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琉球新報より    らくせき

2015年03月02日 09時35分27秒 | Weblog

「むごい。異常だ」「許せない」。米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で抗議していた平和運動センターの山城博治議長(62)が2月22日、米軍の日本人警備員によって拘束された。日本人警備員は2人がかりであおむけの山城さんの足をつかみ、背中を引きずりながら基地内に連行した。県内の米軍基地で働く日本人従業員は彼らの姿をどう思ったのか。沖縄で生まれ育った基地従業員2人が心境を語った。

 米軍嘉手納飛行場に消防士として勤める20代後半の男性は、引きずられる山城さんの写真を見て「許せない」とつぶやいた。
 この男性は一日置きに24時間勤務を繰り返し、消防本部では米空軍の軍人の消防士と寝食を共にする。建物火災や病人の搬送だけでなく、戦闘機のトラブルなどが起きれば文字通り最前線で米兵の命を守る。
 男性は「軍からの指示がなければ、こんなことをするわけがない」と断言する。「許せない」と思う半面、「彼らにもためらいの気持ちがあったのではないか」と感じている。
 「彼らはサングラスやマスクで顔を隠している。家に帰って一人のウチナーンチュに戻ったとき、自分の子どもに見せる顔もないのだろう。もし自分が同じことを指示されれば、仕事を辞めるだろう」と話した。
 男性は辺野古への新基地建設について「(政府に)民主的な解決策を示してほしい」と願う。現在の状況は「民主主義国家としてあるべき姿ではない」と感じている。そして「本土の1票を持っている人にこそ考えてほしい」とした上で「基地さえなければ、こんなことは起きない。最終的には基地のない沖縄になってほしい」と言い切った。
 県内の米軍基地に勤める別の日本人男性=20代後半=は日々、米軍人の上司の指揮系統下で働いている。この男性も「自分があの警備員と同じ立場だったら仕事を辞める」と話した。
 「まるで動物を扱うようだ。彼らもウチナーンチュとして痛みを感じながら仕方なくやっているのだと思いたい」
 ただ、男性は「沖縄でこれだけ安定した収入をもらえる仕事はそうない中、拒否できない人がほとんどだろう」とも言う。「結局、沖縄の人同士でけんかさせているのは政府。すでに辺野古に新基地はいらないと選挙で民意を届けてあるのに、現場で抗議活動をしなければならない人がいること自体が悲しい」
 この男性は「僕たちは一票一票投票したが、意味のない選挙だったのではと無力感がある」とする一方、「これが沖縄では戦後ずっと続いてきた。(民意を伝えることを)やめるわけにはいかない」と語った。(安田衛)








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朝鮮日報より     らくせき

2015年03月02日 09時32分24秒 | Weblog
今回の旧正月連休に最も多く観客を集めた外国映画は『Kingsman: The Secret Service(キングスマン : ザ・シークレット・サービス)』だった。粋なスーツ姿で黒の長傘を振り回す紳士スパイ役のコリン・ファースは、若造に「Manners make a man!(マナーが紳士を作る)」という格言を残す。魅力的な英国式イントネーションのセリフ回しは観客のハートをさらうのに十分だったが、映画が終わるころ、記者はその言葉を教えてくれたもう一人の師のことを思い出していた。


 大学の時に英文科の教授が教えてくれた「マナー」は洗練されたスーツやイントネーションのことではなかった。それは謙譲と自制の精神だった。教授はこう言った。「紳士は決して自分の考えをすべてさらけ出さない。相手のことも自分のことも守るため、言葉を慎むものだ」


 不意に「紳士たるもののあり方」について考えたのには理由がある。朴裕河(パク・ユハ)世宗大学教授(日本語日本文学科)の本『帝国の慰安婦-植民地支配と記憶の闘争』に対するソウル東部地裁判決と、それに伴うソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上での騒動を見たからだ。同地裁は同書の内容のうち、34カ所を削除しなければ販売を許可しないとの判断を下した。従軍慰安婦に対する名誉毀損(きそん)がその理由だ。


 安倍政権の右傾化が進む中、従軍慰安婦について日本だけでなく韓国の責任も指摘している同書の内容は非常に挑発的だ。学者の研究書とは言え、民族主義的な憤怒の矢を浴びるであろうことは十分に予測可能だったはずだ。しかし、この騒動や波紋は朴教授という個人をめぐる騒ぎに終わるような事案ではなかった。表現の自由と学者の良心、その限界についての深い議論のきっかけにもできる事案だった。ところが、その後の状況は思ってもいなかった方向に転がっていった。「天下の悪女」「民族反逆者」など、朴教授に対する個人攻撃の場に変質してしまったのだ。


 その先鋒(せんぽう)に立ったのは京畿道城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長だった。李市長は「フェイスブック」や「ツイッター」などを通じ「こんな人間と(同じ)空の下で息が吸えるものか」「今からでも謝罪しなさい」「この人は本当に韓国人なのだろうか」など、憎悪や敵意に満ちた言葉を自ら書いたり、転載したりした。扇動的な書き込みに興奮したネットユーザーたちは、女性である朴教授に対し性的にさげすむ言葉や卑猥(ひわい)な言葉を書き連ねた。


 文字通り「見せしめ」になってしまったSNS上の応酬を見て、そのあおるようなむき出しの言葉を「ろ過」する最低限のマナーについて考えさせられた。もちろん、サイバー空間で開放感を得ようとしている匿名のネットユーザー全員に「紳士の道」を求めるのは無理だろう。しかし、少なくとも李市長のような公の立場にある人間なら、敵味方や二分法ばかりの論法に終始せず、社会の統合まで考えなければならない責任がある。敵味方をなくす真の対話の場を作るためにも、冷静になる、あるいは自制するというマナーを守るべきではないか。直接会って顔を見ながら議論する日まで、言葉を慎むことはできなかったのだろうか。


 一度もイケメンだと思えなかったコリン・ファースが、映画の中でけっこうイケてるように見えたのは、高級スーツを着ていたからだけではないだろう。李市長や韓国の政治家たちの口から出る言葉でも、そうしたマナーが守られることを期待したい。


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