出ていますので、ぜひっ!