■愛があるから生きている / 松本小雪 (東芝)
掲載したのは元祖「不思議さん」の松本小雪がアイドルをやっていた昭和58(1983)年4月に出した、おそらくは最初のシングル盤かと思われますが、告白すればサイケおやじは、彼女がこんなレコードを出していたなんて、かなり後々まで知る由もありませんでした。
もちろん、「松本小雪」という存在を知った経緯についても、既に皆様ご推察のとおり、昭和59(1984)年に小学館から刊行されていた人気写真雑誌「写楽」とかグラビア芸能誌「GORO」に掲載された、篠山紀信の撮影よる鮮烈なヌード!?!
なにしろ撮影当時の彼女はバリバリの現役女子高生だったいうウリ(?)があったもんですから、忽ちにして世間を騒がせるほどの注目を集めたわけですが、ど~ゆ~理由からだったのか、そ~なってからも所謂アングラっぽい活動に邁進(?)していた感があり、ようやく表舞台に堂々と登場する様になったのは昭和60(1985)年、例の「おニャン子クラブ」を扱っていた「夕やけニャンニャン(フジテレビ)」での司会の仕事だったというわけで……。
しかし、そこでも彼女のヘアメイク&ファッションが当時の最先端である、青山~原宿系のブティックの店員みたいなスタイルであり、具体的には刈り上げヘアに黒を基調とした衣装、ペッタンコの靴に不愛想なメイク等々は、ほとんど同年齢だった「おニャン子」の面々が相当に幼稚に見えてしまう存在効果の威力は絶大でしたねぇ~~!?!
そして、もちろん、彼女には純正アイドル(?)時代があった事が広く知られる様になったのは、この頃だったと思います。
なにしろ掲載したシングル盤が中古屋で値上がりしたという噂もあったほどで、サイケおやじの私有盤にしても、なかなか入手出来ずに月日が流れ、ようやく昨年、ネットで纏め売りされていたアナログ盤の山の中から掘り出したのが真相であります (^^;
さて、そこで肝心の収録A面曲「愛があるから生きている」は作詞:富田玲子・岩谷時子&作曲:平尾昌晃という輝かしいクレジットが確認出来るスローテンポのプログレ歌謡と申しましょうか、文学性の高い歌詞の世界に附されたメロディはマイナーモードの湿っぽさも程好く、サウンド作りの勿体ぶった雰囲気にしても、若草恵のアレンジにイヤミがありませんから、間奏におけるピンク・フロイドのデイヴ・ギルモアっぽい泣きのギターがニクイばかり♪♪~♪
そして、せつせつと歌い上げる松本小雪の微妙に不安定な歌唱力が逆にイイ感じで、曲が進むに連れて、ノリが良くなっていくあたりは確信犯なんでしょうかねぇ~~、なかなかに心に染み入る名曲・名唱と思うんですが、いかがなものでしょう。
あぁ~~、もっともっと松本小雪のレコードを聴きたくなるんですが、他にも出しているのかなぁ~~~?
というのも、彼女は既に述べたとおり昭和60年代以降、ある種の文化人みたいな芸能人という、敷居の高さを売り物にしていくわけでして、仕事もデザイン関係とか、アングラ芝居とか、本気で「不思議さん」をやっていきながら、今は何をしているんでしょうか……?
平成に入り、サイケおやじが長い島流しから帰参した時には、既にフェードアウトしてしまったみたいで…… (^^;
ということで、どんな世界にも文化人に変身(?)していく同族は後を絶ちませんが、あんまり香りの高い言動や行動は、それなりにイヤミも目立つものでょう。
だからこそ、そんな人物は過去を掘り返される必然性を伴っているわけで、しかし、そこに別角度での輝きが発見されるならば、やはり大切なのは現在?
まあ、人間は過去の事なんかよりも、今が大切なんでしょうかねぇ~~?
でも、サイケおやじは、過去にしか拘れない性格・性質を自覚させられるばかりです (^^;