このごろのマスコミ論調で、日米関係、その今後の方向について、ちょっとした変化が見られると意識し始めていた。以下のような外交基盤問題に留意するからである。国家も家計も大赤字で苦し紛れのアメリカが、「猿の尻笑い」のような「日本保護主義批判」を始めたこと。日本企業に、アメリカ式経営への批判が兆し始めていること。現政府がロシアに接近していることへの、アメリカの目が険しいということ。韓国を中国から引き付けたいアメリカにとって、韓日関係はどうなるのかという問題。
最近読んだこの手の雑誌「大特集」なかから、二つの特集に触れてみよう。
『米国流「ガバナンス」が企業を弱くする』
このように、表紙にも唯一最大の大書がなされた経済誌「Wedge3月号」。その、20ページ近い「看板特集」を読む機会があった。この記事の最大焦点こそ、「金融による実体経済の攪乱」批判なのである。当ブログで9月中頃から連載し続けてきた「金融が乗っ取る世界経済」において著者が指摘している最大問題の一つである。この特集の焦点もこの著作と同じようにここ。「企業評価の基準を、金融が押しつけてきた短期利益指数にのみ求めるのは誤りである」というもの。
東洋経済11月12日号の表紙にも、こんな看板大書が大きく踊っていて、こちらは40ページを越える大特集だ。
『日米関係の大不安 同盟のコストとリターン』
この「大不安」の中身は、こんなところと言える。「混迷極まるTPP」、「米国に監視される『円』」。前者は、2人の米大統領候補の公約に内向き姿勢が目立ち、日本政府とは立場がかなり異なってきた事に目を付けているのだし、後者はこういうもの。日本政府の「円安操作」「輸出攻勢」によって、中国、ドイツ、韓国、台湾などと並び日本政府がアメリカ政府監視リストに入ったということだ。
この40ページ特集には、例えばこんな記事があった。
『日本よ、Gゼロ時代を生き残れ』と題された日米二人の識者視点が展開されている。
元中国大使・丹羽宇一郎に、「中国と米国は机の下で手を握っている」のに「なぜ、世界で日本だけが中国への投資を減少させているのか」と語らせている。また、「それは、日本(政府)のトップが中国に対して快く思っていないと経済界が察知しているから」、などとも語らせている。
もう1人は、東洋問題に詳しい米政治学者イアン・ブレマーで、こう述べていた。
「内向き志向を強める米国にとって、日本の重要性は低下している」
なぜならば、
「中国経済は安定的に成長しており、政治も盤石だ。・・・・重要性は明らかに中国の方が高くなる」
同じ日中関連で丹羽宇一郎の方も、
「昨年9月、オバマ大統領と習近平国家主席が会談したときに、『お互い武器を取るのはやめましょう』と確認しあった。今年9月のG20のときも夕食を含め3時間に及ぶ会談をしている。一方、日本はそのときオバマ大統領に会えてすらいない。日米同盟で協力してきたのに『日本の片思いか』、これでは中国が日本をなめてかかる」
この丹羽宇一郎氏らの記事のすぐ後のページに登場しているのが、元米国防次官補で日本でも有名なジョセフ・ナイ。彼の2ページ・インタビュー題名が『日米同盟は「瀕死」ですか?』とあって、その最大警告がこれ。「プーチン大統領に日米を分断させるな」。この日ロ接近関連では別にまた、「米中が目を光らす日ロ接近の危うい綱渡り」という2ページの解説記事もあった。この点では、日ロ外交に石油が絡んでくると特にアメリカの目が険しくなるのだし、日本としては中国対策絡みでロシアに近づきたいという側面もあるのだ。そんな事を述べた複数の箇所が他にも垣間見られた。
これら最近のマスコミに溢れる「斜陽米の内向き姿勢」「日米両国の困難から来る、軋み」などが、米大統領選挙で『「ウォール街の代表」非難合戦』などに現れている事もまた自明であろう。日本マスコミがちかごろ冷ややかにこの大統領選挙を見ているのを意識したものなのでもあるだろう。
この問題、皆さんははてどう思われるだろうか? 対米従属下だからこそ起こった「失われた日本」も、はや20年をとっくに超えて長期不況国として世界のダントツ、それも相当な限界に来ていると言える。このことは、「2%成長問題」における政府、日銀の動向、苦闘、お手上げ状態などを見ても、明らかだろう。GPIFなどは、まだまだ損を重ねるのではないか。そして、日本の購買力もまだまだ下がっていくのではないか。
最近読んだこの手の雑誌「大特集」なかから、二つの特集に触れてみよう。
『米国流「ガバナンス」が企業を弱くする』
このように、表紙にも唯一最大の大書がなされた経済誌「Wedge3月号」。その、20ページ近い「看板特集」を読む機会があった。この記事の最大焦点こそ、「金融による実体経済の攪乱」批判なのである。当ブログで9月中頃から連載し続けてきた「金融が乗っ取る世界経済」において著者が指摘している最大問題の一つである。この特集の焦点もこの著作と同じようにここ。「企業評価の基準を、金融が押しつけてきた短期利益指数にのみ求めるのは誤りである」というもの。
東洋経済11月12日号の表紙にも、こんな看板大書が大きく踊っていて、こちらは40ページを越える大特集だ。
『日米関係の大不安 同盟のコストとリターン』
この「大不安」の中身は、こんなところと言える。「混迷極まるTPP」、「米国に監視される『円』」。前者は、2人の米大統領候補の公約に内向き姿勢が目立ち、日本政府とは立場がかなり異なってきた事に目を付けているのだし、後者はこういうもの。日本政府の「円安操作」「輸出攻勢」によって、中国、ドイツ、韓国、台湾などと並び日本政府がアメリカ政府監視リストに入ったということだ。
この40ページ特集には、例えばこんな記事があった。
『日本よ、Gゼロ時代を生き残れ』と題された日米二人の識者視点が展開されている。
元中国大使・丹羽宇一郎に、「中国と米国は机の下で手を握っている」のに「なぜ、世界で日本だけが中国への投資を減少させているのか」と語らせている。また、「それは、日本(政府)のトップが中国に対して快く思っていないと経済界が察知しているから」、などとも語らせている。
もう1人は、東洋問題に詳しい米政治学者イアン・ブレマーで、こう述べていた。
「内向き志向を強める米国にとって、日本の重要性は低下している」
なぜならば、
「中国経済は安定的に成長しており、政治も盤石だ。・・・・重要性は明らかに中国の方が高くなる」
同じ日中関連で丹羽宇一郎の方も、
「昨年9月、オバマ大統領と習近平国家主席が会談したときに、『お互い武器を取るのはやめましょう』と確認しあった。今年9月のG20のときも夕食を含め3時間に及ぶ会談をしている。一方、日本はそのときオバマ大統領に会えてすらいない。日米同盟で協力してきたのに『日本の片思いか』、これでは中国が日本をなめてかかる」
この丹羽宇一郎氏らの記事のすぐ後のページに登場しているのが、元米国防次官補で日本でも有名なジョセフ・ナイ。彼の2ページ・インタビュー題名が『日米同盟は「瀕死」ですか?』とあって、その最大警告がこれ。「プーチン大統領に日米を分断させるな」。この日ロ接近関連では別にまた、「米中が目を光らす日ロ接近の危うい綱渡り」という2ページの解説記事もあった。この点では、日ロ外交に石油が絡んでくると特にアメリカの目が険しくなるのだし、日本としては中国対策絡みでロシアに近づきたいという側面もあるのだ。そんな事を述べた複数の箇所が他にも垣間見られた。
これら最近のマスコミに溢れる「斜陽米の内向き姿勢」「日米両国の困難から来る、軋み」などが、米大統領選挙で『「ウォール街の代表」非難合戦』などに現れている事もまた自明であろう。日本マスコミがちかごろ冷ややかにこの大統領選挙を見ているのを意識したものなのでもあるだろう。
この問題、皆さんははてどう思われるだろうか? 対米従属下だからこそ起こった「失われた日本」も、はや20年をとっくに超えて長期不況国として世界のダントツ、それも相当な限界に来ていると言える。このことは、「2%成長問題」における政府、日銀の動向、苦闘、お手上げ状態などを見ても、明らかだろう。GPIFなどは、まだまだ損を重ねるのではないか。そして、日本の購買力もまだまだ下がっていくのではないか。