■乱気流 / 早川由貴 (キャニオン)
今は絶滅していますが、昭和50年代のテレビ番組では所謂「2時間ドラマ」「2時間サスペンス」が夜の9時台の王道だった事は如何にも懐かしく、しかも劇中の挿入歌やエンディング・テーマに歌謡曲が用いられるのも流行最前線であり、そこから大きなヒットが生まれた事は、例えば岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」が有名ですし、またテレビドラマそのものが、歌謡曲のヒット作と大いにリンクしていた事は、様々な例を挙げるまでもないと思います。
ですから、逆に言えば、そうした使われ方をしていたら、必ずやヒットしていたであろう楽曲も夥しく世に出ていた事が確実に認められる証拠物件のひとつが、昭和53(1978)年に発売された本日掲載のシングル盤A面曲「乱気流」だと、サイケおやじは今でも思い込んでいます。
歌っている早川由貴については、知るところもありませんが、作詞:竜真知子&作曲:佐藤健が提供の「乱気流」は、とにかく男女の別れを綴った歌詞に刹那のメロディを付した、基本はミディアムテンポの「泣き」の歌謡フォークなんですが、萩田光雄のアレンジが16ビートを使い、所謂頭サビからグッと盛り上げておいての歌謡フォーク路線に繋げているので、グルーヴィなエレキベースや哀愁滲むストリングス等々、このあたりはカラオケだけ聴いていても、なかなか楽しめるんじゃ~ないでしょうか。
そして肝心の早川由貴のボーカルは少し厚みを感じさせる声質で、低音域も伸びていますし、それでいて節回しには上品さがあり、なかなかの実力派のような気がしますが、告白すれば彼女のレコードは、これっきりしか持っていないので、安直な結論は述べることが出来ません。
しかし、サイケおやじは当時、例によって有線でこの「乱気流」を聴き、一発で気に入って速攻ゲットするべくレコード屋に赴けば、出会ったレコードジャケットのポートレートが掲載したとおりの「おばちゃん系」だったのは実力派らしい佇まいだと思いましが、なんとっ!
この当時の早川由貴は、公称17歳!?
ということは、バリバリのアイドルとして売られていたんでしょうか!?
もちろん、サイケおやじは既に述べたとおり、彼女のプロフィールを知りませんし、テレビやライブステージで歌っている姿にも接した事がありませんでしたから、もしかしたニューミュージックの領域で活動していたのかもしれませんが、結果的にこの「乱気流」はヒットしたとは言い難く……。
しかし、冒頭で述べたように、もしもその頃のテレビドラマで使われていたら、吹き抜ける風の如く乱れる心の荒んだ風情を歌った、せつなくも胸キュンの「乱気流」は、もっと人気を集めていたと思いますねぇ~~♪
落ち着いた彼女の声質そのものが、実に良い感じですからっ!
ということで、早川由貴の「乱気流」は、これまた私的な名曲名唱ではありますが、機会がございましたら、皆様にもお楽しみいただきとうございます。
また、彼女が何枚のレコードを残しているのか、全く探索も出来ていませんが、音源が纏まって復刻されている事を願っているのでした。
①キャニオンC-106 「サ・ヨ・ナ・ラ・セプテンバーc/w後悔日誌」
②キャニオンC-129 「羽衣c/wレンガと風船」
③キャニオン 「アイドル神話」(VA)と言うCDに「乱気流」が収録されてます。