あぁ、今日もまた、ネタの仕入れで散財してしまった……。でも、お金は生きているうちに使いましょうね。
と言い訳しつつ、仕入れたブツの中から――
■Hot August Night / The Rolling Stones (SODD)
ストーンズが1976年の欧州巡業の後に特別出演した英国ネブワースでの野外フェスから作られたブートの最新リマスター盤です。
録音は1976年8月21日、サポートメンバーとしてビリー・プレストン(key,vo) とオリー・ブラウン(per,vo) が入ったファンキーど真ん中の布陣♪ この日は映像も残されていて、やはり一部がブートとして出回っているほど有名なソースですから、これまでにも様々なブツがありました。
で、このCDは、これまでの良いとこ取りで作られています――
Disc 1
01 Satisfaction
02 Ain't Too Proud To Beg
03 If You Can't Rock Me - Get Off Of My Cloud
04 Hand Of Fate
05 Around And Around
06 Little Red Rooster
07 Stray Cat Blues
08 Hey Negrita
09 Hot Stuff
10 Fool To Cry
11 Star Star
12 Let's Spend The Night Together
13 You Gotta Move
14 You Can't Always Get What You Want
Disc 2
01 Deat Flowers
02 Route 66
03 Wild Hores
04 Honky Tonk Women
05 Country Honk (adlib)
06 Tumbling Dice
07 Happy
08 Nothing Form Nohting
09 Outa Space
10 Midnight Rambler
11 It's Only Rock'N Roll
12 Brown Sugar
13 Rip This Joint
14 Jumping Jack Flash
15 Street Fighting Man
――という長丁場の演目は基本的に前年のアメリカ巡業の流れを大切にしつつも、久々に懐かしい曲も演じられた嬉しいものです。
ちなみに当時のストーンズはドラッグ問題と私生活のゴタゴタ、さらに音楽的な煮詰まりも隠せない状況でした。特にキース・リチャーズは子供の死も重なって、ライブの出来は好不調が烈しく、それが残された音源に如実に現れていますから、ファンにとっては様々な意味で興味がつきない時期だと思います。
で、このCDのソースは、サウンドボードのステレオ音源、ビデオ音源、客席からの隠密録音が巧みに組み合わされています。
まず Disc 1 は基本的にサウンドボード音源で、なかなか低音域もしっかりと出たド迫力♪ しかも歓声もそれなりに入っていますから、もしかしたらライブ盤用のラフ音源が流出したのかもしれません。ただしミック・ジャガーのボーカルやキース・リチャーズのギターパートが、時たま不安定に引込んだり乱れたりしますし、雑音ハウリングも仕方がないところでしょう。
もちろん部分的に欠落しているところは、客席からの音源やビデオソースで補っていますが、ロン・ウッドのギターはテンションが高いし、ビル・ワイマンのベースはうねりまくっていますよ♪ ビリー・プレストン&オリー・ブラウンの助っ人組も大活躍です。
肝心の演目では、ほぼ4年ぶりの冒頭「Satisfaction」からバンドがノリノリで、特にビル・ワイマンのベースが物凄いですし、チャーリー・ワッツのドラミングも強烈! あぁ、このテーマリフは永遠に不滅ですねっ♪
そして「Around And Around」や「Little Red Rooster」という初期の演目では、ロン・ウッドがブライアン・ジョーンズのパートを担当しつつも、キース・リチャーズを置き去りにしたような熱演です。というか、このパートはキース・リチャーズのギターがイマイチ、聴こえないのですが……。
さらに懐かしい「Let's Spend The Night Together」では曲紹介から、あのイントロが出た瞬間、客席の興奮が伝わってくる快演で、このハードロックで混濁した雰囲気はストーンズそのものだと感涙します。オリジナルバージョンと大きく異なるダミ声コーラスも良い感じ♪ キース・リチャーズのギターも音をハズシまくっていますが、憎めません。
続く Disc 2 は、最初の3曲までが基本的にサウンドボードのステレオ音源ですが、音質はやや落ちています。そして「Honky Tonk Women」からは「Tumbling Dice」まではビデオ音源でしょう。当然モノラル仕様ですが、それはそれで聞きやすいと思います。そして「Happy」から「Outa Space」までは客席の隠密録音で、またまた音質は落ちますが、リマスターによって低音域が修整されていますし、当時の機材レベルからすれば合格点かもしれません。
しかし「Midnight Rambler」は多分、ビデオ音源でしょうか? 音質は良好なモノラルミックスなんですが、肝心のミック・ジャガーのボーカルが引込んでいて……。さらに続く5曲は再び客席からの隠密録音になりますから、過大な期待は禁物なんですが、バンドの勢いが凄いですから、グッと惹きこまれます♪ そして良く聴くと、複数の音源のミックスになっていて、部分的にはサウンドボード音源??
演奏そのものについては、まず「Route 66」が嬉しいところ♪ やっぱりこういうR&Rを演じるストーンズは世界一ですねっ♪ ビリー・プレストンのピアノも存在感があります。
ということで、この頃のストーンズはファンキーロック路線で押しまくっていた頃ですが、いずれの演目もヘヴィなグルーヴと真っ黒なフィーリングが表出したドロドロ状態です。ビリー・プレストンとオリー・ブラウンの活躍も大いに目立つところですし、ロン・ウッドのギターからはニューソウルっぽいフレーズが出まくりです。特に「Wild Hores」は個人的に大好き♪
そのあたりは公式ライプ盤の「ラブ・ユー・ライブ」でも楽しめるところなんですが、あれはスタジオでの手直しでダビングや編集が多く、音もすっきりと整理されていますから、ブートでリアルにドロドロのストーンズを体験してしまうと物足りません。当時は実際のライブに行けた日本人ファンは少なかったはずですから、ブート中毒に陥るのも許されると自己弁護しています。
そしてこのブツは、ブート初心者にもオススメ出来るものです。機会があれば前述の「ラブ・ユー・ライブ」あたりと聞き比べてシビレるのも最高だと思います。
思えばストーンズの野外演奏は、あのオルタモント以来ですからねぇ~。お祭気分で昔の演目をやってしまったのかもしれませんが、全体のテンションの高さも、それゆえかもしれません。