今の連続書評「金融が乗っ取る世界経済」で、金融派生商品というのが最大問題になっている。その説明が必要だろうと考えた。その大元の原理だけに触れておきたい。
消費者ローンでも住宅ローンでも、借用証書がある。これは、借りた方が貸した方に出す証明書。これを債券として出すのが社債や国債。一定利子が付くのは同じだが、こちらはお金と同じような意味を持ち、売買も可能なもの。つまり、この売買のたびに貸し主がどんどん代わっていくわけである。
そしてさて、この社債などと同じ考え方で、種々のローンの貸し主が借用証書(債権)を証券化したものが金融派生商品の元である。いわば、「誰か、貸し主を代わってくれ」というわけである。焦げ付きなどの危険が高い借金から出来た高リスク債券とか、低リスク債券でも元のローン返済が急に怪しげになったりしたら、利子を高くしなければ売れない。低リスク商品は、まー貯金しているようなものだ。ここからの最大問題は、このこと。高リスク商品は当然売りにくいのであるが、首尾良くどんどん売れていくようにできれば、儲けが凄いことになるということをご記憶願いたい。そこで、ハーバード大学院の数学科主席卒業というような優秀な頭脳が、高リスク商品を大々的に売れるようにする手をあれこれと考え出していくことになる。
さてそして、この証券化商品というのをまた、色々に分割して組み合わせることができる。これは、1銘柄の株を買うのではなく、投資信託を買うようなものと言えばよいだろうか。とにかく、様々な負債を組み合わせるのであるが、そこに高リスク債券を巧みに切り分けてもぐり込ませていく。低所得者に売りつけた住宅ローンからできたサブプライム・ローンの債券でも、これにちょっと安全な債券を組み合わせれば信用が「保証された」証券ができあがるという理屈だ。「高リスク貸し金を分散することによって、お金が貸せないような貧乏な人にも貸し出せるようにしたという、夢のような商品」というわけだ。リーマンショックの前のサブプライム・バブルは、これが爆発的に売れたということなのである。つまり、ネズミ講同様大いに売れている間は自転車操業的資金繰りに困るどころか、大いに儲けも上がるということ。
ただ、バブルはいつか弾ける。昔のオランダのチューリップバブルが弾けたように。これは、ネズミ講が永久には続かず、どこかで破綻するのと同じだろう。
なお、最近の書評「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」が原因だと思いますが、当ブログアクセスがこの9月ぐらいから特に最近は、急に増えています。一昨日が、アクセス215、閲覧数1539、昨日が229の1611。この記念と言っては何ですが、この本の最要点をまとめた昨日のコメントを転載させて頂きます。以下の知識こそ、今これに苦しめられている世界の人々が最も知るべき事と僕は考えています。不思議なことにマスコミは、以下のような解説を全く流していません。この点ではまさに報道管制が行き届いているとも言えるほど。例えばサブプライム証券化商品などは、情報の非対称性があってこそ売れていくということなのでしょう。
【 らくせきさん (文科系)2016-10-27 21:10:08
らくせきさんのコメントで言われているこの「逆転」こそ、正に現代世界。実体経済のために生まれた金融が、実体経済をその使い走り、道具にしたこと。金融世界の取り分のために、現実世界の人件費を初めとした出費が、すべて最少にされてきたわけです。現物経済の中にしか存在しない職場というものもどんどん少なくなる。その象徴数字が、エントリーの中のこれ。
『企業から「金融市場への支払い」が、その「利益+減価償却」費用とされたキャッシュ・フロー全体に占める割合の急増。アメリカを例に取ると、1960年代前半がこの平均20%、70年代は30%、1984年以降は特に加速して1990年には75%に至ったとあった』
これでは、米社会全体が金融に貢いでいると言えるわけで、この全体を見ればまーとんでもない変な社会ですよね! これがあなたの言う「逆転」の正に徴表。日本社会をもこう換えようとしてきた例えば竹中平蔵はまた、とんでもない奴ですよ。
かくして、エントリーにある「ゴールドマン幹部社員50人の最低17億円ボーナス」が生まれ、社長でも金融の馬車馬を努めたお人の給料だけが上がっていく。モトローラ社長の100億円に驚いてはいけない。史上最高給記録はディズニー社社長アイズナーで、6億ドル近い額だ。何と600億円。これ、年俸ですよ。500万円の社員が12,000人雇える金額です。これではディズニーランドがその儲けの割に従業員も増やせず、パートばかりということで、社会に職も増えず世界中が失業者、不安定職ばかりになる理屈。人が少ない企業ほど株価が上がり、それへの配当が増えるんです。これでは、アメリカのファンドや機関投資家に株を買い占められた外国企業は、社員減らしに戦々恐々となる理屈です。つまり、アメリカ金融が世界に失業者と不安定就労者を創っている。こんなことが続くのでは、世界の景気など良くなる訳がないと思います。】
消費者ローンでも住宅ローンでも、借用証書がある。これは、借りた方が貸した方に出す証明書。これを債券として出すのが社債や国債。一定利子が付くのは同じだが、こちらはお金と同じような意味を持ち、売買も可能なもの。つまり、この売買のたびに貸し主がどんどん代わっていくわけである。
そしてさて、この社債などと同じ考え方で、種々のローンの貸し主が借用証書(債権)を証券化したものが金融派生商品の元である。いわば、「誰か、貸し主を代わってくれ」というわけである。焦げ付きなどの危険が高い借金から出来た高リスク債券とか、低リスク債券でも元のローン返済が急に怪しげになったりしたら、利子を高くしなければ売れない。低リスク商品は、まー貯金しているようなものだ。ここからの最大問題は、このこと。高リスク商品は当然売りにくいのであるが、首尾良くどんどん売れていくようにできれば、儲けが凄いことになるということをご記憶願いたい。そこで、ハーバード大学院の数学科主席卒業というような優秀な頭脳が、高リスク商品を大々的に売れるようにする手をあれこれと考え出していくことになる。
さてそして、この証券化商品というのをまた、色々に分割して組み合わせることができる。これは、1銘柄の株を買うのではなく、投資信託を買うようなものと言えばよいだろうか。とにかく、様々な負債を組み合わせるのであるが、そこに高リスク債券を巧みに切り分けてもぐり込ませていく。低所得者に売りつけた住宅ローンからできたサブプライム・ローンの債券でも、これにちょっと安全な債券を組み合わせれば信用が「保証された」証券ができあがるという理屈だ。「高リスク貸し金を分散することによって、お金が貸せないような貧乏な人にも貸し出せるようにしたという、夢のような商品」というわけだ。リーマンショックの前のサブプライム・バブルは、これが爆発的に売れたということなのである。つまり、ネズミ講同様大いに売れている間は自転車操業的資金繰りに困るどころか、大いに儲けも上がるということ。
ただ、バブルはいつか弾ける。昔のオランダのチューリップバブルが弾けたように。これは、ネズミ講が永久には続かず、どこかで破綻するのと同じだろう。
なお、最近の書評「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」が原因だと思いますが、当ブログアクセスがこの9月ぐらいから特に最近は、急に増えています。一昨日が、アクセス215、閲覧数1539、昨日が229の1611。この記念と言っては何ですが、この本の最要点をまとめた昨日のコメントを転載させて頂きます。以下の知識こそ、今これに苦しめられている世界の人々が最も知るべき事と僕は考えています。不思議なことにマスコミは、以下のような解説を全く流していません。この点ではまさに報道管制が行き届いているとも言えるほど。例えばサブプライム証券化商品などは、情報の非対称性があってこそ売れていくということなのでしょう。
【 らくせきさん (文科系)2016-10-27 21:10:08
らくせきさんのコメントで言われているこの「逆転」こそ、正に現代世界。実体経済のために生まれた金融が、実体経済をその使い走り、道具にしたこと。金融世界の取り分のために、現実世界の人件費を初めとした出費が、すべて最少にされてきたわけです。現物経済の中にしか存在しない職場というものもどんどん少なくなる。その象徴数字が、エントリーの中のこれ。
『企業から「金融市場への支払い」が、その「利益+減価償却」費用とされたキャッシュ・フロー全体に占める割合の急増。アメリカを例に取ると、1960年代前半がこの平均20%、70年代は30%、1984年以降は特に加速して1990年には75%に至ったとあった』
これでは、米社会全体が金融に貢いでいると言えるわけで、この全体を見ればまーとんでもない変な社会ですよね! これがあなたの言う「逆転」の正に徴表。日本社会をもこう換えようとしてきた例えば竹中平蔵はまた、とんでもない奴ですよ。
かくして、エントリーにある「ゴールドマン幹部社員50人の最低17億円ボーナス」が生まれ、社長でも金融の馬車馬を努めたお人の給料だけが上がっていく。モトローラ社長の100億円に驚いてはいけない。史上最高給記録はディズニー社社長アイズナーで、6億ドル近い額だ。何と600億円。これ、年俸ですよ。500万円の社員が12,000人雇える金額です。これではディズニーランドがその儲けの割に従業員も増やせず、パートばかりということで、社会に職も増えず世界中が失業者、不安定職ばかりになる理屈。人が少ない企業ほど株価が上がり、それへの配当が増えるんです。これでは、アメリカのファンドや機関投資家に株を買い占められた外国企業は、社員減らしに戦々恐々となる理屈です。つまり、アメリカ金融が世界に失業者と不安定就労者を創っている。こんなことが続くのでは、世界の景気など良くなる訳がないと思います。】