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解説 空売りと通貨戦争と    文科系

2016年10月18日 13時09分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 現在要約中の「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」をそれなりに理解して頂こうとすると、標記の「空売り・通貨戦争」理解がどうしても必要になります。そこで、以下の拙稿を転載させていただくことにしました。この通貨戦争なるものが世界史で最も激しく起こった「アジア通貨危機」の発端であるタイ・バーツ通貨戦争を専門家が解説したもの。これを、僕が紹介した旧稿を転載します。「日本の銀行を含む」世界の主要な金融機関がやったと書いてあります。1980年代には「NICS」と呼ばれて世界的にも経済が栄えたタイや韓国の外貨がすっかり底をついて、その経済が沈滞していった原因となった90年代の世界史的大経済事件でした。
 なお、「金融が乗っ取る世界経済」の要約③(最終回)は、明日載せることにしました。


【 世界経済史の今を観る(6)通貨危機の仕組み・タイの例 2013年03月29日

 24日の拙稿『随筆「退廃極まる政治」』を連れ合いに読んでみたら、この部分をもっと分かりやすく知りたいという。
『「投機家はタイに自己実現的通貨投機をしかけた。一ドル二五バーツに事実上固定していたタイ・バーツが貿易収支の悪化から下落すると予想し、三ヶ月後に二五バーツでバーツを売りドルを時価で買う先物予約をすると同時に、直物でバーツを売り浴びせた。タイ中央銀行は外貨準備二五〇億ドルのほとんどすべてを動員して通貨防衛を試みたが力尽きた。」(東洋経済「現代世界経済をとらえる VER5」二〇一〇年。一二一頁)』

 今日はタイのこの問題に最も詳しい専門家による解説をご紹介したい。なんせ通貨危機というのは、「1970年から2007年まで世界208カ国で起こり」、各国恐怖の対象とされてきたもの(岩波ブックレット12年刊 伊藤正直「金融危機は再びやってくる」P3)。世界金融資本の最大暗躍手段・場所の一つであって、世界各国から「通貨戦争」とも呼ばれている。なお、このタイ通貨危機は、97年の東アジア通貨危機の発端・震源地になった事件として非常に重要なものである。
 毛利良一著「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」(大月書店2002年刊)243~244頁から抜粋する。

 『通貨危機の震源地となったタイについて、背景と投機の仕組みを少しみておこう。タイでは、すでに述べたように経常取引と資本取引の自由化、金融市場の開放が進んでいた。主要産業の参入障壁の撤廃は未曾有の設備投資競争をもたらし、石油化学、鉄鋼、自動車などで日米欧間の企業間競争がタイに持ち込まれた。バンコク・オフショアセンターは、46銀行に営業を認可し、国内金融セクターが外貨建て短期資金を取り入れる重要経路となり、邦銀を中心に銀行間の貸し込み競争を激化させて不動産・株式市場への資金流入を促進し、バブルを醸成した。
 このようにして流入した巨額の国際短期資本は、経常収支赤字の増大や大型倒産など何かきっかけがあれば、高リターンを求めて現地通貨を売って流出する。投機筋は、まずタイ・バーツに仕掛け、つぎつぎとアセアン諸国の通貨管理を破綻させ、競争的切り下げに追い込み、巨大な利益を上げたのだが、その手口はこうだ。
(中略)1ドル25バーツから30バーツへの下落というバーツ安のシナリオを予想し、3ヶ月や半年後の決済時点に1ドル25バーツ近傍でバーツを売り、ドルを買う先物予約をする。バーツ売りを開始すると市場は投機家の思惑に左右され、その思惑が新たな市場トレンドを形成していく。決算時点で30バーツに下落したバーツを現物市場で調達し、安いバーツとドルを交換すれば、莫大な為替収益が得られる。96年末から始まったバーツ売りに防戦するため、タイ中央銀行は1997年2月には外貨準備250億ドルしかないのに230億ドルのドル売りバーツ買いの先物為替契約をしていたという。短期資本が流出し、タイ中央銀行は5月14日の1日だけで100億ドルのドル売り介入で防戦したが、外貨準備が払底すると固定相場は維持できなくなり、投機筋が想定したとおりの、自己実現的な為替下落となる。通貨、債券、株式価値の下落にさいして投機で儲けるグループの対極には、損失を被った多数の投資家や通貨当局が存在する。
 投機を仕掛けたのは、ヘッジファンドのほか、日本の銀行を含む世界の主要な金融機関と、大手のミューチュアル・ファンドをはじめとする機関投資家であった。また、1999年2月にスイスのジュネーブで開かれたヘッジファンドの世界大会に出席した投資家は、「世界中を見渡せば、過大評価されている市場がどこかにあります。そこが私たちのおもちゃになるのです」と、インタビューで語っている。』

 以上につき僕の感想のようなことを一言。一昨年11月15日の拙稿に書いたことだが、日本の銀行協会の会長さんがこんなことを語っていた。「不景気で、どこに投資しても儲からないし、良い貸出先もない。だから必然、国債売買に走ることになる。今はこれで繋いでいくしかない状況である」。ギリシャやキプロスの危機を作っているのは、普通の銀行なのである。こんな状況で円安・金融緩和に走っても実体経済や求人関連にはほとんど何の影響もなく、株バブルや上記タイのような(通貨、株、国債などの)バブルつぶしに使われるだけという気がする。要は、それ以外の投資先そのものがないのだ。そこを何とかしなければ何も進まないと思うのだが。つまり、供給側をいくら刺激してもだめ、ケインズやマルクスが指摘したように、需要創造が問題だと言うしかないではないか。リーマンショックが起こった時に、心ある経済学者のほとんどから「ケインズ、マルクスの時代か」と言われたのは、そういう意味だったと思う。】
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重ねて、「僕の当ブログ方針」   文科系

2016年10月18日 08時28分56秒 | 国内政治・経済・社会問題
 祝、新潟知事選の大勝利!

 昨夜のアクセスは196、閲覧数も1240。これは、本当に驚いた。昨日と一昨日はエントリーがなかったから、「少なくなるに違いない」と凄く心配して起床真っ先にここを観た目に飛び込んできた数字だったからである。僕がここをやってきた経験則からこの3日ほどに色々やったことの反省も含めて、仮説を立てつつ何故かと考えてみたが、これだけの要素と結論できる。まー、このブログを読まれている方々のアクセス動機、お人柄の一端を探るというような文章と言えないこともない。

①政治だけでなく、文化をも同等以上に扱っている。
②この間の「金融が乗っ取る世界経済」(関連エントリー数本)と、15日の「全体主義的感性」とが、左右両方の人人に読まれた。
③新潟知事選の影響

 ③は、ここをやっていて10年、ずっと確認できたこと。「9条バトル」などという政治名を付けてやるブログは、そもそも左の人人が元気でなければここを覗く気も失せて、アクセスなど増えないもの。ここの10年で大きな選挙を控えるごとに週間アクセスが2000を越えるなどと盛り上がって行く傾向が常に見られたものである。
 ②は、この4週間ほど、ひしひしと感じてきたことである。アクセスもさりながら、特に閲覧数が増えてきた。週間累計閲覧数がこの2週7,024と7,854となっているが、この7000越えは6月12日からの1週間以来のことで、少ない今年の夏時期2週では2000台さえあった。なおこの4週間ほどと言えば、現日本の政治情勢認識にとって最も必要なものと強調したい名著「金融が乗っ取る世界経済」関連の記事を7本も書いてきたその初めの頃である。
 こうしてつまり、エントリーがないこの2日も皆さんが訪れられて、こういう過去記事を多く読んで下さった。

 そして、①である。僕は常々こう書いてきた。
①政治論議だけのブログが何が面白いか。普通の人間が感じられないという意味で、リアルでないから面白くないのだと考えてきた。語り手の人間が見えない文章など、僕自身が読む気も起こらない。
②普通の人間、その人の文化(活動)が感じられない「政治人」とか、その主張などは、「抽象的活動家」「抽象的活動」に決まっていると思われていないか。特に日本の政治論議(好き)男性などを観る女性の目からは。
③人生の大目的にはもちろん「生活」もあるが、生活の神髄はそれ以上にむしろ普通の人間生活の楽しい部分、つまり「文化」にある。

 この二日間エントリーはなかったが、僕は三つの努力をした。14日に「よたよたランナー」を書いておいてこの2日にコメントを付けたことと、ギターの過去エントリーにも二つのコメントを付け、15日「全体主義的感性」は随筆形式を用いて書いたことである。ちなみに、文化を実践している人は、そのエネルギーを「その活動を書いた文章」などにもどんどん振り向けて行かれることを観続けてきたつもりである。ちなみに、エネルギーの少ない人に何かを求めてもなんだかナーと、いつも感じてきた。
 こうして、昨日の「人気記事」は、こうなっている。1位と2位に『随筆「全体主義的感性」』と『ギリシャ財政危機と金融』が並んでいるのは当然として、3位が『「中部日本ギター協会」に一言』(大昔のエントリーである)、5位に「よたよたランナー」が入り、7位もこの3日掲載の『随筆「情けないブログ世界」』とあった。なお、「金融が乗っ取る世界経済」関連が3本も入っている。


 新潟知事選挙大勝利おめでとう! とにかく野党選挙協力を進めて欲しい。自民独裁が続いているのに共産党が選挙協力に背を向けてきたその独善性に対して、このブログは、発足時の10年前からこれを批判し続けてきたものだから、この勝利がとにかく嬉しいのである。これから、同盟を中心に協力破壊工作がどんどん強まっていくだろうが、僕もこのブログで頑張りたい。改めて、そんな勇気を貰った思いである。
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