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新聞の片隅に載ったニュースから(160)          大西五郎

2014年07月30日 19時06分42秒 | Weblog
「国民は安全保障に臆病」菅氏、支持率低下を説明(14.7.29 中日新聞)

菅義偉官房長官は二十八日、首相官邸で会談したカナダのベアード外相から、安倍政権の最近の支持率低下の理由を聞かれたのに対し「国民が安全保障に臆病だからです」と述べた。
ベアード氏が「安倍政権の経済政策はこんなにうまくいっているのに、なぜ支持率が落ちているのか?」と質問したのに答えた。
会談では、安倍政権の経済政策や両国の経済連携協定(EPA)締結について協議。この中で、菅氏は、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈見直しを閣議決定したことを説明し、ベアード氏からは支持する意向が伝えられた。
安倍政権の支持率は集団的自衛権の行使容認後、下降気味。共同通信社の今月一、ニ両日の調査では47・8%で、六月から4・3ポイント下落した。

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「国民は安全保障に臆病だからです」がどういうことなのか、この記事の説明だけではわかりませんし、他の新聞はこのことに触れていませんので、想像するしかありませんが、「安倍首相が進めようとしている集団的自衛権を行使するようになると、日本が他国との戦闘に巻き込まれることを恐れている。日本の国民は自ら銃を執って敵に立ち向かうという気概が薄く、積極的平和主義という安倍首相の方針がよく理解されていない」とでも言いたかったのでしょうか。
29日の日経新聞には、日経新聞が7月25~27日に行なった世論調査の結果が報告されていましたが、首相が集団的自衛権の行使容認にあたり「武力行使は必要最小限度にとどめるなどの『新3要件』を規定した。行使の範囲には歯止めがかかる」としていることに対して、「かかる」の回答は23%しかなく、「かからない」と判断する人が53%で、首相の言っていることが国民に信用されていません。歯止めがかからなければ、菅官房長官が言うように「他国との戦闘に巻き込まれることを恐れる」から安倍首相の政策を信用できず、「支持できない」となるのです。
今年は第一次世界大戦勃発から100年ということで、各地で慰霊や平和を願う行事が営まれていますが、きょうの毎日新聞の「第一次大戦100年 世界はいま」という特集によりますと、第一次大戦で仏英両国では自国軍によって銃殺された兵士が少なくなかったといいます。フランスでは上官への反抗で、イギリスでは逃亡が主な理由だそうです。上官に命令された仲間の銃殺を拒否したり、戦闘中行方不明となったというケースが多かったといいます。勇敢な兵士でも耐えられないような過酷な戦場だったといいます。このためイギリスではそうした兵士の名誉を回復したといいます。フランスでは名誉を回復するかどうかの議論が続いているそうです。
菅官房長官は「国民は安全保障に臆病だ」と言います。そして安倍首相は若い人が「お国の為に」と身を投げ出してくれることを望んでいるのかも知れませんが、国民が納得できない政策を無理矢理推し進めようとすることを国民は「支持できない」と言っているのです。

                                       大西 五郎
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新聞の片隅に載ったニュースから(159)        大西五郎

2014年07月30日 19時04分26秒 | Weblog
百田氏「在日の人の強制連行なかった」大越コメントに異議(14.7.25 朝日新聞)

NHKの経営委員で作家の百田尚樹氏が、22日にあった経営委員会で、NHKの「ニュースウオッチ9」の大越健介キャスターが「在日コリアン1世は強制連行で苦労した」という趣旨の発言をしたことについて、異議を唱えていたことが関係者への取材で分かった。放送法は委員の個別番組への干渉を禁じてて、同法に抵触する恐れがある。
百田氏が問題視したのは17日放送の番組。在日コリアンの結婚観についてのリポートが放送された際、大越キャスターが「在日1世の方たちというのは、1910年の韓国併合後に強制的に連れてこられたり、職を求めて移り住んできた人たちで、大変な苦労を重ねて生活の基盤を築いてきたという経緯があります」と発言した。
百田氏は経営委に同席した放送担当の理事ら執行部に対し、「在日韓国・朝鮮人を日本が強制連行したと言っていいのか。間違いではないか」「日韓併合後に強制連行はなかった。NHKとして検証したのか」などと問いただしたという。執行部側は「強制連行もあれば、自分の意思で来日した人もいるという趣旨で発言したものだと思う」などと説明した。
ただ、放送法は第3条で「放送番組は(中略)何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定めた上で、第32条で経営委員の権限について「委員は、個別の放送番組の編集について、第3条の規定に抵触する行為をしてはならない」と定めている。
このため、経営委の議事進行を務めた上村達男・委員長代行がこれらの条文を読み上げたうえで、「個別の番組への意見や注文なら問題になる。番組への感想ということでいいか」と伝えたところ、百田氏も発言をやめたという。

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メディア論が専門の法政大学名誉教授の須藤春夫さんは「発言が事実なら明白な放送法違反だ。経営委員は経営の基本方針に関わる事柄が仕事で、編集の独立性を尊重することが求められている。職責の自覚がなく、適性を疑う。任命した首相や同意した国会の責任も問われる」と批判しています。まさにそうで、百田氏はNHK経営委員という重要な職責に就くに当たって放送法を読んだことがないのでしょうか。
百田氏は今年2月に行なわれた東京都知事選挙で田母神俊雄候補の応援演説で、「田母神以外の候補はみんなクズだ」「南京虐殺はなかった。あれは蒋介石が世界中の同情を集めようとして言ったことだ」などと述べ、NHKの中立性に疑問を持たれるような言動が問題になりました。百田氏は自分の言動のどこが問題とされているのかも判っていないようです。
安倍首相は今年任期が切れる経営委員の後任人事で、百田氏と長谷川三千子埼玉大学名誉教授を新任しましたが、長谷川氏も朝日新聞に拳銃を持って乗り込み自殺した右翼指導者に追悼文を書いたことが問題になっており、安倍首相の任命責任が問われなければなりません。

                                      大西 五郎
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新聞の片隅に載ったニュースから(158)大西五郎

2014年07月30日 19時02分14秒 | Weblog
わずか23分の解釈改憲閣議 議事録公開(14.7.23 中日新聞)

政府は二十二日、集団的自衛権の行使を認めるため、憲法解釈の変更を決定した今月一日の臨時閣議と閣僚懇談会の議事録を公表した。安倍晋三首相が解釈改憲を踏まえ、安全保障法制の整備に着手するよう指示する一方、解釈変更に慎重だった公明党から入閣している大田昭宏国土交通相は発言しなかった。
安倍首相は年内に改定する自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力指針(ガイドライン)に関し「ガイドラインの見直しと安全保障法制の検討は表裏一体だ」と述べ、米側との協議を加速するよう指示した。
集団的自衛権の閣議決定案について議論したのは、この日の閣議のみ。世耕弘成官房副長官が全文を上げたあと、首相らが発言したが、二十三分で終了した。閣議後の閣僚懇談会では通常、閣僚から発言があるが、この日は発言が一切なかった。

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今年3月28日の閣議で「閣議についての議事録」を作成して、概ね3週間後には公表することを決めました。それに従ってきのう、7月1日の集団的自衛権の行使容認を決めた臨時閣議の議事録が公開されました。
中日新聞は別の面で議事録から抜き出した閣議での主なやりとりを紹介しています。それを見ても、世耕官房副長官が読み上げた閣議決定案の内容について議論されることなく、岸田外相、小野寺防衛相が短く賛成の意を表明しただけで、古屋国家公安委員長が「警察では装備機資材の充実や情報面でも関係機関との連携の強化を図る」と“決意”を述べると、すかさず司会役の菅官房長官が「これをもって臨時閣議を終了する」と宣言し、23分で閣議は終わりました。
朝日新聞も7月1日の閣議の議事録の内容をかい摘んで紹介すると同時に、首相が閣議決定後の14、15日の国会で、閣議決定や与党協議での公明党との対立点をあいまいに表現した部分を踏み込んで表明したことを指摘し、「国会で法案が議論される前に、政府方針の既成事実化が進んでいる」と批判しています。
また首相が日米ガイドラインについて米側との協議を加速するよう指示しましたが、朝日新聞は、政府・自民党は関連法案の審議が来春の統一地方選挙に影響することを心配する公明党に配慮して統一地方選後(通常国会)の国会に提出ことにしましたが、法案の審議より前にガイドラインの協議で日米間の取り決めが先行すると、来春以降の国会で野党が法案の修正を求めても、政府側は米側との約束を理由に抜本的な見直しを拒む可能性がありそうだとしています。
閣議の議事録は首相官邸のホームページに掲載されていますので、誰でも閲覧が可能です。
「首相官邸 → 閣議 → 平成26年 → 月日→議事録」で検索できます。私も若干の試行錯誤ののち、議事録に到達しました。みなさんもトライしてみたらいかがですか。

                                     大西 五郎
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