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メルケル独首相の来日報道で読売新聞の政権寄りが際立つ    大西 五郎

2015年03月12日 19時17分22秒 | Weblog
ナチスの行為を検証したからこそ和解ができた

ドイツのメルケル首相が9日に来日し、安倍首相と日独首脳会談を行い、10日には民主党の岡田代表とも会談した後2日間の訪問を終えて、帰国しました。
G8で今年の議長国のメルケル首相と来年議長国になる日本の安倍首相との首脳会談ではロシアの介入が問題視されているウクライナ情勢への対応で連携することを確認したほか、テロ対策や両国の経済連携でも一致しました。
しかしメディアの関心を集めたのは、歴史認識と周辺国との和解の問題でした。
朝日新聞が「過去の総括、和解の前提 独首相、歴史認識に言及」として、首脳会談でドイツが戦前のナチスの行為を透明性を持って検証した経緯を紹介し、会談後の記者会見で「過去の総括は和解の前提になっている。和解の仕事があったからこそ、EUを作ることができた」と述べました。
また毎日新聞によりますと、メルケル首相は首脳会談後の記者会見でフランスとの和解に触れ「どのように過去を総括するか、ナチスの罪にどのように対応したらいいか、ドイツでは非常に突っ込んだ議論が行われてきた」と述べました。
中日新聞も「過去の総括は和解の前提 日独首脳会談メルケル氏強調」という見出しでメルケル首相が歴史認識の問題で安倍首相にアドバイスしたことを報じました。

メルケル発言を外国メディアも評価

メルケル首相のこの歴史認識に関する発言を各国メディアも「日本に歴史を直視するよう求めた」などと大きく報じました。
ドイツの有力紙南ドイツ新聞は「礼儀正しく批判」。イギリスBBCは「戦後ドイツが国際社会に復帰できたのは、過去とキチンと向き合ってきたためだとメルケル氏が述べた」。フランスのル・モンド紙は「過去と向き合う。それがメルケル氏のアドバイスだ」と書きました。中国国営の中央テレビは「メルケル首相はドイツは過去ときちんと向き合ったから隣国の理解を得られたと語り、日本に忠告した」と報じました。韓国の東亜日報も「ドイツの経験を聞かせる方式で、安倍首相に過去の歴史を直視するよう忠告したものだ」と論評しました(朝日新聞は他にも幾つかのメディアを紹介)。

読売新聞は歴史認識問題を報道せず

ところが、読売新聞は「日独協調し国際貢献 積極的平和主義に理解」とし、日独首脳会談のポイントでも、ウクライナ情勢安定のため、外務当局の定期協議の実施で一致など5項目が示されましたが、歴史認識問題に触れた記事はありませんでした。

脱原発の独首相の呼びかけを読売報道せず

メルケル首相は訪日直前の7日に政府のホームページ上で公開された映像で、2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受けてドイツが早期の脱原発を決断し、再生可能エネルギーの普及をすすめているとし「日本も同じ道を進むべきだ」と呼びかけました(8日毎日新聞)。また同日の朝日新聞によりますと、事故の映像を見たメルケル首相は、それまでは「稼働延長することにしていた原発の停止を即断し、2020年までの原発全廃にも踏み込んだといいます。メルケル首相はビデオ声明で「福島の経験から言えるのは、安全が最優先ということだ」と断言しました。
また首脳会談に先立って行なわれた講演会でも「東京電力福島第一原発事故後、ドイツが2020年までに『脱原発』を決めた理由については、技術水準の高い日本でも予期しない事故が起こり得ると分ったからだ」と述べました(中日新聞)。
このように各紙が「メルケル首相の忠言」を伝えましたが、読売新聞はこの問題に一行たりとも触れていません。
最近どの世論調査でも、村山談話の継承と原発再稼働反対が多数です。安倍首相は「70年談話」で村山談話の「植民地支配と侵略に痛切な反省と心からのお詫び」の部分の継承をあいまいにしていますが、首相の考えの中に「侵略戦争とは認めたくない」という気持があるからだといわれています。
原発再稼働の問題は首脳会談では直接話し合われることはなかったようですが、首脳会談後の記者会見でドイツ人記者の「日本はなぜまだ再稼働を考えているのか」の質問に、安倍首相は原発を「低廉で安定したエネルギーだ。基準をクリアしたと原子力規制委員会が判断したものは再稼働していきたい」と答えました。
読売新聞は、政府の意向に添った報道をしている(意向に添わない問題は報道を避けている)といわれてもしかたがない報道姿勢です。権力の監視役というジャーナリズムの本道に立ち返えることを望みたいと思います。

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