OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

エルトン・ジョンの他力本願

2012-01-26 16:48:07 | Singer Song Writer

Lucy In The Sky With Diamonds c/w One Day At A Time / Elton John (DJM / 東芝)

シンガーソングライターがそう呼ばれるのは、自作自演がウリの基本だからでしょうが、しかし現実的にはカバーバージョンでヒットを飛ばす「歌手」も少なくありません。

中でも有名なのは、如何にもシンガーソングライターのイメージそのものというジェームス・テイラーで、もちろん自作の歌は素晴らしい作品がどっさりあるんですが、何故かシングル曲して大ヒットさせるのが、例えばキャロル・キングの「君の友達」やマービン・ゲイの十八番「How Sweet It Is」だったりするんですから、その気分は???

しかし同じような事をやっても、本日の主役たるエルトン・ジョンの場合は立場が最初っから異なるというか、シンガーソングライターである事には違いがないのですが、基本は作曲家兼歌手であり、作詞は相棒のバーニー・トーピンに任せていたのが全盛期の実相であれば、1970年代中頃からのエンタメ路線への完全転向も納得出来るような気が致します。

で、その決定的な証拠物件(?)が掲載したシングル盤で、なんとっ! 収録両面2曲共がジョン・レノンの代表作!!?!

いゃ~、率直に言って、これが出た1974年リアルタイムでの衝撃度は個人的にも非常に大きく、なにしろ作者のジョン・レノンが「夢の大共演!!」とジャケットにもウリ言葉になっているほどですから、たまりません!

まさに「エルトン・ジョン・レノン」という奇蹟のコラポレーションで作られた事により、これはガチガチの大ヒット本命盤で有り過ぎて、本当に喜んで良いのか!? ちょいと悩んでしまった記憶さえあります。

実はこの背景には当時のジョンがヨーコとの別居生活の場を西海岸のLAに求め、自らの音楽活動よりは気の合う仲間と連日の夜遊びという、まさに「鬼の居ぬ間」というか、久々の気儘な独り暮らしを満喫していた状況があり、そんな中で親交を深めたひとりがエルトン・ジョンでした。

そしてお互いのレコーディングセッションにゲスト参加することにより、まずは1974年秋に出たのがジョン・レノンのアルバム「心の壁、愛の橋」からの第一弾シングルとなった「真夜中を突っ走れ」で、ジョン・レノン&エルトン・ジョンの極楽デュエットも痛快なR&R♪♪~♪ 見事、チャート首位の大ヒットになった事は、皆様がご存じのとおりです。

一方、同時期に発売されたこちらのシングル盤A面曲「Lucy In The Sky With Diamonds」にはジョン・レノンが Doctor Winston O'boogie & His Reggae Guitars のクレジットで参加し、芸名どおりに演奏の中間部で展開されるレゲエ調のパートでのギターは、おそらく本人なのでしょう。翌年早々には堂々のチャートトップに輝く傑作カバーバージョンとなった次第です。

しかし、エルトン・ジョンをシンガーソングライターの代表格と思い込んでいるイノセントなファンにとっては、サイケおやじも含めて、きっと違和感があったと思います。

極言すれば、なにかジョン・レノンの名前を利用した、非常な商業主義!?

そんなムードが打ち消せないんですよねぇ……。

ただしエルトン・ジョンの態度は極めて本気度が高く、自身の各種キーボードプレイを活かしきったアレンジと演奏は、きらびやかな幻想性とミステリアスな魅力に満ちた原曲の味わいを巧みにバンドサウンドに変換していると思います。

またB面の「One Day At A Time」は、これまたジョン・レノンが1973年秋に出した人気アルバム「ヌートピア宣言」収録オリジナルのカパーで、残念ながらジョン本人は全く参加していないのですが、それゆえにノビノビとした仕上がりがエルトン・ジョンならではの大らかさを表出する結果の名唱名演♪♪~♪

個人的にはA面よりも、こっちに針を落すことが多いのは、今も変わりありません。

しかし、それにしても、結局は前述のモヤモヤは晴れません……。

なにしろ今や歴史となったエルトン・ジョンの全盛期は1975年前後の数年間だと思われますが、その代表作とされるアルバム「キャプテン・ファンタスティック」はアメリカにおいて、同年5月の発売と同時にチャートの首位に君臨するという偉業を達成しながら、サイケおやじにはその内容にちっとも魅力を感じず、それまでの所謂エルトン節がネタ切れ状態に思えましたし、すると「キャプテン・ファンタスティック」と同時期のセッションから制作発売されたこの秀逸カパーのカップリングシングルの存在も、それゆえの苦肉の策だった……??

という、本当に不遜な勘繰りまでしたくなるんですよねぇ。

ところが、それを救っているのが、この頃からさらに自意識過剰気味に展開されていくエルトン・ジョン世界のエンタメ路線であれば、逆にこういうカパーが作られなかったら虚しくなるほどです。

そして実際、以降のエルトン・ジョンは例の映画版「トミー」関連のシングル曲として「ピンボールの魔術師」までも大ヒットさせ、全盛期を維持していくのです。

つまり、これまたサイケおやじの独断と偏見ではありますが、エルトン・ジョンという偉大な存在が、真のシンガーソングライター期から広義の芸能歌手へと向かう分岐点として決意表明したのが、本日ご紹介のシングル盤だったという受け止め方もあると考えます。

もちろんサイケおやじが、以降のエルトン・ジョンをあまり聴かなくなってしまったのは、皆様がご推察のとおり……。

ということで、果たしてこのシングル盤にジョン・レノンが参加していなかったら、サイケおやじは絶対に買ったとは言い難いものがあります。

ただしエルトン・ジョンとジョン・レノンの交友関係については否定するつもりなど全く無くて、そうした中からジョン・レノン最後のコンサート出演となったのが、飛び入り参加したエルトン・ジョンのステージライプであった歴史も、それが公式録音されて発売されている事実も含めて、感謝する他はありません。

そしてシンガーソングライターのブーム、それ自体にもっ!

他力本願も、悪い事ではありませんよねぇ~♪

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