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戦争経済とシルクロード構想 文科系

2015年03月29日 12時21分09秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 コメントに書いた物を、補足修正してエントリーにさせていただきます。


【 戦争経済とシルクロード構想  (文科系) 2015-03-29 12:20:32

「創設時参加国 40超 アジア投資銀 ロシア、ブラジルも」
 これは本日中日新聞3面記事の見出し。常套句にあるように「雪崩を打って・・・」という様相だ。
 今回この動きを初めに知らせた18日中日新聞では27ヶ国とあったばかり。日本が9代連続で総裁を出したアジア開発銀行の67ヶ国・地域とは大差があった。因みに、世銀総裁がアメリカ、IMF総裁が欧州とずっと決まっているようだ。
 さて、67対40超ならばもう歴史の趨勢のような。それも、「海と陸のシルクロード構想」という大プロジェクト・インフラ整備と並行してのこと。中国、中東、東欧、西欧を繋ぐ「古代からの交易路」沿線国を中心に60ヶ国を上回る国がこのインフラ整備に積極参加しつつあると、今日の8面の記事にもあった。
 
 さて、僕は興味深い対比を頭に描いたもの。過去の世界がリーマン・ショックのような経済大破綻を前にした時には、人間、国々はいつも二つの道に分かれたと記憶する。ヒットラーや東條のような侵略戦争構想・経済と、これに異を唱えたケインズのような世界的有効需要創出構想・経済と。
 そして、ここが大事と思うのだが、日米が前者で、中国が後者の旗を振り出しているというのが世界史の現段階というようにも、考えてみた。
 アフガン、アラブの春などの北アフリカ・中東動乱・「内戦」や、欧州の境目ではユーゴ内戦から現在ではウクライナ内戦。この背後には常に米仏などが居そうだし、世界原子力空母合計9艘の内の8艘を有してどこでもすぐに攻められる体制にあるアメリカ! 
 こんなことよりも、「海と陸のシルクロード構想」の方が人間にとって、どれだけ良いことか。と、そんなことも考えてみた。

 人間普通なら誰でも、社会ダーウィニズムさながらの闘争社会・世界よりも、健全な有効需要の助け合い、育て合いの方が良いと思うはずであって、現在の67ヶ国対40ヶ国はさらにどんどん差が埋まっていくものと確信する。道路、港湾、灌漑などのインフラ整備は関係地域を潤し、軍人・軍需ならぬ普通の職業を創るからである。そしてこれからは、日米がこのままならば次第に名前は敬して実質は遠ざけられていくのではないかと、そんな気がしてしかたない。
 平和憲法国日本におけるアベの9条改訂、武器輸出3原則崩しなどの「狂気」は、意外に世界から観られていることだろうし。恐慌後の世界史に頻発してきた戦争経済というものも、現代人には悲劇の既視感が多すぎるはずでもあるし。

 ただ、世界の栄枯盛衰の中で滅び行く大国というものは、常に黙っては退かないものだったというのも、世界史既知の常識。事もあろうに平和憲法国日本がそういう大国・アメリカに集団的自衛権発動の動きとは?? ちなみに、こんな大事な時にアベがアメリカ上下院に行って演説するという。それも世界大戦後70年の年に。一体どんな「世界構想」を示すつもりなのだろうか。自ずからシルクロード構想と比較されることになろうが、持論「積極的平和主義」バカを曝す他には何の脳もないと思われるのが、悲しい。再度「フクシマ安全」声明というのはできないだろうが、「原発再稼働」バカもアメリカへのお約束のようだ。

 後世、アジアインフラ銀行設立が21世紀世界史の転換点だったと、シリア内戦、ウクライナ内戦などを観れば観るほど、そう(良い方向に)期待したいもの。要は、今の「生存競争」を人間的自然と観るか、平和を人の自然な道と観るかという、世界の人々の闘いなのであろう。「自由競争」を当たり前と観れば、この超格差・失業・不規則労働社会も当たり前となるとも言えるような。他方に、ピケィ大流行を見れば、そういう世界観への抵抗潮流も今の世界にどんどん生まれているとも言えるような。

 ウクライナにおける飛行機撃墜の犯人も未だに分かっていない。最初は反政府軍の仕業と、この日本でも大々的に喧伝されたものだったが。つまり、嘘の理由で始まったイラク戦争とか、IS国を実質アメリカが育てたというように、戦争がどんどん人為的に創り上げられ、煽り立てられている世界でもある】



コメント (2)
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「10年前の中国紹介本」の要約   文科系

2015年03月29日 00時31分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 06年にここにまとめた、中国関連書物の要約連載を再掲してみる。当時の当ブログバックナンバーは、出だしの概要紹介部分が割愛されてしまっているので、どういう本からの要約なのかが分からないのだが「中国激流 13億の行方」(岩波新書 興梠一郎著)は確実に入っている。05年6月の後書き付きで同年7月に第1冊が発行された本だが、この10年で中国がどれだけ変わりあるいは変わらなかったかを観るのに良いと考えてみた。また、ジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」下巻第12章「揺れ動く巨人、中国」や、大プロジェクト「退耕還林政策」を巡る或る論文などの内容も加味されているはずだ。
 3回連載だが、順にやっていきたい。ただ他にも、このことを付け加えておきたい。退耕還林政策については、同じ06年9月3,5,7日にもここで連載していると。
 これを再掲するのは、今問題になっているアジアインフラ銀行の近い将来を占う資料の一つにはなるだろうというような動機も関わっている。まー10年前を観ておけばこれからのことも多少分かるかも知れないという程度ではあるが。それでは、拙い物だが・・・・・ 


【 「『激流・中国』に、日本は部外者ではいられないだろう」  文科系
 2006年07月28日 | 書評・番組・映画・演劇・美術展・講演など

1 初めに農業を巡る中国の国土状態を眺めておこう

20世紀後半50年で、中国の人口は倍増して13億人、地球上の2割が住む国となった。内訳は、都市人口が13%から38%に増え、農村人口が現在は6割である。国の労働力人口で言えば、農民が5割を占めている。
農業外をちらっと見ておくと、石炭は世界の使用の4分の1を使い、石油使用は世界第3位。自動車道は10倍に増えて乗用車が急増。問題の大気汚染は、この石炭使用と自動車増から起こる。中国のいくつかの都市部では、大気汚染、スモッグの状況は世界最悪と言え、人体に辛うじて害がないというレベルを数倍上回る汚染度を示す。酸化窒素、二酸化炭素などの汚染物質が増え、都市の4分の1では年間雨天の半数以上で酸性雨が降っている。
水不足問題が深刻である。もともと世界2割の人口に世界淡水の6%しかないのだ。その水、水流停滞と汚染が酷い。水流停滞では、黄河下流で全く流れないという水流停滞が88年の年10日から、97年は230日へと増えている。揚子江、珠江も乾期にはよく停止する。汚水処理率も悪く、先進国平均が80%に対して、中国は20%だ。北部の淡水量は南部の5分の1で、以下に見るように土壌浸食、砂漠化、農地問題を深刻なものにしている。また都市の多い海岸地帯の水は3分の2が井戸からのもので、その急激な枯渇、塩水化、地盤沈下が問題になっている。
土壌浸食が激しい。もともと森林は日本74%に対して中国国土では16%しかなく、乾燥した北部を中心に国土の40%が自然草地だが、そこの土壌流出、劣化が激しい。例えば、過去10年で乾燥した北部地域を中心に農地、牧畜用地の15%が消滅している。また、黄河中流域の黄河高原が、その70%の地域で浸食が進み、深刻な社会問題となっている。全国的に見て、過放牧と開墾による砂漠化の影響を国土の4分の1が受けている。浸食土壌はその最後において3大河川に流れていき、先述した水流停滞、汚染などの原因になっていく。
こうして1人当たり農耕地が世界平均の半分になってしまった。これは、前回紹介したルワンダ北西部と同等の狭さである。

2 農家・農民問題を見てみよう

人口13億人の6割が農村に住み、全労働力人口の5割が農民だが、零細で、前近代的で、税が多くてその配分は少ないというように中央、地方の行政から構造的に虐げられていると言える。輸入農産物関税は非常に安くされて、今や農産物は輸入の方が輸出よりも多い。04年農産物関税は、国際平均62%に対して中国15・6%である。なぜこんなことになったのだろうか。
02年国家統計局資料で都市の平均収入は農村の3.11倍と、農村の相対的貧しさ実感が進んでいる。同じ年、農村は人口61%で、そこの小売総額は39%である。それでいて納税額の4割が農村から徴収されている。高校進学率は、例えば北京99%、四川省56%(02年)と農村で低く、農民の収入では学資が払えずに高校退学率50%などというところもある。農民にとっては大学は高嶺の花となり、農民子弟が激減して、教育でも西低東高は常識である。
                            
(明日に続く)】


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