「支出増え、ゆとりなし」 日銀、生活意識調査(14.7.4 朝日新聞)
収入は変わらないのに支出は増え、ゆとりがなくなってきた――。日本銀行が3日まとめた6月の「生活意識に関するアンケート」で、消費増税や物価上昇で家計のやりくりが苦しくなっている事情が浮かび上がった。
20歳以上を対象にした3カ月に1度の調査で、全国2275人が答えた。支出が前年より「増えた」と答えた人の割合から「減った」の割合を引いた指数はプラス25・1と、前回の3月調査より7ポイント増えた。これに対し、収入についての指数は前回から横ばいだった。さらに、物価が上がった」と回答した人は7割を超え、ガソリン価格が高かった2008年12月以来の高水準となった。
このため、今のくらしが1年前より「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は43・7%にのぼり、13年3月以来の高水準となった。
景気が前年より「良くなった」と答えた人の割合から「悪くなった」と答えた人の割合を引いた指数はマイナス10・0と前回より3.6ポイント悪化した。1年後の景気も「変わらない」と答えた人が約6割を占めた。
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同じ紙面(ページ)に「賃上げ15年ぶり2%台 中小・非正規は低調 春闘 連合集計」という記事がありました。連合の集計によりますと、会社側に賃上げを求めた7174労組のうち、7月1日時点で約8割の労組が妥結し、平均の賃上げ額は5928円と前年よりも1062円多く、賃上げ率は0・27%だったということです。
しかし総務省が発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同期比3・4%の上昇でした(6月28日中日新聞)。2%の賃上げがあっても、3%の物価上昇に追いついていない生活実態を、日銀の調査は示しています。
さらに連合の調査で、中小企業の平均賃上げ率は1・76%、額にして2020円。大企業平均より1448円少なく、非正規社員の時給が増えたのは平均で11・64円でした。
やはり同じ紙面で「役員報酬1億円超 最多360人」と出ていました。数日前にも、日産のゴーン社長の2013年度の報酬が9億9500万円、トヨタ自動車の豊田章男社長も12年度より4600万円増えて2億3000万円ということが記事になっていました。
一方、6月27日に厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率は前月より0・01ポイント高い1・09倍でした。数字の上では仕事を探している人の数を上回る求人があったということですが、「求人の中心は依然非正規が占め、正社員に限れば求人倍率は0・67倍と3人に2人分の仕事しかない」(6月27日朝日新聞夕刊)というのが実情です。
アベノミクスは株高や自動車生産台数の増加など、一見華やかに進んでいるようにみえますが、庶民の生活を改善するには至っていないようです。
大西 五郎
収入は変わらないのに支出は増え、ゆとりがなくなってきた――。日本銀行が3日まとめた6月の「生活意識に関するアンケート」で、消費増税や物価上昇で家計のやりくりが苦しくなっている事情が浮かび上がった。
20歳以上を対象にした3カ月に1度の調査で、全国2275人が答えた。支出が前年より「増えた」と答えた人の割合から「減った」の割合を引いた指数はプラス25・1と、前回の3月調査より7ポイント増えた。これに対し、収入についての指数は前回から横ばいだった。さらに、物価が上がった」と回答した人は7割を超え、ガソリン価格が高かった2008年12月以来の高水準となった。
このため、今のくらしが1年前より「ゆとりがなくなってきた」と答えた人は43・7%にのぼり、13年3月以来の高水準となった。
景気が前年より「良くなった」と答えた人の割合から「悪くなった」と答えた人の割合を引いた指数はマイナス10・0と前回より3.6ポイント悪化した。1年後の景気も「変わらない」と答えた人が約6割を占めた。
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同じ紙面(ページ)に「賃上げ15年ぶり2%台 中小・非正規は低調 春闘 連合集計」という記事がありました。連合の集計によりますと、会社側に賃上げを求めた7174労組のうち、7月1日時点で約8割の労組が妥結し、平均の賃上げ額は5928円と前年よりも1062円多く、賃上げ率は0・27%だったということです。
しかし総務省が発表した5月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同期比3・4%の上昇でした(6月28日中日新聞)。2%の賃上げがあっても、3%の物価上昇に追いついていない生活実態を、日銀の調査は示しています。
さらに連合の調査で、中小企業の平均賃上げ率は1・76%、額にして2020円。大企業平均より1448円少なく、非正規社員の時給が増えたのは平均で11・64円でした。
やはり同じ紙面で「役員報酬1億円超 最多360人」と出ていました。数日前にも、日産のゴーン社長の2013年度の報酬が9億9500万円、トヨタ自動車の豊田章男社長も12年度より4600万円増えて2億3000万円ということが記事になっていました。
一方、6月27日に厚生労働省が発表した5月の有効求人倍率は前月より0・01ポイント高い1・09倍でした。数字の上では仕事を探している人の数を上回る求人があったということですが、「求人の中心は依然非正規が占め、正社員に限れば求人倍率は0・67倍と3人に2人分の仕事しかない」(6月27日朝日新聞夕刊)というのが実情です。
アベノミクスは株高や自動車生産台数の増加など、一見華やかに進んでいるようにみえますが、庶民の生活を改善するには至っていないようです。
大西 五郎