OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

クラーク、バレル&ジェンキンス

2008-05-05 18:17:15 | Weblog

久々に大型バイクを引っ張り出したら、途中からどしゃぶりの雨の中! ライトが切れたり、ロクなことがありません。ローファイな気分で勤務地に辿り着きました。

ということで、本日は――

John Jenkins With Kenny Burrell (Blue Note)

黒人アルトサックス奏者のジョン・ジェンキンスは、ジャッキー・マクリーンのそっくりさんというのが第一印象かと思います。実際、この2人はバトルチームとしてレコーディングを残していますから、ちょうどフィル・ウッズに対するジーン・クイルみたいな位置付けかもしれません。

しかしジャッキー・マクリーンが青春の情熱だとしたら、ジョン・ジェンキンスはもう少し繊細な、例えば思春期の内気な片思いみたいな部分もあるように、私は感じています。

さて、このアルバムは多分、ジョン・ジェンキンスの単独初リーダー盤でしょう。これ以前のレコーディングとしては前述したジャッキー・マクリーンとのバトル盤「アルトマッドネス(Prestige)」やオールスタアセッションの「ジェンキンス、ジョーダン&ティモンズ(New Jazz)」等があり、またブルーノートではハンク・モブレーの名盤「ハンク」に参加して、真っ向勝負の姿勢を聞かせていますから、同じ年のセッションであるここでの熱演も保証付き♪

録音は1957年8月11日、メンバーはジョン・ジェンキンス(as) 以下、ケニー・バレル(g)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、ダニー・リッチモンド(ds) という、ちょいと珍しい組み合わせです――

A-1 From This Moment On
 ボーカルではクリス・コナーの名唱が有名かもしれませんが、インストならば、このジョン・ジェンキンスのバージョンが最高に好きです。
 まずエキセントリックなアレンジのイントロから熱いテーマ合奏! ここではジョン・ジェンキンスもさることながら、ケニー・バレルが旨味のあるサポートを聞かせてくれます。
 そしてアドリブパートではジョン・ジェンキンスが本領発揮の熱血節です。前述したようにジャッキー・マクリーンに似ているのは否定出来ませんが、その基本となっているチャーリー・パーカーのスタイルを自分流に解釈した独特の歌心は最高♪ それがちっとも無理していない感じなんですねぇ~。
 続くソニー・クラーク、ケニー・バレルも自分の持ち味を大切にした好演です。ちなみにソニー・クラークとジョン・ジェンキンスの相性も抜群ですねぇ~♪ 嬉しいくらいに胸キュンの雰囲気♪

A-2 Motif
 ポール・チェンバースのイントロからしてエグイ、これぞハードバップのブルースです。ジョン・ジェンキンスとケニー・バレルのユニゾンによるテーマリフも良い感じ♪
 そしてアドリブパートでは、泣きのアルトサックスが存分に楽しめますが、これをマクリーンの真似っこと言ってはなりません。基本はチャーリー・パーカーから脱出したモダンジャズのプレイヤーなんて、誰もいないのですから! 熱い歌心に偽り無しです。
 もちろんケニー・バレルの正統派ハードバップのギターは心地良く、ソニー・クラークのファンキー節も冴えわたりですし、ポール・チェンバースのブンブン4ビートも、本当にたまりません。

A-3 Everything I Have Is Yours
 勉強不足で私は全然知らない曲なんですが、とにかく哀切のスローバラードで、ジョン・ジェンキンスの吹奏からは内向的な、というよりもネクラな情熱が滲み出ています。
 ケニー・バレルとソニー・クラークも協調性のある好演ながら、ポール・チェンバースのシンプルな力強さが印象的なのでした。

B-1 Sharon
 軽い味わいのハードバップ曲で、如何にもというジョン・ジェンキンスのオリジナルです。それはアドリブ先発のケニー・バレルの快適なアドリブに良く活かされていて、こういう都会的に洗練されたグルーヴは明らかにビバップとは一線を隔していますねぇ。
 またポール・チェンバースが要となったリズム隊のグイノリは、そのまんまマイルス・デイビスのオリジナルクインテットと同じ雰囲気なのも嬉しく、ダニー・リッチモンドも基本に忠実な好演♪
 肝心のジョン・ジェンキンスは気持ち良い泣き節の連発ながら、そこに留まった感があるのは残念……。しかし続くソニー・クラークが味わい深く、この独特のノリは唯一無二と痛感させられるのでした。

B-2 Chalumeau
 これもジョン・ジェンキンスのオリジナルで、ちょっと洒落た感じのテーマ演奏が良い感じ♪ 初っ端からソニー・クラークが好調で、私なんか伴奏を聴いているだけで満足させられてしまいます。
 ジョン・ジェンキンスはパーカーフレーズを駆使してノビノビとアドリブを展開し、これは決して開き直りではないと思いますねぇ。
 ただしこの演奏では、どうしてもソニー・クラークが輝いてしまったというか、本当に良すぎますねっ♪ 全く隠れ名演かもしれません。

B-3 Blues For Two
 オーラスはケニー・バレルのオリジナルブル~スですから、タイトルどおりにバレル&ジェンキンスが素晴らしいコンビネーションを聞かせてくれます。
 そしてアドリブ先発のソニー・クラークが、もはや異常とも言える絶好調! ファンキーなタッチとマイナー気味のフレーズが、これでもかと噴出しています。
 さらにケニー・バレルがノリノリで止まりませんから、続くジョン・ジェンキスが最初から戸惑い気味で、本当に憎めません。相等に無理している感じが実に良いんですねぇ~。
 ポール・チェンバースのアルコ弾きやダニー・リッチモンドのドラムソロも含めて、演奏時間の短さが勿体無いです!

ということで、ガイド本に掲載されるような名盤ではありませんし、ジャズ喫茶でも聴いた記憶が無いほどに、ブルーノートでは目立たない作品だと思いますが、実際に聴いてみると、これが不思議と虜になってしまうアルバムです。

ソニー・クラークのファンならば、きっと愛聴しているでしょう。

また珍しくもブルーノートに参加したダニー・リッチモンドは、チャールズ・ミンガスのバンドでは番頭格という、エキセントリック派のドラマーですから、ここでも気になる存在なんですが、結果は潔すぎる正統派の実力を披露しています。ジョン・ジェンキンスとは仲が良かったんでしょうか、前述した「ジェンキンス、ジョーダン&ティモンズ(New Jazz)」でも叩いていましたですね。

しかし、これだけの傑作盤を残したジョン・ジェンキンスは、翌年からフェードアウトしています。理由は知る由もありませんが、ジャズの本場のニューヨークには馴染めなかったのでしょうか……? 短い期間に多くのセッションを集中的に残して消えていったジャズメンには、いろんな人がおりますが、ジョン・ジェンキンスこそ中でも印象的なひとりだと思います。

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2 コメント

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こんばんは (bob)
2008-05-05 20:49:06
>もう少し繊細な、例えば思春期の内気な片思いみたいな部分もあるように~

激しく納得のいく表現です♪
ルックスはちょっと濃いんですがねぇ(笑)。

これは絶対に埋もれさせてはいけない一枚ですね。
とくにギター好きの人にはぜひ聴いてもらいたいと思っています。
ジェンキンス、バレルのフロントにソニー・クラークですからね。
言うことなしです♪
リッチモンドにはもう少し叩いてもらいたかったですが…。

ところで僕の一番のお気に入りのラス曲なんですが、
バレルがこの日のために用意したブルースと勝手に思いこんでいるんですが…。

TBさせていただきました♪
返信する
聴くほどに味わいが (サイケおやじ)
2008-05-06 07:09:13
☆bob様
コメント&TBありがとうございました。
こちらからも送ってありますので、よろしくお願い致します。

このアルバムは聴くほどに味わい深いですね。
ジャケ写ではバレルに図星を指されてテレ笑いのジェンキンスが、実に和やかですね♪
ジェンキンスって、きっとそういう人だったと思います。

それとソニー・クラークとジェンキンスはマクリーンよりも手が合う感じだと思うのですが。

本当に埋もれさせてはいけない盤ですね。
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