■17才の頃 / Janis Ian (Columbia / CBSソニー)
正直、ジャズを聴くのは、こんなにエネルギーが必要なのかっ!?
というのが、最近のサイケおやじの偽りの無い心境です。もうLP片面どころか、1曲を聴くのも、つらい……、重症ですねぇ、これは……。
そこで連日、自分史的なロックやポップスに逃避しているわけですが、本日は、それもつらくなっています。
しかし、こんな時こそ、シングル盤で癒しの女性ボーカル!
ということで、今朝はジャニス・イアンの大ヒット曲を聴きました。ボサロック風のメロディ優先主義が、本当に素敵ですねぇ~♪
さて、このジャニス・イアンという人は、十代の頃からニューヨークのフォーク界では天才少女として注目され、ギターは上手いし、ボーカルは癒し系、しかし自作の歌は辛辣に社会や人間関係の本音と建前を活写したものだったそうです。
実際、デビュー期にヒットした「Society's Child (Verve)」は、なんと白人娘と黒人男の恋愛を歌ったという、1966年のアメリカでは決定的なタブー曲! もちろんリアルタイムでは発売レコード会社を探す苦労と同時に暗黙の了解での放送禁止というのが現実でした。
ところがクラシックの巨匠にして幅広い音楽の天才だったレナード・バーンスタインが、これを激賞し、自分が持っていたテレビ番組で歌わせた直後に怒涛のブレイク! 1967年にはチャートの上位にランクされるほどでした。
しかし、サイケおやじは例によって、リアルタイムではそんな事を知る由もありませんでした。実際、ジャニス・イアンの名前を強く意識したのは昭和50(1975)年の事で、当時のラジオからは彼女が歌う「パーティが終わったら」とか、この曲が頻繁に流れていたのです。
さらに翌年になって出された「愛は盲目」に至っては、我が国の某テレビドラマの主題歌になるという決定打! もちろん日本の洋楽チャートではトップを独走しています。
おまけに南沙織までもが、ジャニス・イアンが特別に書き下ろしたとされる「哀しい妖精」を歌って、絶対的な大ヒットにしていますし、同時期に出されたアルバムが「ジャニスへの手紙」という感涙の名盤♪♪~♪ 前述した「哀しい妖精」の英語バージョンも、実に味わい深いのですが……。
それと反比例するかのように、本国アメリカでの評価は低迷気味で、毎年のように発表されるアルバムは素晴らしい出来栄えなのに、う~ん、何故だ……?
ジャニス・イアンの魅力は、まず優しさ溢れる自作のメロディの素晴らしさ、そして微妙な「いじらしさ」が滲むボーカルの節回しだと思います。もちろん歌詞の中身は、ネクラな告白やアウトサイダー的な視点も含む、なかなかシニカルにものですし、それはキャロル・キングやローラ・ニーロとは似て非なる個性があると感じます。
このあたりは女性の皆様のほうが、尚更に感受性を刺激されるのではないでしょうか。
音楽的にも曲作りだけでなく、アレンジやプロデュースまでも自身が手掛けている部分が多く、それゆえにディスコやフュージョンといった流行り物に色目を使った作品も残されているほどですが、その所為か否か、1980年代に入ると活動を休止してしまうのです。
まあ、最近はカムバックしているようですが、その間に聞こえてくるのは、破産したとか、レズビアンのカミングアウトとか、せつないような仰天ニュースが多く……。
その意味では、時折聴きたくなる、この「17才の頃」に慰められるのも、妙な気分です。
でも、まあ、いいか……♪
ちなみにジャニス・イアンのアルバムは、その全盛期と思われる1970年代後半を中心に相当な数が出ていますし、我が国の人気を反映してか、日本盤LPは中古盤屋の特価品コーナーで、キッスやピンクレディと一緒にされていたのが懐かしくもあります。しかしその内容は、いずれも秀逸なものですから、機会があれば、ぜひとも聴いてみて下さいませ。歌詞の内容も実に素晴らしいですから、ここは訳詞付きの日本盤がオススメです。
しかし、ここまで書いても、長いLPを聴くエネルギーが湧いてこないサイケおやじ……。いったい、この先はどうなるのでせう……。
コメント、ありがとうございます。
エネルギーが必要なのは、なんでも同じだと思いますが、音楽は一応「楽」ですからねぇ。
苦しんで聴くのは、せつないですよ。
でも、今朝は自然体で聴けています。
私もな~~んにも聴きたくい
音は一切いらないと思うことがよくあります。
ジャニス・イアン、懐かしいです。
久しぶりに聴こうかしら。