ようやく、本格的に寒くなりましたですね。
全く雪の無かった赴任地でも、あたりが白くなっています。
そしてこうゆう日には、暖まるアルバムを聴こうということで――
■One Man Dog / James Taylor (Warner Bros.)
A-1 One Man Parade
A-2 Nobody But You
A-3 Chili Dog
A-4 Fool For You
A-5 Instrumental I
A-6 New Tune
A-7 Back On The Street Again
A-8 Don't Let Me Be Lonely Tonight
B-1 Woh, Don't You Know
B-2 One Morning In May
B-3 Instrumental II
B-4 Someone
B-5 Hymn
B-6 Fanfare
B-7 Little David
B-8 Mescalito
B-9 Dance - Jig
1970年代初頭からのシンガーソングライターのブームを引張ったのが、ジェイムス・テイラーでした。
この人は皆様ご存知のように、ビートルズのアップルレーベルからソロデビューしたのですが、その時はブレイクせず、しかもアップルの経営戦略見直しでリストラされた過去があるのです。
しかしアメリカのワーナーと契約し、「ファイアー&レイン」や「君の友達」といったヒット曲で、一躍注目されたわけですが、その魅力は呟き系のボーカルと内向的な歌詞、それと反比例するかのような黒いフィーリングの曲調と演奏でしょう。
特に演奏部分のソウルっぽさ、ジャズ系コードの使い方、さらに抜群のテクニックを披露する生ギターは、もう最高です。
このアルバムは1972年に発売された通算4枚目の作品で、演目はご覧のとおり、非常に短い曲の連なりという構成ですが、1曲毎の密度の濃さは凄いものがあります。
しかも、そのほとんどはジェイムス・テイラーの自宅の納屋に臨時で作られた簡易スタジオで録音されたものですし、バックの演奏メンバーはダニー・クーチ(g)、グレイグ・ダーギー(key)、リー・スクラー(b)、ラス・カンケル(ds) という、後にザ・セクションとして活動する面々ですから、リラックスして緊張感も満点という仕上がりになっています。
それはソウル&ジャズの要素がたっぷりで、後のフュージョンやAORにダイレクトに繋がるものですし、我国の細野晴臣を中心としたキャラメル・ママ系のバンドに大きな影響を与えているのです。
実際、彼等がバックを務めた初期のユーミンや吉田美奈子あたりのアルバムで聴かれる音は、間違いなく、このジェイムス・テイラーのアルバムと同じキモがあるのです。
また他にも豪華なゲストが適材適所に配置され、当時新婚だったカーリー・サイモン(vo)、盟友キャロル・キング(vo)、マイケル・ブレッカー(ts) にジョン・マクラフリン(g) という恐るべき存在までもが、強烈に自己主張しています。
もちろん主役たるジェームス・テイラーは曲作り、呟いて黒い歌いまわし、緻密な生ギターの腕前を存分に発揮していますが、この生ギターが当時流行だったマーチンではなく、ギブソンというあたりが、ニクイところ♪ 多分ギブソンの「J50」という地味目の音が出るやつだと思います。
肝心の演目では、まずA-8「Don't Let Me Be Lonely Tonight」のメロウな曲調に、泣きのマイケル・ブレッカーのテナーサックスが限りなく心地良く、これはジェームス・テイラー畢生の名曲にして、マイケル・ブレッカーにしても初期の名演でしょう。
またB-1「Woh, Don't You Know」のファンキーなバンド演奏、特にリー・スクラーとラス・カンケルのコンビネーションは唯一無二の素晴らしさです♪ 同系ではA-7「Back On The Street Again」も凄いですねぇ♪
そして初っ端の「One Man Parade」では侘しい内容の歌詞に暖かい雰囲気を添えるキャロル・キング&カーリー・サイモンのコーラスも心地良く、リンダ・ロンシュタットとのデュエット「One Morning In May」も、素直に良いと思います。
さらに何故か自作曲を持って参加したジョン・マクラフリンは、B-4「Someone」で驚異的な生ギターのソロを聴かせています!
ということで、短い曲ばかりの散漫なアルバムという印象は、全くの聴かず嫌いとしか言えません! とにかく聴いて欲しいの一言なんですが、実はこのアルバムが出た直後の1973年1月にジェームス・テイラーは、新妻のカーリー・サイモン、そしてここでバックを務めたザ・セクションを従えて、初来日公演を行っています。
そして当時、高校生だった私は、先輩からチケットを貰ってライブに出かけましたが、ジェームス・テイラーが弾く生ギターのピッキングからは、本当に凄いビートが出ていましたし、その何ともいえないソウル&ファンキーなフォークソング(?)に感銘を受け、次の日に買ったのが、このアルバムでした。
ちなみに、チケットをくれた先輩は、本当はお目当ての女の子を誘ったらしいのですが、あえなくフラれ、私が頂戴したというわけです。う~ん、その先輩は大金持ちのボンボンでルックスも良かったんですが、何故か、女の子には縁が無いというか、今もって独身なんですよねぇ……。まさかイ●ポというわけでもないんでしょうが……。
閑話休題。
で、現在、このアルバムは紙ジャケ仕様でCD化されています。寒い夜には、これを聞いて暖まってみるのも、素敵かと思います。とにかく全曲、流れるような構成で、本当に和みますよ♪
でましたね。というか結構以外でしたけど。
"Don't Let Me Be Lonely Tonight", 素晴らしいの一言です。
JTといえばギブソンJ50ですよね。
彼のアコギはポール・サイモンと並んで自分の永遠のアイドルです。
アップしていただき,ありがとうございます。
やはり、貴兄のアイドルでしたかっ♪
そういえば、JTはマイケル・ブレッカーの近作で「Don't Let Me Be Lonely Tonight」を歌っていたそうですね。私は聴いていませんが、グラミー貰ったとかです。
ギターについては、ベースラインの味な作り方とか、微妙な変則チューニング等々、神業だと思います。