あまり怒りたくはないけれど、つまらんミスを連発する若い者の弛みが気になった1日でした。
まあ、気合だけで仕事が上手くいくとは限りませんが、それでも、ねぇ……。
ということで、本日は――
■The Ralph Sharon Trio (Bethlehem)
名盤が多いピアノトリオ物の中にあって、ハイセンスでリラックスした味わいが極みつきの1枚です。
主役のラルフ・シャロンはロンドン生まれのイギリス人で、もちろん母国でもバリバリのジャズピアニストとして活躍し、リーダー録音も残していますが、やはり有名になったのは渡米してからでしょう。特にトニー・ベネットの伴奏者としては大いに名をあげています。
このアルバムは、そういう注目度が高まっていた1956年のセッションですから、悪いわけがありません。メンバーはラルフ・シャロン(p)、ジェイ・ケイヴ(b)、クリスティ・フェッボ(ds) という、些か地味な人選ながら、これが非常にセンスの良い演奏ばかり――
A-1 Don't Be That Way
A-2 Give Me The Simple Life
A-3 I Didn't Know What Time It Was
A-4 I'm Glad There Is You
A-5 I'm Beginning To See The Light
B-1 They Can't Take That Away From Me
B-2 Steeple-Chase
B-3 Angel Eyes
B-4 You Stepped Out Of A Dream
B-5 Bluz For Suz
――という演目は有名曲をメインに滋味豊か♪ こういうところにもラルフ・シャロンの洒落たセンスが滲み出ていると思います。もちろん演奏は極上! クールで熱いジャズ魂と和みのフィーリングが満喫出来ます。
まずド頭の「Don't Be That Way」が自然体の快演で味わい深く、続く「Give Me The Simple Life」では溌剌とした歌心とシャープなピアノタッチにシビレます♪
スロー物では、あまりにもベタな「Angel Eyes」が逆に憎めませんし、「I'm Glad There Is You」でのシンプルな歌心は絶品だと思います。う~ん、そこはかとない……。
そしてスローからダイナミックに盛り上げて、非常に上手い展開を聞かせるのが「I Didn't Know What Time It Was」です。膨らみがあって力強いピアノタッチ、素敵なコード選び、トリオの一体感が見事の一言で、実にグルーヴィな味わいまでも楽しめるのです。
また早いテンポの「You Stepped Out Of A Dream」は爽快にして、刺激的! ビバップを上品に解釈していながらファンキーな味わいを聞かせる「Steeple-Chase」も名演だと思います。自作の「Bluz For Suz」も良い感じ♪
ということで、一時は幻化していたアルバムでしたが、内容の良さから我国では頻々に再発されていますので、入手は容易でしょう。それだけ売れているというわけです。
しかしこのアルバムはラルフ・シャロンの氷山の一角! 近年では作曲家別のソングブックっぽいアルバムを何枚も出していますし、モダンジャズ全盛期にはテディ・チャールズ(vib) やチャールズ・ミンガス(b) 周辺の硬派なメンツと厳しいセッションも残しています。
そしてトニー・ベネットとの共演作品では歌伴の真髄が堪能出来ます。もちろん他の歌手のバックも務めた録音も残されていて、全てが聞き逃せないものばかり♪
ただし、そのあたりに拘ると素晴らしきジャズ地獄に堕ちる恐さか……。
ゆえにこのアルバムを骨までしゃぶりつくすのが、まずは王道だと思います。聴くほどに、実に素敵なアルバムなんですよっ♪
地味ながら名手の本領を発揮するドラムス&ベースも凄いです。