OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

スティーヴィー・レイ・ヴォーン! 不滅!

2009-06-03 11:54:28 | Rock

Texas Flood / Stevie Ray Vaughan (Epic)

自分のようなオールドウェイプな人間にとって、一番嬉しい音楽って多分、ブルースロックじゃないでしょうか!? まあ、これは一概には決めつけられないわけですが、少なくともサイケおやじは、この種の「音」には血が騒ぎます。

ところが悲しいかな、そういうブルースロックは1970年前後を頂点として廃るばかり……。以降は時代遅れの代名詞とさえ受け取られていたのが1980年代でした。なにしろ当時はAORやブラコン、シンセやリズムボックスで作られる無機質なデジタルビートポップスが流行っていましたからねぇ……。私がもっと人間的な味わいを求めてジャズの世界に耽溺していたのも、自然の成り行きだったと思います。

ところがそんな時代に突如として現れたのが、スティーヴィー・レイ・ヴォーンというギタリストで、やっていたのは私が大好きなブルースロック! もう、これには吃驚しましたですねぇ~~~♪

それが本日ご紹介のデビューアルバムですが、実はスティーヴィー・レイ・ヴォーンが一躍脚光を浴びたのは、デビッド・ボウイが1983年にメガヒットさせた自身の人気アルバム「レッツ・ダンス」に参加したことによるというのは、今や伝説でしょう。

しかしサイケおやじは、そんな音楽には興味が無かった所為もありますから、リアルタイムでは耳にしていたかもしれませんが、ふ~ん、そんなもんか……。という異次元の出来事だったというわけです。実際、後追いで聴いた前述のアルバムにしても、それほど感名を受けたということはありません。

しかし、やはり同年に出た、このアルバムには心底、ブッ飛ばされました!

というか、既に発売前から、これは凄いギタリストの魂のアルバムとして、各方面で期待と絶賛が渦巻いていたのですが、確か7月初旬頃に輸入盤屋の店頭で新譜として流されていた「音」を聴いた瞬間、サイケおやじは迷わずお買い上げ!

 A-1 Love Struck Baby
 A-2 Pride And Joy
 A-3 Texas Flood
 A-4 Tell Me
 A-5 Testify
 B-1 Rude Mood
 B-2 Mary Had A Little Lamb
 B-3 Dirty Pool
 B-4 I'm Cryni'
 B-5 Lenny

いゃ~、ド頭の「Love Struck Baby」から全力疾走でR&Rなブルースロックが全開の勢いには、思わず、イェェェェェェ~!!! 幾分ペラペラの懐かしいエレキギターの響き、骨太のロッキンビート、力みながらもリラックスしているボーカルの味わいは、モロに私の好きな世界です。

メンバーはスティーヴィー・レイ・ヴォーン(g,vo) とダブルトラブルと呼ばれるトミー・シャノン(b) にクリス・レイトン(ds) だけという3人編成! 当然ながらオーバーダビングは極力控えられた、とてもシンプルな作りもジャストミートの潔さです。

アルバムタイトルやジャケ写からもご推察のとおり、スティーヴィー・レイ・ヴォーンはテキサス出身の白人ですが、そのブルースを愛して追及する姿勢はロックやソウルを通過して尚更に熟成されたものでしょう。特にギタースタイルに関しては、アルバート・キングとエリック・クラプトンをゴッタ煮として、さらにジミ・ヘンドリックスのフィーリングを強く加味した、サイケおやじが最高に憧れてやまないものです。

それは黒人ブルースのカバーであるアルバムタイトル曲「Texas Flood」でのソリッドな泣きと呻き、またオリジナルのスローブルース「Dirty Pool」での執拗なギター的興奮! あぁ、これこそが、ぶる~すなロックですよっ!

また疾風怒濤のギターインスト「Testify」や「Rude Mood」には、フュージョンでは決して味わうことの出来ない原初的な興奮が蘇っていますし、やはりインストの美しいスロー曲「Lenny」では、ジミヘンっぽいメルヘン&メロウな味わいがたまりません。

このあたりは、もう文章にすることが虚しいばかりで、とにかく聴いて、そして感じていただく他はないのですが、それをあえて本日に書いてしまったのは、なんと現在、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの諸作がリマスターの紙ジャケ仕様で、しかもボーナストラック付きで再発されているからです。それを昨夜発見した私は、ここでも迷わずに全買いモードの散財地獄に堕ちたわけですが、全く後悔していますせん。

ちなみにスティーヴィー・レイ・ヴォーンは翌年には2枚目のアルバム「Couldn't Satnd The Weather」を出し、それも素晴らし過ぎる出来栄えでしたから、完全に大ブレイク! そして1985年には初来日公演も果たすのですが……。

正直、それに接した私は、些かの失望を禁じ得ませんでした。う~ん、何というか、精気の無い演奏で「お約束」をやっているだけというか、決して手抜きだったわけではないのですが……。後で知ったところによると、メジャーデビュー直後からの人気沸騰、そしてハードな巡業とレコーディングのプレッシャーから、スティーヴィー・レイ・ヴォーン以下、バンドの面々も含めての悪いクスリと酒浸りは、スタアの宿命というには、あまりにも酷過ぎました。

その結果、同年には健康を著しく害して闘病生活に入るのですが、ラッキーというか、私はその直前にドイツで行われたコンサートにも行くことが出来ました。そしてそこには、神様が降臨したような閃きに満ちた瞬間と、悪夢のようなヘタレを演じるスティーヴィー・レイ・ヴォーンという人間が、はっきりとしていたのです。物凄いギターソロを聞かせたと思えば、次の曲ではヨタヨタとしてコントロールを失ったような演奏になるという繰り返し……。後にも先にも、ある意味でこんな強烈なステージに接したことは、サイケおやじにはありません。こういう事を書くとお叱りは覚悟のうえですが、チャーリー・パーカーのライブも、こんな時があったんじゃないでしょうか。

とにかくスティーヴィー・レイ・ヴォーンといえば、サイケおやじには、この時の様子が真っ先に思い出されます。

そしてその後、療養期間を過ごしたスティーヴィー・レイ・ヴォーンは、1988年に待望の本格的な復帰を果たし、「In Step」という傑作アルバムを残すのですが、好事魔多し! 1990年8月、巡業の移動中にヘリコプターが墜落し……。

こうして全盛期に天国へと召されたスティーヴィー・レイ・ヴォーンが残してくれたピュアな音楽は、プルースロックという時代遅れの産物が奇跡的に若い世代にまで受け入れられたことで、永遠の生命を得たと思います。実際、全てのアルバムがベストセラーになっているほどです。

この手の音楽はリスナーによっては完全に拒絶されるものかもしれません。

しかしサイケおやじにとっては、死ぬほどに愛おしい!

最後になりましたが、発売中の紙ジャケCDに収録のボーナストラックは以下のとおり♪♪♪

 S.R.V. Speakes
 Tin Pan Alley
 Testify
(Live)
 Mary Had A Little Lamb (Live)
 Wham! (Live)

「S.R.V. Speakes」は、そのまんま、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの短い独白で、付属解説書には訳文も載っているのが親切丁寧です。どうやら本人は譜面が読めないらしいですよ。感じたままに弾くというのが、実に正直です。

また「Tin Pan Alley」は、このデビューアルバムからのアウトテイクですが、しぶといスローブルースの中で炸裂するスティーヴィー・レイ・ヴォーンのギターは、やっはり最高です。

そして「Testify」以下の3曲は、1983年9月のライブ音源♪♪~♪ 荒っぽい中にも纏まりがあるバンド演奏の醍醐味が楽しめますが、幾分のお疲れ気分が逆にリラックスした好演に繋がったような「Mary Had A Little Lamb」、そしてスティーヴィー・レイ・ヴォーンが敬愛する凄腕ギタリストのロニー・マックが十八番のギターインストを熱くカバーした「Wham!」が痛快至極! あぁ、こんなにギターが弾けたらなぁ~~、と叶わぬ思いが胸に溢れてきますよ。

気になるリマスターの結果は、あくまでも個人的な感想ではありますが、アナログ盤特有のぬくもりを活かしつつもメリハリの効いた、なかなか往年のロックぽい仕上がりだと思います。もちろんボーナストラックも同様ですし、ライブ音源の纏め方も良い感じ♪♪~♪

さあ、こうしてCDをゲットしたからには、当分の間、私の車の中はブルースロック大会が必至♪♪~♪ そういえばリアルタイムの1980年代、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのアナログ盤をカセットコピーしてはカーステレオで鳴らしまくり、同乗者から顰蹙の嵐だった時代か懐かしくもなるのでした。

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