■これが青春だ / 布施明 (キングレコード)
世間を騒がせた大阪桜宮高校バスケット部の体罰事件は、「体育科」を「普通科」に看板の掛け替えをする事により、一応の決着に至ったようですが、個人的には騒動の全てに反吐が出る思いです。
もちろん体罰を肯定するわけではありません。
桜宮の体育科を受験しようと準備していた子供達にも、同情はするところです。
しかし、それでも打ち消せないのが、問題が明るみに出た後の学校側の説明と態度、そして教育委員会の責任回避的な処理、おまけに橋下市長の如何にもの姿勢、さらにはそれを囃したてるマスコミの何時もの行動!
当然ながら、それぞれの立場には、それなりの道理が成り立つのでしょう。
ところがサイケおやじが納得出来ないのは、渦中の指導をやっていた教師が表に出てこないところです。
気合を入れるために平手打ち等々の暴力行為に及んだ事は、生徒と学校への愛情であろうという推察は易く、しかし行動そのものは傷害事件として取り扱われても不思議ではないのですから、本人や学校側にとっては、迂闊な態度は示せないのでしょう。
ただし、それでも間違った事をしていないという信念に基づいた指導であったとすれば、もっと堂々と自ら説明を果たすのが本当じゃ~ないでしょうか。
結局、今回の結末について、在校生が無理を承知で自分達の切なる気持を伝えているのに、学校側がそうした逃げの態度では情けないっ!
一方、橋本市長のバカヤローは何時も以上で、この機会に嫌いな教育委員会や日教組を苛めてやろうとする意図がミエミエなんですから、これまた始末が悪いですよ。
そしてさらに見苦しいのが、橋本市長嫌いのマスコミが、挙ってそれを批判するという、これまたバカの上塗り!
これでは現場の在校生、これからの受験生はやりきれませんよ。
おそらくは前述した「看板の掛け替え」が、およそ1年ほどで元に復すという現実が見えていたとしても、その気持は如何ばかりか……。
しかし彼等を納得させようとすれば、問題の指導教員は暴力容疑で逮捕、校長以下、学校職員やOBまでもが峻烈な取り調べとなり、とことん責任を追求されるのが実社会なんですよ。
そこであえてサイケおやじは在校生や入学を予定している子供達に、「あんな大人に、なるんじゃ~ないぜっ」と言いたいわけです。
文字通り、反面教師の集団であり、面倒な問題からは腰が引けるような姿勢が、どれほど世間から疎まれるか?
もちろんサイケおやじにしても、その立場であれば、似たような姑息な手段に走る事は自覚していますから、立派な事は言ってはいけないわけですが、それにしても……。
冒頭に述べた、「反吐が出る思い」ってのは、自分自身に対してもです。
ということで、やっぱり生徒第一に考えれば、まずは歪んだ教育を施していた担当教師を処罰し、校長や教育関係者も責任を果たし、さらには生徒達にスジを通す大切さを教えて欲しいと思う他はありません。
そうやってこそ、青春の情熱を謳歌しようとする子供達への責務云々!?
掲載したシングル盤は、そんなこんなの想いから、青春ドラマに仮託した理想の生き方を提示する名曲「これが青春だ」であります。
まあ、青春物語そのものは完全なる虚構に立脚しているわけですが、だからこそ惹きつけらける本質があるんですよねぇ~。
腹が立ったら 喧嘩もしよう
悲しいときは 涙流そう
誇りひとつを 胸にかかげて
いつも裸の これが若さだ
あぁ、これこそが青春の特権というか、完全なる憧れの世界であって、その岩谷時子の作詞をいずみたくの曲メロで大らかに歌う布施明の痛快さ!
憧れに向かい合う事こそが、美しかったと思うのは、中年者以上の感慨と思っている次第です。