ここで紹介してきた『書評「アメリカ帝国の終焉」』でも、標記の学問(分野)のことに触れた。そして、この書評⑤に「東洋経済12月24日号」の特集『「いま」がわかる歴史の読み方』に関わって、昨日コメントを一つ付けた。この特集の中の「覇権国家の行方ー欧米からアジアへ」という記事に触れて。
グローバル・ヒストリー。この語と、これが説く内容が、最近の世界マスコミに頻繁に出てくるようになった。これは、世界経済史における各国の力を数百年単位の盛衰の流れとして観る学問。イギリス経済学者アンガス・マディソンの学説とその膨大な資料が有名である。
今の経済報道マスコミが、「今とここ」だけ、そんな株価動向だけに成り果てているとき、例えば500年もの経済盛衰史を示してくれる学問はすごく貴重だと言える。上記「東洋経済12月24日号」の特集資料をやや詳しく説明してみよう。予め言っておくと、この記事には大きな欠陥がある「欧米からアジアへ」と題しながら、中国のことを完全に避けて、インドのことでお茶を濁している。なぜなのだろう? 苦笑いしながら考えてみたとだけお伝えして・・・。
さて、この記事には西暦1500年から今日までの世界経済盛衰史資料が載っている。1500年当時とは、やっとコロンブスのアメリカ「発見」があったばかり、当時のいわゆる欧米経済力は世界の3分の1にも満たない。それが1900年の頃には、逆に、アジアが4分の1以下になる。中国とインドが植民地主義にやられた「特殊な時代」という説明があった。
それから120年、アジア・アフリカが、欧州・南北米大陸を、昔のように追い越そうという時代。それが今なのである。中国とインドが復活してきて、日本も1970~80年代の「ジャパン・アズ・ナンバーワン」時代よりはかなり落ちたとは言えやはり大きいGDPを持っているということなのだ。一時NIESと言われた韓国、台湾や、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国の台頭にも凄く大きなものがあると分かる。
さて、こんな時代に斜陽のアメリカべったりで中韓と喧嘩するような軍事政策をさえ採ってきた安倍長期政権は甚だしい時代錯誤と言えないだろうか。昨今の「森友」「南スーダン」問題のすったもんだは、安倍の時代が終わったと誰かが動き始めたのだろうなどと、想ってみたところだ。
こんな政権、時代に合うわけがない。「アメリカの非知性と時代錯誤・トランプと良い勝負」、には相応しいかも知れない、等とも想ってみたもの。