OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

バブルの中のブルージン・ボーイ

2020-09-25 20:21:10 | 歌謡曲

ブルージン・ボーイ / 森下恵理 (RVC)

所謂「1980年代アイドル」が最も勢いを増していたのは昭和60(1985)年頃だったと思えば、時代は例のバブル期の入り口にあったということで、どんな業界においても、やればやれるだけ、どこまでもやれそうな現実を感じていたのですから、芸能界も例外では無かったのでしょう。

実際、その頃にデビューした女の子アイドルが残したレコードは夥しくも、しかも、決して有象無象とは言いきれない、それなりの魅力がきっちりと刻まれた作品になっており、もちろん本人達の個性だって、アイドルのステレオタイプでありながら、それが今に至る人気の要因になっている事も、これまた決して否定出来るものではありません。

本日掲載のシングル盤で昭和60(1985)年に公式デビューした森下恵理も当時、そ~した勢いで売り出されていた新人だった印象で、なにしろ件のA面曲「ブルージン・ボーイ」は作詞:安井かずみ&作曲:加藤和彦という、その頃には洋楽マニアからも一目置かれていたソングライターコンビから提供されたという事はばかりではなく、プロデュースまでもが加藤和彦!

それがウリにされていたのは、一般的なイメージとしての歌謡曲が洋楽に劣らないセンスと存在感を認められていたればこそっ!?

平たく言えば、それまでは洋楽ばっかりを第一義としていたリスナー、殊更往年のポップス少年が三十路前後の年齢に達していた事とも無関係ではなく、つまりは堂々と歌謡曲や歌謡ポップスを「アイドル」という括りで聴ける環境が出来上がったからだと思うんですが、いかがなものでしょう。

その免罪符(?)がソングライターのクレジットを確認するという作業である事は言わずもがな、そこに「加藤和彦」を確認出来れば、後は自ずと素直になれたのが、あの頃だった様な気がするほどです。

で、肝心の森下恵理が演じる「ブルージン・ボーイ」は、アップテンポのオールディズ系アイドル歌謡ポップスであり、ちょっぴり儚げな印象ながら、実は芯の強い声質と意想外とも思えるロックっぽい節回しが披露されるという、これが実にマニア泣かせの仕上がりなんですねぇ~~♪

全くのアイドル歌謡でありながら、ガールバンドのプログラムとしても相当にイケるんじゃ~ないでしょうか。

しかし、当時は確かテレビではバラエティ番組で天然ボケみたいなキャラでも活躍していたのは、ちょいと中途半端な芸能活動?

そんなこんなの所為もあり、サイケおやじとしては、「森下恵理=ブルージン・ボーイ」というのが最高の輝きであり、歌手としても、これ以上のヒットは無かったと記憶していますし、バブルが弾けた頃に引退されというのであれば、それも絶妙の選択だったと思いたいところです。

ということで、「バブル経済」なんてものは、もう二度と広まる事は無いでしょう、少なくともサイケおやじが生きているうちには……。

しかし、そんな実態の曖昧な社会にあっても、確実に残された事象は夥しく、例えば冒頭に述べた「アイドルのシングル盤」でさえも、今となっては様々な意味で「宝庫」でありましょう。

今日はちょいと当時の仕事関係者と久々に会ったという事もあり、急に森下恵理が聴きたくなったのも、偏に懐かしさだけではない、あの時代の狂騒と夢の残滓に浸りたかったという、つまりは希望の再燃を願っているというわけです。

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