何気なく聴いた1枚が呼び水となって、あれも聴きたい! と連鎖反応が起きる時は、やっぱり体調と気分が良い証でしょう。
昨日はトミフラの「ジャイアント・ステップス」を聴いて、2曲目の「Central Park West」にシビレたら、もちろん次は、これですね――
■Coltrane's Sound / John Coltrane (Atlantic)
録音セッションは1960年秋でしたが、発売されたのは1964年! ということは、リアルタイムでも相当にブッ飛んだ演奏だったのでしょう。実際、何時聴いても、グゥ~ンと惹き込まれます♪
あらためて記すと、録音は1960年10月24~26日、メンバーはジョン・コルトレーン(ts,ss)、マッコイ・タイナー(p)、スティーヴ・デイビス(b)、エルビン・ジョーンズ(ds) というバリバリのレギュラーカルテットです――
A-1 The Night Has Thousand Eyes (1960年10月26日録音)
ポリリズムのラテンビートを敲き出すエルビン・ジョーンズが、まず凄いです。素直にテーマメロディを吹いて、アドリブでは思いっきり混濁させていくジョン・コルトレーンも負けていません!
アトランティックの録音は、ちょっと薄味なんで、聴いているとドンドン音量を上げてしまうんですが、これはその代表でしょうね。ボリュームを上げざるをえない修羅場に追い込まれていく感じが、恐いです。スピード感も満点♪
マッコイ・タイナーも所謂「マッコイ節」が全開ですし、スティーヴ・デイビスは基本に忠実な分だけ、全体のグルーヴが止まるところを知りません。
この曲はハードバップでも、色々なバンドによって、かなりのバージョンが残されていますが、このハードな解釈はそれを超えて新しい表現を提示した意義以上に、楽しさも格別だと思います。
A-2 Central Park West (1960年10月24日録音)
さて、お目当ての名曲です。
やすらぎのテーマメロディを優しく歌い綴るジョン・コルトレーンのソプラノサックスが最高に素敵です♪ ゆったりしたテンポで気持ちの良いコードを出してくるマッコイ・タイナーも、良いですねぇ~♪ アドリブも味わい深いし、ド派手なことはひとつもやっていませんが、ジンワリと染み入る全体の雰囲気に捨てがたい魅力があります。
あぁ、もう1回、トミフラのバージョンが聴きたくなってきました。罪作り!
A-3 Liberia (1960年10月26日録音)
ジョン・コルトレーンのオリジナルで、後々、様々に応用していくキメとアイディアがテンコ盛りになっています。
まず厳かな出だしが、スピリッチャルと後年定義づけられる、ジョン・コルトレーンが十八番の持ち味です。そして自然にグイノリへ持っていって、リズム隊もろとも一丸となったキメとか、エルビン・ジョーンズのラテンビートまでもが、このバンドだけのトレードマークなんですねぇ♪
アドリブパートでの激烈さは言わずもがな、それでも闇雲に熱くさせられる名曲・名演だと思います。
B-1 Body And Soul (1960年10月24日録音)
有名スタンダードを熱く激烈にやってしまうという、ジョン・コルトレーンの得意技が存分に味わえます。ミディアムテンポでヘヴィなグルーヴを生み出しているリズム隊が、最初っから烈しいです。
ジョン・コルトレーンも思う存分、好きな様に吹いている感じですが、オリジナルのメロディや歌心を必要以上に大切にしている雰囲気が侮れません。
というのも、実は当時のジョン・コルトレーンはレコードの売行きが芳しくなく、スタンダード曲を分かり易く演奏することが要求されていたようです。
このトラックはそうした折衷が上手くいった好例かもしれませんが、妙に媚びた姿勢が感じられないのは凄いと思います。
B-2 Equinox (1960年10月26日録音)
一転してジョン・コルトレーンのドロドロにエグイ部分が出たオリジナル曲です。ガーン、ガーン、ガーンというリズムのリフは、このバンドの十八番ですが、ジョン・コルトレーンはそれに安心しきって好き勝手にやっているみたいですねぇ。グイグイと音を圧縮していくような凄みが強烈です。
全体に重さが目立つ仕上がりなんですが、聴いているうちに、身も心も奪われていくのが自覚出来るのでした。
B-3 Satellite (1960年10月25日録音)
これもダークな雰囲気から熱い真情吐露まで、変幻自在に吹きまくるジョン・コルトレーンが凄まじいです。既に述べたように、発売はセッションから4年後だったわけですが、当時としても革新的で、ついていけないリスナーがかなり居たんじゃないでしょうか?
エルビン・ジョーンズのやけっぱちドラミングも強烈! その所為か否か、マッコイ・タイナーが出てきません。
ハッと気がつくと、またまたボリュームを上げている自分が居ます♪
ということで、やっぱり恐いアルバムです。ドロドロに溶けたターミネイターのようなサイケ絵画のジャケットも良いですねぇ~♪
ただし録音日が異なる演奏を集めた所為で、マスタリングというか、ステレオの定位とかミックスの按配にバラツキが目立ちます。このあたりが最新CDでは、どう処理されているか、興味深々です。
と、最後にCD購入の言い訳を布石にしておきます。ご容赦下さい。