OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ハードバップ王道派

2007-12-02 16:50:03 | Weblog

勤務地へ戻ってみれば、どしゃぶりの雨! 雪でなくて良かったとはいえ、先が思いやられます。

そして今日は、これからバンド練習♪

その前に気合を入れるために、こんなん聞きました――

Byrd's Word / Donald Byrd (Savoy)

野球なら剛速球勝負、相撲な立合い一気の寄り! それが魅力と感じるならば、モダンジャズでもアドリブ一直線が美しいと思います。

このアルバムは、特に凝った仕掛けを排除した正統派ハードバップの1枚ですが、気合の入ったアドリブと熱気に満ちた演奏のバランスが秀逸で、密かに愛聴しているファンも多いのではないでしょうか。

録音は1955年9月29日、メンバーはドナルド・バード(tp)、フランク・フォスター(ts)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、ケニー・クラーク(ds) という王道派が揃っています。

ちなみに時期的には、ドナルド・バードとポール・チェンバースがジョージ・ウォーリン(p) のバンドレギュラーとして活躍中、フランク・フォスターはカウント・ベイシー楽団に在籍して注目を集めていた頃かと思われますので、新進気鋭の勢いが見事――

A-1 Winterset
 フランク・フォスターが書いたファンキーな名曲で、どっかで聞いたことがありそうなのがミソ♪ そしてドナルド・バードがクリフォード・ブラウン直系の流麗な歌心を披露してくれます。後年に比べると慎重というか、丁寧な吹奏が実に良いですねぇ~♪
 かなりスピードがついていながら、決して乱れないリズム隊の爽快な雰囲気も素晴らしく、特にケニー・クラークの躍動的なドラミングは、この人の過小評価を覆すものかと思います。
 またフランク・フォスターが、これまたワーデル・グレイ系の滑らかにうねるスタイルで、好感が持てます。
 さらにハンク・ジョーンズが、もう最高! 品格漂うアドリブメロディと小粋なノリ、柔らかくてメリハリの効いたタッチ♪ 言う事なしの快演です。
 そしてクライマックスはドラムス対ホーンの対決なんですが、ここでフランク・フォスターが「貴女と夜と音楽と」を引用したフレーズを出せば、ドナルド・バードが吹いてしまうのは、あのジョン・コルトレーンが十八番にしていた「Mr.P.C.」のテーマメロディなんですねぇ~~!!! う~ん、これには元ネタあるんでしょうか!?

A-2 Gotcha Goin' N Comin'
 ポール・チェンバースのベースがリードする真っ黒なハードバッブで、ミディアムスローのグルーヴィな雰囲気がたまりません。ケニー・クラークのドラムスもハードボイルドですし、忍び足で入ってくるハンク・ジョーンズのピアノが、これまた絶品♪
 そしてドナルド・バードがブルースに託して歌い上げるハードバップ賛歌が素晴らしく、何の衒いも迷いも無く、ただ王道を行く潔さ! 何度聴いても飽きませんねぇ~。ズバリ、ファンキー!
 またフランク・フォスターの基本に忠実なスタイルも捨てがたく、ギスギスとしながら、時に冷静なフレーズの積み重ねは、なかなかクールではないでしょうか。
 そしてハンク・ジョーンズが、ここでも素晴らしい限り! 実は最初に聴いた時にはトミー・フラナガン? と思ったほどですが、実は逆ですねぇ~。地味ながら凄いハンク・ジョーンズ!
 あと、ポール・チェンバースが強烈な存在感で、アドリブもバッキングも天下一品です。う~ん、ここまでやられたら、マイルス・デイビスが自分のバンドに引き抜いた気持ちが分かるのでした。
 最終パートでのケニー・クラークの小技にも感心するばかり……。

B-1 Long Green
 シンプルなテーマからフランク・フォスターのテナーサックスが疾走する、アドリブ優先の演奏です。アップテンポで鳴り響くケニー・クラークのシンバル、ポール・チェンバースのグイノリのベースがハードバップの真髄でしょうか。
 もちろんドナルド・バードも大熱演で、淀みないアドリブフレーズの見事な展開、溌剌とした音色、さらにマイルス・デイビスの物真似まで演じてしまいます。
 そこへいくとハンク・ジョーンズの真摯な演奏姿勢は最高で、コロコロとスイングするピアノタッチの素晴らしさ♪ ブルースなのに小粋なフレーズという、流石の実力を披露しています。

B-2 Stareyes
 御馴染みのスタンダード曲がハードバップにアレンジされ、力強く演奏されています。とはいえ、原曲の持つソフトな情感はちゃ~んと活かされており、ドナルド・バードは戸惑いながらも柔らかな歌心を追求♪ 若干、答が出ていない雰囲気もありますが、ビシッとキマるリズム隊のグルーヴがありますから、演奏がダレません。
 するとフランク・フォスターが余裕のアドリブで応戦です。しかしこれも、雰囲気に流されているような……。
 さあ、こうなるとハンク・ジョーンズが本領発揮! 素晴らしい歌心と天才的なピアノタッチを存分に披露してくれます。またポール・チェンバースも実に爽快ですねぇ♪

B-3 Someone To Watch Over Me
 これも悲しみを秘めたようなメロディが印象的な歌物スタンダードですから、ここはジックリとスローな吹奏を披露するドナルド・バードに、心が温まります♪ メロディのフェイクが最高ですねぇ~~~♪
 夢見るようなハンク・ジョーンズの伴奏とアドリブも素晴らしすぎて、涙がポロポロこぼれますよ。
 引き締まったフランク・フォスターのテナーサックスは、キャバレーモードには入らずじまい……。それが賛美両論かもしれません。歌心は最高ですが……。

ということで、数多いドナルド・バードのリーダー盤では目立たない作品ではありますが、一度は聴いて損の無い仕上がりだと思います。もちろん聴くほどに味わいが深まる感じですから、何度聴いてもOKですが♪

それと某ジャズ喫茶でCDを聞かせてもらった時、「A-2」と「B-1」の連続が、ハッとするほど良い感じでした。ジンワリと終わる「A-2」からズバッと炸裂する「B-1」への転換の妙!

う~ん、CDも欲しいなぁ~、と痛感させられた1枚でもあります。未だに持っていませんが……。

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