米中会談の最大問題、北朝鮮への対処では、中国の方が完全に正しかったということを述べてみたい。南シナ海問題では中国が誤っていたという、それと同じ国際基準が存在している。日本人はこの事をもっと明確に意識すべきだと主張したい。
トランプが、日米で一致している「さらなる圧力強化を」と要求したことに対して、中国側はこう応えたと報道された。
『中国は安保理決議を真剣に履行し、既に国際的な責任を果たしている』
『われわれは一貫して安保理の枠外で一方的な制裁を行うことに反対している』
中国のこの態度こそ正しいと思う。アメリカは国連決議以上の制裁を中国に申し入れたのに対して、中国が国連に従うと応えたのだから。
国連決議以上の制裁を課するとは、旧イラク・フセイン政権に対する有志国連合戦争のようなものを意味する。シリア内乱(への国際的干渉)を巡っても示されたように、「国際的な経済制裁などの強化」とは、戦争と同じような意味を持つ場合も多いようなものだ。歴史的一例を挙げれば、日本が太平洋戦争を開戦した理由が、アメリカによる石油や鉄鋼の輸出禁止にあったという事実がある。
トランプはつまり、イラクやシリアに対したのと同様に、国連法の枠外で北への制裁を強化しようと関係諸国に提案しているのである。端的に言えばこれは、国連無視の提案に他ならない。
日本現政権は、こんなアメリカに追随して、そういう国連無視の態度をイラク戦争と同様に取ったということなのだ。日本国民は、日本政府がこんなアメリカに従って国連無視の挙に出たということを、ほとんど意識していない。とても、悲しいことである。
以上のことは、今後の国際行動で意見対立があった場合にも判断基準にできることだろう。国連決定に従うという方が正しく、それ以外の戦争、制裁を叫ぶのは国際的無法行為の提案そのものであると。現代ではこういう場合常に、国連を無視する方が誤っているのだ、とも。
ただし、世界最大の強国が国連を無視できる時代も間もなく終わるはずだ。国連に結集する諸国がそうさせずにはおかないはずだ。また、そうして初めて、この地上から戦争がなくせる方向が見えたことになるはずなのだ。