■バス・ストップ / The Hollies (Parlophone / 東芝)
ホリーズと言えば、今ではクロスビー・スティルス&ナッシュ=CS&Nのメンバーというグラハム・ナッシュが在籍していたイギリスのコーラスグループ!? とだけしか認識されていないようですが、抜群のコーラスワークと安定した演奏技術が最高の魅力は、永遠に不滅だと思います。
尤もサイケおやじにしても、そこに魅了されたのは後年のことで、やはりリアルタイムでシビレたのはメロディ優先主義の楽曲と初期のビートルズから直系の音作りでした。
このあたりはホリーズがビートルズと同じレコード会社に所属していた事、さらにプロデューサーがビートルズ担当のジョージ・マーテインの弟子筋だったロン・リチャーズだった事、等々とは無縁ではありません。もちろんホリーズのメンバーはビートルズのファンであり、尊敬もしていたようです。
さて、本日ご紹介のシングル曲は、中でも特に日本で決定的な人気を得た哀愁のメロディ♪♪~♪ その胸キュンな雰囲気とハートウォームでカッコ良いコーラスワークは唯一無二でしょう。これが大ヒットしていた昭和41(1966)年からの前後2年間あたりが、ポップスバンドとしての全盛期だったと思います。
ちなみにホリーズのメンバーはデビュー当時から流動的で、この「バスストップ」録音時は、アラン・クラーク(vo)、クラハム・ナッシュ(vo,g)、トニー・ヒックス(g,vo)、バーニー・カルヴァート(b)、ボビー・エリオット(ds) の5人組だったと言われています。ただし、これには諸説があり、ベース奏者がジャック・ブルースだという噂するあるのですが、そうだとすれば、この日本盤シングルのジャケット写真は違っているような……。
まあ、それはそれとして、ホリーズはバンド名からも推察されるように、元祖シンガー・ソングライターで天才的なロックンローラーでもあったバディ・ホリーの影響が大きいとされますが、私は??? 個人的には兄弟バンドとして卓越したハーモニーワークとメロディ良優先主義を貫いたエヴァリー・ブラザースのビートルズ的解釈のバンドだと思っています。
このあたりはビートルズのジョンとポールが、やはりエヴァリーズに影響を受けていた事にも通じるんでしょうが、ホリーズの場合はメインのメロディを歌うアラン・クラーク、ハイトーンのハモリが上手いグラハム・ナッシュ、そして低音コーラスを受け持つトニー・ヒックスという三声のボーカルが実に最高です。
しかも演奏パートではトニー・ヒックスのギターが重要な働き! ギタリストとしては今日まで全く評価されていない人ですが、隠れ名人といって過言ではないと思います。
そのあたりはB面に収録された「I Can't Let Go」でのギターとペースの力感溢れる演奏にも顕著!
さて、こうして我が国でもブレイクしたホリーズは、しかしリアルタイムではこの後からサイケデリック街道へ踏み込んでいきます。それは当時の最先端でもありましたが、ご推察のようにホリーズは結果を残せませんでした。今日では、その時期の売れなかったアルバムが再評価されていますが、バンドとしての方向性は、やはり売れセン狙いが本命だったようです。
そして前衛路線を推進したグラハム・ナッシュはグループを抜け、前述したCS&Nを結成し、歴史的な名盤・名唱を残すわけですが、肝心のホリーズにしても昭和44(1969)年には「ごめんね、スザンヌ / Sorry Suzanne」というウルトラ級の素敵なメロディヒットを出すなど、以降もしぶとい活動を続けています。
ただし、それゆえに過小評価の度合いが高くなっていったのは皮肉でした。
正直、サイケおやじにしても、CS&NはCSN&Yになっても新作が楽しみだったのとは逆に、ホリーズは何時までたっても「バス・ストップ」の世界に留まっているのです。そして後追いで聴く初期のホリーズには、ビートルズっぽさが尚更に強く感じられ、せつないような嬉しさを噛みしめてしまいます。
ちなみに曲を書いたのは、後にビートルズ風味の凝り過ぎポップスバンドだった 10CC でブレイクを果たすグラハム・グールドマンなんですが、それにしても「バス・ストップ」を聞いていると、個人的にはビートルズの「今日の誓い / Things We Said Today」が聴きたくなるのでした。
あっ、ジャガーズの「マドモアゼル・ブルース」も、ねっ♪♪~♪
コメント、ありがとうございます。
いゃ、もう、このあたりは中年者の懐かしさ♪
音楽だけでなく、読み物やテレビ、映画まで共通しているはずですよ♪
それと、このB面曲は、イギリスでは「バス・ストップ」の直前に出たシングルA面曲みたいですよ。
つまり、お買い得!
本当に日本盤のシングルは侮れません。
この手のシングル、今となるとB面が結構オツだったりしますな。