はじめに
2013年3月1日から約10回ほどの連載で、かなりの本を読んで「世界経済史の今を観る」というシリーズをここに載せた。08年のリーマン・ショックが「100年に1度の危機」と呼ばれるのがどうしてなのかを知りたかったからである。全米の5大投資銀行が全部潰れたのだから、容易ならざる事態だとは誰にも分かることだったのだが、その仕組み解明がマスコミなどでは隠されていることが明らかだったから、これを知りたかった。「100年に1度の危機」としたら世界中が必死に避けたかったのに起こってしまったことのはずであって、これの世界的後遺症に10年、20年と人類が苦しまされるような、そんな地球的大問題と観るべきだからである。よって、その後もこのテーマを追いかけるべく、いろんな本を読んでは、ここにその続きを書いてきた。これは、現在までのそういう努力の集大成のつもりなのだ。
どんな企業、団体などでも良い方針を作る場合には「現状分析、課題の明確化、今後の方針」をできるだけ長いスパンで、できるだけ全面的に観ようとするものだろう。つまり、中長期計画に拘ってこなかった企業などは、激動の時期には特に潰れ易い。日本国政も同じであって、一定長いスパンで世界を観られなければ、正しい対処法は出て来ないはずだ。
時あたかも米英圏が引っ張った金融グローバリゼーションがその政治にまで大破綻をもたらし始めたかに見える今。リーマンショックが、その後の世界大戦に繋がった1929年世界大恐慌と比肩されて「100年に1度」と呼ばれたのはどうしてだったのか。そのことをこんな今の時点でもう一度、より深くまとめてみたい。
東洋経済新報社の「現代世界経済をとらえる Ver4」と「Ver5」という本が手元にある。03年版と10年版なのだ。A5版びっしりの300頁近いのに、明らかなロングセラー。全国の大学経済学部などの教科書として版を重ねてきた本なのである。全14章に執筆者14人、全国の国公私立大学14校の専門家がそれぞれを執筆している。2つの版の目次の比較をやってみた。この比較から最も分かることがこれだ。この7年間で世界経済がこんなにも変わる時代に生きていると。リーマンショック、サブプライム住宅ローン組込証券バブルの破裂が目に見えるようになったのは、この二冊の本の間07年のことだった。
Ver4 Ver5
1章 アメリカ経済 グローバリゼーションをどうとらえるか
2章 中国経済 日本・中国・アジア
3章 EU経済 アメリカ経済
4章 IT革命と現代世界経済 ヨーロッパ経済
5章 国際貿易の構造と理論 国際貿易の構造と基礎理論
6章 多国籍企業とM&A・国際提携 多国籍企業と直接投資
7章 WTOと世界通商システム 金融グローバリゼーション
8章 国際収支の理論と現実 国際収支と国際投資ポジション
9章 金融グローバリゼーション グローバリゼーションとWTO
10章 現代の国際通貨体制 国際通貨体制
11章 開発と援助 低開発と貧困削減
12章 貧困・飢餓・ジェンダー 一次産品と資源・食糧問題
13章 地球環境と資源問題 国際環境政策
14章 国際政治経済学で解く現代世界経済 人の移動とグローバリゼーション
これを見ると、世界経済激変の正体が「金融グローバリゼーション」にあることは明らかだ。世界のここに焦点を絞って発生経過、現状、問題点、改革などを探ってみようと、何冊もの本を読んできた。それらの本のうち以下の拙稿に使わせて頂いた物と、以下5~6回ほどにわたって書くことの目次とを、初めに紹介させていただく。
「現代世界経済をとらえる Ver4」と「Ver5」(東洋経済新報社)
「日本近現代史10巻シリーズ」(岩波新書)
「金融危機は再びやってくる」(伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授、岩波ブックレット、12年)
「国家の品格」(藤原正彦・お茶の水女子大学教授 新潮新書 06年の第24刷)
「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」(毛利良一・日本福祉大学教授、大月書店、02年)
「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(ドナルド・ドーア、中公新書 12年の第5版)
「アジア力の世紀」(進藤榮一.筑波大学教授、岩波新書、13年)
「金融権力」(本山美彦・京都大学名誉教授、岩波新書、08年)
「ケインズはこう言った」(高橋伸彰・立命館大学教授、NHK出版新書、12年)
「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫・元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、集英社新書、14年)
「世界経済入門」(西川潤・早稲田大学大学院教授、岩波新書、07年第5刷版)
「覇権か生存か アメリカの世界戦略と人類の未来」(ノーム・チョムスキー、集英社新書、04年)
以降最後までの目次は、この通りである。
第1章 金融グローバリゼーションの生成と発展
第1節 その生成
第2節 民間資金の世界席巻と通貨危機
第3節 アジア通貨危機の発端、タイの例
第2章 金融グローバリぜーションの破綻
第1節 金融が世界を乗っ取った
第2節 「100年に1度の経済危機」
第3節 破綻の構造
第3章 金融グローバリゼーションの改革
第1節 国際機関などの対応
第2節 各国などの対応や議論
第3節 平和に生きて行ける世界を目指して
2013年3月1日から約10回ほどの連載で、かなりの本を読んで「世界経済史の今を観る」というシリーズをここに載せた。08年のリーマン・ショックが「100年に1度の危機」と呼ばれるのがどうしてなのかを知りたかったからである。全米の5大投資銀行が全部潰れたのだから、容易ならざる事態だとは誰にも分かることだったのだが、その仕組み解明がマスコミなどでは隠されていることが明らかだったから、これを知りたかった。「100年に1度の危機」としたら世界中が必死に避けたかったのに起こってしまったことのはずであって、これの世界的後遺症に10年、20年と人類が苦しまされるような、そんな地球的大問題と観るべきだからである。よって、その後もこのテーマを追いかけるべく、いろんな本を読んでは、ここにその続きを書いてきた。これは、現在までのそういう努力の集大成のつもりなのだ。
どんな企業、団体などでも良い方針を作る場合には「現状分析、課題の明確化、今後の方針」をできるだけ長いスパンで、できるだけ全面的に観ようとするものだろう。つまり、中長期計画に拘ってこなかった企業などは、激動の時期には特に潰れ易い。日本国政も同じであって、一定長いスパンで世界を観られなければ、正しい対処法は出て来ないはずだ。
時あたかも米英圏が引っ張った金融グローバリゼーションがその政治にまで大破綻をもたらし始めたかに見える今。リーマンショックが、その後の世界大戦に繋がった1929年世界大恐慌と比肩されて「100年に1度」と呼ばれたのはどうしてだったのか。そのことをこんな今の時点でもう一度、より深くまとめてみたい。
東洋経済新報社の「現代世界経済をとらえる Ver4」と「Ver5」という本が手元にある。03年版と10年版なのだ。A5版びっしりの300頁近いのに、明らかなロングセラー。全国の大学経済学部などの教科書として版を重ねてきた本なのである。全14章に執筆者14人、全国の国公私立大学14校の専門家がそれぞれを執筆している。2つの版の目次の比較をやってみた。この比較から最も分かることがこれだ。この7年間で世界経済がこんなにも変わる時代に生きていると。リーマンショック、サブプライム住宅ローン組込証券バブルの破裂が目に見えるようになったのは、この二冊の本の間07年のことだった。
Ver4 Ver5
1章 アメリカ経済 グローバリゼーションをどうとらえるか
2章 中国経済 日本・中国・アジア
3章 EU経済 アメリカ経済
4章 IT革命と現代世界経済 ヨーロッパ経済
5章 国際貿易の構造と理論 国際貿易の構造と基礎理論
6章 多国籍企業とM&A・国際提携 多国籍企業と直接投資
7章 WTOと世界通商システム 金融グローバリゼーション
8章 国際収支の理論と現実 国際収支と国際投資ポジション
9章 金融グローバリゼーション グローバリゼーションとWTO
10章 現代の国際通貨体制 国際通貨体制
11章 開発と援助 低開発と貧困削減
12章 貧困・飢餓・ジェンダー 一次産品と資源・食糧問題
13章 地球環境と資源問題 国際環境政策
14章 国際政治経済学で解く現代世界経済 人の移動とグローバリゼーション
これを見ると、世界経済激変の正体が「金融グローバリゼーション」にあることは明らかだ。世界のここに焦点を絞って発生経過、現状、問題点、改革などを探ってみようと、何冊もの本を読んできた。それらの本のうち以下の拙稿に使わせて頂いた物と、以下5~6回ほどにわたって書くことの目次とを、初めに紹介させていただく。
「現代世界経済をとらえる Ver4」と「Ver5」(東洋経済新報社)
「日本近現代史10巻シリーズ」(岩波新書)
「金融危機は再びやってくる」(伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授、岩波ブックレット、12年)
「国家の品格」(藤原正彦・お茶の水女子大学教授 新潮新書 06年の第24刷)
「グローバリゼーションとIMF・世界銀行」(毛利良一・日本福祉大学教授、大月書店、02年)
「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(ドナルド・ドーア、中公新書 12年の第5版)
「アジア力の世紀」(進藤榮一.筑波大学教授、岩波新書、13年)
「金融権力」(本山美彦・京都大学名誉教授、岩波新書、08年)
「ケインズはこう言った」(高橋伸彰・立命館大学教授、NHK出版新書、12年)
「資本主義の終焉と歴史の危機」(水野和夫・元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト、集英社新書、14年)
「世界経済入門」(西川潤・早稲田大学大学院教授、岩波新書、07年第5刷版)
「覇権か生存か アメリカの世界戦略と人類の未来」(ノーム・チョムスキー、集英社新書、04年)
以降最後までの目次は、この通りである。
第1章 金融グローバリゼーションの生成と発展
第1節 その生成
第2節 民間資金の世界席巻と通貨危機
第3節 アジア通貨危機の発端、タイの例
第2章 金融グローバリぜーションの破綻
第1節 金融が世界を乗っ取った
第2節 「100年に1度の経済危機」
第3節 破綻の構造
第3章 金融グローバリゼーションの改革
第1節 国際機関などの対応
第2節 各国などの対応や議論
第3節 平和に生きて行ける世界を目指して