民間給与3年連続上昇 国税庁調査 15年、平均420万円(16.9.29 中日新聞)
民間企業で働く給与所得者が2015年の一年間に受け取った平均給与は、前年を五万四千円上回る四百二十万四千円(前年比1.3%増)で、三年連続で上昇したことが、国税庁の実態統計調査で二十八日分かった。給与所得者には正社員や非正規社員が含まれる。
国税庁は「経済が拡大基調にあり、失業率が低いためではないか」と分析。一方、専門家からは「(給与水準の)長期低迷から抜け出せたわけではない。個人消費が回復するには時間がかかる」との見方がある。
正社員の平均給与は1.5%増の四百八十四万九千円、非正規は0.5%増の百七十万五千円。差額は三百十四万四千円で、前年の三百八万円からさらに格差は拡大した。
一年を通じて勤務した給与所得者の数は0.8%増の四千七百九十四万人、うち正社員は三千百四十一万五千人(1.2%増)、非正規は千百二十二万八千人(3.0%増)だった。女性は千九百六十二万六千人(0.6%増)だった。
調査は一九四九年分から実施。約二万事業所の約三十万九千人を抽出し、全体を推計した。
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働く者の給与が3年連続で上昇したのは嬉しいことですが、いくつかの問題も含んでいます。
国税庁が給与増の原因として「経済が拡大基調にある」を挙げたのに対し(経済の)専門家は「長期低迷から抜け出したわけではない」と指摘しています。そのことの反映で、非正規社員の給与が正社員に比べて全体平均で35%と低く抑えられています。
「新聞の片隅に載ったニュースから№234」でも紹介しましたが、総務省が8月に発表した労働力調査では7月の完全失業率が3.0%と1995年5月以来21年2カ月ぶりの低水準でした。しかしこれも9月30日に総務省が発表した8月の労働力調査ではわずか1カ月で再び3.1%に戻ってしまいました。専門家が指摘するように「長期低迷から抜け出したわけではない」のではないでしょうか。
№234でも指摘しましたが、7月の雇用者は89万人増えて5382万人でした。これを雇用形態別に見ますと、正規の従業員の増えたのが前年同期比+21万人、非正規の従業員の増加が69万人。増えた従業員の77.5%と圧倒的に非正規の従業員が多かったのです。
正規社員に1.5%の賃上げ(平均給与485万円)なのに、非正規社員には0.5%の賃上げ(平均給与170万円)とあからさまな差別です。それでも企業は、その条件で働かなければならないという人を作り出して、「安上がりの」労働力を確保し、利益を挙げようとしています。
非正規社員の人は年間給与170万円でどうやって子供を上級の学校に行かせたり、習い事をさせたり、スポーツや趣味の活動に参加させたりして、家族を養っていけるのでしょう。今“子供の貧困”ということが問題になっています。安倍首相も「同一労働同一賃金を実現する必要がある」と云っていますが、口先だけの政策(リップサーヴィス)であって欲しくはありません。
大西 五郎
民間企業で働く給与所得者が2015年の一年間に受け取った平均給与は、前年を五万四千円上回る四百二十万四千円(前年比1.3%増)で、三年連続で上昇したことが、国税庁の実態統計調査で二十八日分かった。給与所得者には正社員や非正規社員が含まれる。
国税庁は「経済が拡大基調にあり、失業率が低いためではないか」と分析。一方、専門家からは「(給与水準の)長期低迷から抜け出せたわけではない。個人消費が回復するには時間がかかる」との見方がある。
正社員の平均給与は1.5%増の四百八十四万九千円、非正規は0.5%増の百七十万五千円。差額は三百十四万四千円で、前年の三百八万円からさらに格差は拡大した。
一年を通じて勤務した給与所得者の数は0.8%増の四千七百九十四万人、うち正社員は三千百四十一万五千人(1.2%増)、非正規は千百二十二万八千人(3.0%増)だった。女性は千九百六十二万六千人(0.6%増)だった。
調査は一九四九年分から実施。約二万事業所の約三十万九千人を抽出し、全体を推計した。
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働く者の給与が3年連続で上昇したのは嬉しいことですが、いくつかの問題も含んでいます。
国税庁が給与増の原因として「経済が拡大基調にある」を挙げたのに対し(経済の)専門家は「長期低迷から抜け出したわけではない」と指摘しています。そのことの反映で、非正規社員の給与が正社員に比べて全体平均で35%と低く抑えられています。
「新聞の片隅に載ったニュースから№234」でも紹介しましたが、総務省が8月に発表した労働力調査では7月の完全失業率が3.0%と1995年5月以来21年2カ月ぶりの低水準でした。しかしこれも9月30日に総務省が発表した8月の労働力調査ではわずか1カ月で再び3.1%に戻ってしまいました。専門家が指摘するように「長期低迷から抜け出したわけではない」のではないでしょうか。
№234でも指摘しましたが、7月の雇用者は89万人増えて5382万人でした。これを雇用形態別に見ますと、正規の従業員の増えたのが前年同期比+21万人、非正規の従業員の増加が69万人。増えた従業員の77.5%と圧倒的に非正規の従業員が多かったのです。
正規社員に1.5%の賃上げ(平均給与485万円)なのに、非正規社員には0.5%の賃上げ(平均給与170万円)とあからさまな差別です。それでも企業は、その条件で働かなければならないという人を作り出して、「安上がりの」労働力を確保し、利益を挙げようとしています。
非正規社員の人は年間給与170万円でどうやって子供を上級の学校に行かせたり、習い事をさせたり、スポーツや趣味の活動に参加させたりして、家族を養っていけるのでしょう。今“子供の貧困”ということが問題になっています。安倍首相も「同一労働同一賃金を実現する必要がある」と云っていますが、口先だけの政策(リップサーヴィス)であって欲しくはありません。
大西 五郎