■Hanky Panky / Tommy James & The Shondells (Roulette / フィリップス)
政治を分かり易くするなんて言いながら、実は回りくどいパフォーマンス、さもありなんの報道で失笑する我国は、いやはやなんともの毎日……。
しかしそんなことは古来、この世の常識ですから、時には何にも考えていないノーテンキな歌と演奏が流行ってしまうのも、むりからん話です。
本日ご紹介の「Hanky Panky」も、そうしたひとつで、誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。その軽快なR&Rは単純明快な歌詞があってこそ、世界中の人達が一緒に歌えるという、実に楽しいヒット曲♪♪~♪
本国アメリカでは1966年の春~秋にかけて、それこそ最高のヒットを記録していますし、我国でもラジオから流れまくり、ポップス系の歌手やエレキバンド、そしてGSでもカパーするグループが当然の定番曲でした。
掲載ジャケットの写真で、ひとりだけ黄色いニットを着ているトミー・ジェイムスは、子供時代からローカルなアイドル歌手だったそうで、実はこの「Hanky Panky」にしても、既に1963年頃に録音されていたものです。それをメジャー会社のルーレットが買い取り、全国発売したことで大ヒット! そして巡業ライプ用に付けられたのが、ションデルズというわけですが、そのメンバーは同じルーレットに所属していたラコントゥアーズというバンドだったと言われています。
しかしご存じのように、その構成や顔ぶれは決してレギュラーではなく、一応はエディ・グレイ(g)、ロニー・ロスマン(org)、マイク・ベール(b)、ピート・ルシア(ds) 等々だったというのですが、おそらくレコーディングではスタジオミュージシャンを多用していたと思われます。
そして以降も「Mony, Mony」や「Crystal Blue Persuasion」、そして「Crimson And Clover」等々の大ヒットを放っていますが、活躍した時期がモンキーズの登場と重なっていたこともあり、単なるアイドルバンドとされていたのは、ちょっと残念です。
それゆえに同じ業界のミュージシャンが、トミー・ジェイムスのヒット曲やシブイ演目をカパーするのが、特に1970年代中頃以降の流行だったことを鑑みれば、その影響力やR&Rの本質に根ざした音楽性は評価されていると思います。
我国では他にも「ふたりのビート / Gettin' Together」という、邦題も素敵なシングル曲が局地的にヒットして、個人的には大好きなんですが、残念ながらアナログの7インチが入手出来ていません。
ちなみに1970年代に入ると人気も失速し、トミー・ジェイムスはションデルズと別れて芸能界を生き抜いていくのですが、その全盛期に残されたヒット曲の数々はシンプルな楽しさと躍動的なビートの本質的な魅力によって、今も世界のあちこちで流れています。
そういう基本的な楽しさこそが、この世では一番大切かもしれませんね。
「ビートポップス」では大橋巨泉が「ションデルス」の「ション」を強調するノリでこの曲を紹介していましたね。
しかし掲載ジャケをよく見ると「シャンデルス」…!?
「基本的な楽しさ」は、シングル盤文化の生命線ですね。
コメント、ありがとうございます。
こういうシンプルな楽しさって、昭和のロックやポップの土台でしたよね。
それと外タレや洋楽曲の発音が、これまた和製英語と本場のニュアンスがちゃんぽんで、どっちに馴染むかで、楽しさも増えてくると思うんですよ。