OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ブリブリのライブ!

2008-02-16 18:25:01 | Jazz

寒波の所為か、葬式が増えているような気がします。

そして自分自身も、些か疲れ気味……。

ということで、エネルギー満タンのアルバムを出してみました――

Charles Mingus At Antibes (Atlantic)

ジャズ界で最も武闘派といえば、おそらくはチャールス・ミンガス親分が率いるバンドかもしれません。その歴代メンバーは、いずれも硬派でイケイケの面々ばかりですが、特に脂っこい集団だったのがエリック・ドルフィーが在団していた時期だと思います。

というか、エリック・ドルフィーという超絶の個性派が居たおかけで、ミンガス親分も引くに引けない状態だったのかもしれません。

で、このアルバムは、そんな時期のステージを発掘したライブ盤で、録音は1960年7月13日、フランスはアンチーヴジャズ祭でのステージから、メンバーはテッド・カーソン(tp)、エリック・ドルフィー(as,bcl)、ブッカー・アーヴィン(ts)、チャールス・ミンガス(b,p)、ダニー・リッチモンド(ds) というレギュラーメンバーに、1曲だけですが、バド・パウエル(p) が客演♪ ちなみに発売されたのは1976年頃だったと記憶しています――

A-1 Wednesday Night Prayer Meeting / 水曜の夜の祈りの集会
 タイトルどおり、ゴスペル味が濃厚な曲ですが、それにしてもバンドが一丸となったイケイケの姿勢は強烈無比! 蠢くようなチャールス・ミンガスのベースに導かれ、ザワザワしたテーマからテッド・カーソンがツッコミ鋭いアドリブソロを聞かせれば、続くブッカー・アーヴィンはバックのホーンリフを潜り抜けながら脂ぎった存在感を示します。
 しかし圧巻はエリック・ドルフィーの熱血アルトサックスです! ミンガス親分か、誰かの掛声も関係なく、ひたすらに突進しては舞い上がって地獄に急降下する恐ろしさ! 手拍子をバックに無伴奏で吹きまくったり、あるいはダニー・リッチモンドの怒りのドランミングと烈しく対峙しながら、人生最良の一瞬を謳歌するような歓喜悶絶のアドリブには、観客からも思わず拍手が沸きあがるのでした。

A-2 Player For Passive Resistance
 これまたゴスペルとブルースがゴッタ煮となった熱い演奏で、主役はブッカー・アーヴィンながら、随所に凝った音楽的な彩りが添えられて飽きません。
 グイノリのベースとドラムスも気持ち良く、もちろんミンガス親分のベースが勝手にリズム&ビートを変化させ、バンドメンバーが必死に追いかける仕掛けもブッカー・アーヴィンには通用せず、圧倒的に思い込んで吹きまくる潔さが全てかもしれません。

B-1 What Love ?
 このライブの約7ヶ月後に吹き込まれたセッションから「ミンガス・ブレゼンツ・ミンガス(Candid)」というアルバムに収録された演奏が、歴史的名演とされる曲の、これが多分、初演バージョンになるのでしょうか?
 前述のセッションではミンガス親分とエリック・ドルフィーが楽器で会話したという伝説が名演と呼ばれる所以でしたが、ほんまにそうかいな!? なんでもバンドを辞めたいエリック・ドルフィーを親分が慰留する話だそうですが……。私にはさっぱり分かりませんでした。
 で、ここでの演奏は、かなり哀愁が入ったスローな展開で、個人的にはあまり好きではありません。各メンバーのアドリブも中途半端なフリースタイルですし……。ただし、けっこう計算された山場が用意されているのですねぇ。テッド・カーソンが良い味を出しています。
 そしてミンガス親分のベースソロからエリック・ドルフィーのバスクラが暗く咆哮して、例のキャンディド盤の前触れのような展開になるのですが、やはりライブとあって、聴衆を蔑ろにしていない分だけ、好感が持てるのでした。

C-1 I'll Remember April
 ジャズでは定番の有名曲の演奏で、バド・パウエルがゲスト参加♪ それゆえに和みと緊張感が並立した仕上がりです。アグレッシブなアレンジが効果的なテーマ部分からして、実に良い雰囲気です。
 そして一番手として登場するバド・パウエルが、この時期としては快調なアドリブを聞かせてくれます。実はこの演奏だけが映像として残されており、それはエリック・ドルィーの映像発掘DVDで近年出回っておりますが、全く鍵盤を見ないで虚空を仰ぎつつピアノを弾きまくる姿には、圧倒されましたですね。
 また同じ映像を観て仰天したのが、ブッカー・アーヴィンがほとんど動かないでテナーサックスを吹いている姿でした。

D-1 Folk Forms 1
 これまた熱い演奏で、ミンガス親分の豪放で我侭なベースが存分に楽しめます。そしてバンドメンバーが、それを土台として縦横無尽に暴れるという素晴らしさ! ほとんど集団即興演奏というテーマからの展開はスリリングで、限りなくフリーに近く、それでいて分かり易いんですねぇ♪
 いかにもモダンジャズ、硬派なジャズの面目が保たれた仕上がりだと思いますが、ちゃ~んと聞かせる音楽になってますよ。

D-2 Better Git Hit In Your Soul
 これもブルースとゴスペルがゴッタ煮のチャンコ味! テーマ演奏の通俗性が宗教色と対極にあっての馴染方が最高ですし、アドリブパートのスピード感、合の手と掛声、ホーンの蠢きとリフのコール&レスポンスが熱気満点です。
 アドリブソロではテッド・カーソンが熱に浮かされたような素晴らしさ♪ ダニー・リッチモンドのドラミングも恐く、手拍子足拍子からブッカー・アーヴィンの火の出るようなテナーサックス、さらにエキセントリックでウネリまくりのエリック・ドルフィーは、あぁ、これじゃ若死にも……。烈しいです!

ということで、一部はリアルタイムでも出ていた音源らしいのですが、こうして纏めて聴ける幸せは、圧倒的なステージの記録としても貴重です。前述したように映像も残されているようですから、いずれはその全てが公開されることを願っています。

とにかくド頭の「Wednesday Night Prayer Meeting」から圧巻のライブを、ぜひっ! ただし発狂注意です。

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