■冬子のブルース / 安井千代美 (クラウン)
掲載したのは昭和42(1967)年2月に発売された、日本テレビの所謂昼ドラ「有料道路」の主題歌「冬子のブルース」を収録したシングル盤なんですが、もちろん、サイケおやじにとって、歌っている安井千代美は「この人」シリーズに分類するしかありませんし、掲載盤にしても、中古ゲットした1枚であり、それも決して自ら率先しての猟盤ではありませんでした。
実は、この件は学生時代の友人が「昼ドラ」を卒論にするという、サイケおやじにとっては、共感とか親和性なんか、全く心に覚えのない分野ですから、ほとんど暴挙としか思えなかったんですが、ある行掛りから、前述「昼ドラ」関連の主題歌音源集めを手伝う事になり、そんなこんなでサイケおやじの手元に今も残っているのが、この1枚というわけです (^^;
ちなみに、今は絶滅状態ですが、テレビが家庭に普及した昭和30年代後半からの10年間ほど、真昼間の正午から午後2時の時間帯は各局が挙って 15 ~ 30分放送枠の連続ドラマを連日放送しており、そのほとんどが白黒作品ではありましたが、如何にも主婦層にウケそうな恋愛よろめき物や女性立志伝、そして家族や働く女性の諸問題等々を今にして思えば、それなりのエグ味を入れて制作していましたので、昼帯放送とはいえ、スポンサーも洗剤会社や食品会社の大手がついていたという、欧米で云うところの「ソープオペラ」的な物語だったというのは、前述した友人からの受け売りです (^^;
で、この安井千代美が歌う「冬子のブルース」は既に述べたとおり、昭和42(1967)年に放送されていたらしい「有料道路(日本テレビ)」の主題歌として、作詞:星野哲郎&作曲:鏑木創が書いたスローテンポの哀切ムード歌謡で、当然ながら咽び泣くテナーサックスやチープなオルガン、程好くドラマチックで薄めのオーケストラ伴奏をバックに節回される歌謡世界は、どうやら「銀座の夜の街」で生きる冬子という女の物語なんでしょうか、安井千代美のアルトボイスが、なかなかにイイ感じ ♪♪~♪
残念ながら、件の昼ドラ「有料道路」に一度も接した記憶が無いサイケおやじにとっては、あくまでも音楽だけの印象ですから、それほどのヒット性感度は覚えないんですが、逆もまた真なり!?
と申しましょうか、こ~ゆ~哀切ムード歌謡も、時には心に響く時もあろうかと……、そんなふうに思い込んで幾年月……。
今となっては、すっかり「ワイドショー」に駆逐されてしまった「昼ドラ」という、それはそれで強い印象を残した「お楽しみの時間」を回想するには映像の復刻は無理が大きいという現実問題がありますから、やはり当時の主題歌を聴くしかないわけで、ならばっ!
「昼ドラ主題歌傑作選」みたいな復刻盤が編まれるのも待望であり、「冬子のブルース / 安井千代美」が入っていれば、尚更に良しっ!
ということで、最後になりましたが、冒頭に述べた友人の卒論テーマ「昼ドラ」は目出度く完成し、その勢いで本人もテレビ制作に関わる仕事に就いたものの、リタイアまで、ひとつも連続ドラマに携わる事が出来ず……。
そんなこんなの現実の厳しさも、一篇のドラマじゃ~ないんでしょうかねぇ~。
不遜にも、生意気な事を考えてしまうのでした (^^;