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サイケおやじの生活と音楽

謹賀新年♪ エロスのレコードでおめでとう♪

2012-01-01 15:54:24 | 歌謡曲

おんな不貞寝の子守唄 (キング)

新しい年も明けまして、「激動」とか「暗い」とか、そんな現実から脱出するべく、皆様も固く決意されているものと拝察申し上げます。

そうした気分は、昭和元禄と言われていた高度成長期やそれが爛熟したバブル期だって、一様に暗くて残酷な日々の連続から成り立っていたわけですし、それをブッ飛ばそうとしていたのが、お正月という行事のひとつの目的意識だったように思います。

例えば映画興業では年末年始の集客を狙いつつも、日頃のご愛顧に大サービスで応える豪華絢爛な作品が公開され、それは業界そのものの下降線がはっきりしていた昭和40年代後期~昭和50年代であっても、やはり期待せずにはいられないものでしたし、リアルタイムのサイケおやじにしても、少年期は特撮映画であり、長じてからはエロキューション満載の娯楽作品を狙い、さらには洋ピン物を含む成人映画の大作(?)を楽しみにしていましたですねぇ。

さて、そこで本年は「日活100周年」ということで、既に各方面で様々な企画がスタートしておりますが、そんなサイケおやじとしては、やはりロマンポルノを避けて通るわけにはまいりません。

ご存じのとおり、昭和46(1971)年にスタートしたそれは成人映画ですから、時代的には現代のAVよりも遥かに背徳性の強い扱いを受けながら、しかし我国屈指のプログラムピクチャーとして、まさに日本映画の伝統を支え続けた偉業であり、今日活躍する映画人の多くが現場で働き、関わってきた歴史は否定出来るものではないでしょう。

もちろん出演した女優さんは所謂「裸のお仕事」だけでなく、劇中での物語性を完遂させる演技力も要求される中において、立派にスタアの地位を確立させ、今も一般映画やテレビに登場している芸能人は大勢存在しています。

ですから彼女達がリアルタイムで歌手活動をやる事はスタアの証明であり、何らの違和感も無かったのは、それほどロマンポルノが大衆に受け入れられていたという事に他なりません。

さて、そこで本日のご紹介は昭和50(1975)年に発売されたロマンポルノ関連企画としては超豪華なアルバムで、当時第一線のスタア女優が参加した歌謡オムニバス盤♪♪~♪

 A-1 黒の舟歌 / 白川和子
 A-2 愛の花園 (ジュテーム) / ひろみ麻耶&谷口香織
 A-3 女の意地 / 丘奈保美
 A-4 行かないで / 吉川亜樹子
 A-5 夢は夜開く / 山科ゆり
 A-6 エマニエル夫人 / ひろみ麻耶
 B-1 星の流れに / 二條朱美
 B-2 あまい囁き / 宮下順子&水乃麻希
 B-3 カスバの女 / 冬木なか
 B-4 雪が降る / 立花りえ
 B-5 ベッドで煙草を吸わないで / 宮下順子
 B-6 爪 / 片桐夕子
 B-7 おんな不貞寝の子守唄 / 全員

上記収録の演目は知っている歌も、また知らない歌だったとしても、アレンジや歌詞が如何にも演出になっていますから、スクリーンの中の彼女達の演技を思い起こし、連想するほどに楽しい事は言うまでもありません。

特に宮下順子と水乃麻希による「あまい囁き」は秀逸で、オリジナルは雰囲気たっぷりのエロティックなフレンチポップスの極みつきとしてアラン・ドロンとダリダ、そして日本語バージョンとしては細川俊之と中村晃子によって大ヒットしていますが、タイトルに偽りの無い甘~いメロディをメインで歌う女性ボーカルに対し、色男の日常的な語りがキメという部分は、アラン・ドロンや細川俊之のような典型的な二枚目でなければ恥ずかしいばかりでしょう。

それをここでは水乃麻希の幾分慎重な歌い回しと宮下順子の「声の魅力」が全開の語りで構成するという、なかなかレズビアンなムードも濃厚ながら、実は男と女の真っ当な営みにも充分に適応してしまう演技がニクイばかり♪♪~♪

ちなみに宮下順子はピンク~ロマンポルノでは大人気女優であり、一般作品やテレビでも活躍していますから説明不要かと思いますが、それは持ち前の美貌に加え、台詞回しに特有の甘さや落ち着いたエロキューションがあるからでしょう。

また水乃麻希は日活デビュー作「続レズビアンの世界・愛撫(曾根中生監督)」でジワジワと熱い演技を披露し、強い印象を残した直後のレコード発売とあって、ここでの存在感も実に新鮮というところでしょうか。ちなみに彼女は日本舞踊の世界では藤間千代子と名乗る名取りだったそうですよっ!? また昭和53(1978)年頃には東映に移籍し、水乃麻規子として活躍しています。

そうしたポイントでは、ひろみ麻耶と谷口香織による「愛の花園(ジュテーム)」も流石の仕上がりで、オリジナルはジェーン・パーキンとセルジュ・ゲンスブールですから、フレンチポップスに特有の柔らかなエロキューションは「お約束」以上であり、それがここではロリ萌え全開の谷口香織の語り、ひろみ麻耶の激ヤバ吐息唱法で再構築されるという、これぞっ、エロスの桃源郷が現出♪♪~♪

なにしろ谷口香織は、このアルバム発売と同時期の昭和50(1975)年8月に新人ながら隠れ人気作「わななき(西村昭五郎監督)」の主役として大抜擢のデビュー! その愛くるしい面立ちとバランスの良い肢体の魅力で忽ちスタアになりましたが、翌年の春には早過ぎる引退がファンを嘆かせました。

しかし、一方のひろみ麻耶は、既にメリハリ抜群のナイスバディで大活躍のトップ女優として、日活以外でも多くの作品に出演していますから、説明不要とは思いますが、巨乳系グラマーとしての存在感と濃厚な演技、さらに洋風のルックスが如何にも男好きするタイプでしたねぇ~♪ ただし悪いクスリでフェードアウトしたのは残念でした。

ということで、このアルバムには「歌を演じる」という制作方針が大きく打ち出されている感があり、その意味で収録各曲に登場する女優さんのプロフィールやキャラクターが大きな魅力であることは言うまでもありません。

それはもちろん、失礼ながら決して上手いとは言い難い歌唱力を演技で補うという、まさに彼女達の個性の発露であり、山科ゆり、あるいは片桐夕子といった、人気抜群のスタア女優にしても、その出演した作品とのスタンスの違いは無いのでしょう。

ですから、山科ゆりが歌えば、サイケおやじは彼女が主演した傑作「古都曼陀羅」や「白い娼婦」等々を、また片桐夕子ならば「夕子の白い胸」等々を発作的に思い出してしまうのも、所謂「パブロフの犬」というところですし、ロマンポルノのスタア女優にして、一般映画やテレビ作品でも人気を掴んだ彼女達であればこその名演名唱というわけです。

なにしろ山科ゆりは、あのテレビ特撮の人気作「電撃!ストラダ5」のヒロインとして、少年達を前にしても奇蹟的な処女性を披露していたのですから!?

しかし、当然ながらエロ映画では熟女系の女優さんが発散する、実に濃厚なエロキューションも欠かせませんから、白川和子と二條朱美の二大スタアがここに参加したのも必然性があります。

それと各社で活躍しながら、些かマニアックな人気しか得られなかった丘奈保美、あるいは冬木なか、立花りえ、吉川亜樹子といった、今となってはちょいと地味な印象の女優さんにしても、ここに堂々と歌謡アルバムを出している事実は無視出来ないでしょう。

それほどリアルタイムのロマンポルノは社会的な影響も含めて、強力な人気があったんですよっ!

繰り返しになりますが、「日活100周年」ということで、本年はロマンポルノ名作選の上映企画も予定されているようですから、この機会に幻化している本アルバムの復刻も強く望みたいところです。

本日は年頭にあたり、そんな願い込めての掲載であります。

煮詰まった世相を明るくするのは、エロスが一番!

どうか、今年もよろしくお願い致します。

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