一応ドイツの勝因に仮説を立てた後、2回目のテレビ観戦をして「そこ」を検証してみた。30分まで見ただけで、勝因は実に明白。たった一言コンパクト陣型である。日本が最もやりたくて出来なかったコンパクト(コンパクトカーという場合の、小さくてもすべてが詰まって中身が濃く、まとまりがあるという意味だろう)をドイツはどうやっていたか。
①攻勢に出ようとする時のDFラインが、とにかく高い。守備時でもセンターサークル近くて、攻撃時にはDFラインがセンターラインを越えている時も多かった。
②ブラジル相手にこんなにDFラインを高くするチームはかってなかったはずだ。ブラジルは明らかに戸惑っていた。縦にパスを出そうにも、ドイツ密集陣営で味方には必ずマークが付いている。ブラジルが中央では前に運べない(パスが出せない)という場面をどれだけ見たことだろう。
③それではとブラジルが抜け出し手への縦パスを狙うなら、キーパーのノイアーが猛然と前に出てくる。キーパーの守備範囲が広いと驚いていた新聞記事があったが、これは意味を取り違えている。DFラインが高いから、キーパーの守備範囲が広がらざるを得ないのであって、ノイアーはそういう訓練を積んでいたということなのだ。ノイアーは深い抜け出し用パスを常に狙っているのである。「獲れる、獲れない」の判断を恐ろしく磨いていて、最前列の敵抜け出し手の位置を常に確認しつつ、猛然とダッシュする訓練を積んできたはずだ。なんせ、一瞬の躊躇もなく出てきて、間一髪でシュートを防ぐ場面が多いのが目立っていた。
④さて、これだけコンパクトで攻守に攻勢的な陣型だと、その都度個々人がやるべきことは非常に整理されていて明確になる。予測が出来るから、次への判断、行動が速いのである。ドイツ・ブラジルの1対1競り合い(ドイツ・ブンデスリーガでは、これの勝率個人順位を付けている)でドイツが勝ち、ブラジルがシミュレーションに逃れる場面が多いことに気づいた人も多かったはずだ。
以上、ここまでドイツについて述べてきた僕の「組織的」という意味を説明したつもりである。このやり方こそ、ザックジャパンがやろうとして出来なかったことなのだ。高いDFラインってもの凄い勇気と、前からのプレスが必要なのである。