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米北チキンレースに「リメンバー、イラク戦争!」    文科系

2017年11月27日 09時22分36秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 北とアメリカとのチキンレースは、一体どうなるのか。これを見守るにつけても、イラク戦争開戦が、それ以降世界の今に遺した後遺症を人々が思い出すべきだと思う。「大量破壊兵器」という嘘の理由をでっち上げて国民を熱狂させてまで開戦したイラク戦争。この戦争は同時に、国連破壊の確信犯行だったと言う側面もある。その今日までの次第を改めて追ってみよう。戦争はいかに大悪であるか

9・11のアルカイダは、元々はアメリカがアフガニスタンにおいて創り育てたもの。そして、イラク戦争開戦時のあの熱狂ぶりを思い出すと、ぞっとする。嘘の理由をでっちあげて強引に持ち込んだ開戦であった。

②後遺症も含めた大罪が凄い。難民や、そのキャンプ以降の生活・運命やによる関連死含めて50万という国際調査団結果もある死者数。イタリア、スペイン、イギリスなど、当時の有志参戦国政権がほとんどつぶれたこと。IS国などのテロを世界中に喚起したこと。膨大な難民を生みだして、EU混乱やイギリスのEU離脱にも繋がったこと。などなど、この戦争は21世紀世界をどれだけ大きく換えてしまったことだろう。

③そして、世界の未来への影響という点では、なによりも国連無視。という以上に、「米軍主導の『国際警察』」で国連に換わる「指導者」にアメリカがなろうとした国連破壊行動だったのだと愚考したものだ。1990年の冷戦終結以降一強になってすぐに起こった湾岸戦争から、アメリカの国連無視が酷くなるという姿勢がずっと一貫しているのである。ちなみに、「史上かってない大連合」と、ラムズフェルトがイラク戦争有志国連合について獅子吼したのも有名な話だ。中ロを除いたG7運営も、これと同じ発想なのだろう。なお、米軍事費はいつの間にか冷戦時代の2倍になって年間60兆円、日本の国家予算の実に3分の2になった。

④以上の世界政治史的意味は、開戦時の国連総会アナン演説に何よりも雄弁に示されている。以下の言葉の歴史的意味は限りなく重いと振り返ることが出来る。読者には是非、以下を熟読玩味されたい。

『「私たちはいまや大きな岐路に立たされています。国連が創設された1945年にまさるとも劣らない、決定的な瞬間かも知れないのです」
 2003年9月23日、第58回国連総会開会日の冒頭演説で、アナン事務総長はそう述べた。その年の3月にイラクで戦争を始めたアメリカを、名指しではなかったものの厳しく批判した直後である』

『「今日に至るまで、国際の平和と安全に対する幅広い脅威と戦い、自衛を超えた武力行使をすると決める際には、唯一国連だけが与えることの出来る正当性を得なければならないという理解でやってきました」。にもかかわらず、先制攻撃の権利といった根拠で武力を行使する国が現れた──。
 それは「いかに不完全であれ、過去58年間、世界の平和と安定のために頼りにされてきた大原則に根底から挑戦するものなのです」と彼は言う。つまり、「単独主義的で無法な武力行使の先例を作ってしまうもの」なのだと言うのである。アメリカにとっては厳しい批判だが、総会議場は長い拍手に包まれた』
以上、「国連とアメリカ」(最上敏樹・国際基督教大学教授 2005年刊)

⑤対するに、アメリカ政府の正式なイラク戦争総括は今日現在までなにも無い。イギリス・ブレアの反省に比べて、犯罪的だと思う。国連、世界平和を重視するアメリカ国民、他国民の責任は、今限りなく重くなっている。ちなみに、アメリカ国民は今こそ、ケネディ大統領の六一年国連総会演説を思い出すべきだ。
『戦争にとって代わる唯一の方法は国連を発展させることです。……国連はこのあと発展し、われわれの時代の課題に応えることになるかもしれないし、あるいは、影響力も実力も尊敬も失い、風と共に消えるかもしれない。だが、もし国連を死なせることになったら──その活力を弱め、力をそぎ落とすことになったら──われわれ自身の未来から一切の希望を奪うに等しいのであります』



 こうして今考えると、アメリカはイラク戦争によって国連に換わるような世界の盟主になろうとして失敗したのだと思う。そういう起死回生の無謀な大ばくちが失敗した。65兆ドルの国家累積赤字、冷戦時代の2倍になった年間軍事費、経済の衰退、そして何よりも世界に決定的な不信感を与えたということ。トランプアメリカが示しているのは、もはや衰退しつつある帝国における種々の末期的症状ということでもあろうか。世界の彼への不信の目が、これを何よりも雄弁に物語っている。
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ハリルジャパン(139) 祝、浦和、アジアクラブチャンピオン、その訳  文科系

2017年11月27日 09時01分38秒 | スポーツ
 浦和がアジアクラブチャンピオンになった。日本チームのこれは確か9年ぶり? この10年、初めは韓国、次いで中国クラブにいつも敗れて、ACLを重視してきた僕がどれだけ悔しい思いをしてきたか。それが何故、ここ1、2年強くなったのか? この戦いの上にこの12月も世界クラブチャンピオン決定戦があって、去年のここで鹿島が南米クラブを破って準優勝した。日本のクラブはやっと自分にあった闘い方を身に付け始めたという、以下にそういうことも書いてみたい。

さて、1昨日の浦和・アルヒラル戦である。できるだけ多面的に観るという意味で正当な観戦記として、ここの拙稿「改めて、分かり、楽しくなるサッカー観戦法 2017年11月19日」の拙稿観点にそって論を展開してみたい。なお、多面的に観るというならこの点が足らないだろうというようなご批判は大歓迎である。そういうことをこそ論議しなければ、日本のサッカー眼が一向に深まらないと考えてきた。サッカーは攻と防、組織と個人、敵と味方などなどを、相関関係として見なければ何も分からないゲームなのだから。

①前半の前半ぐらいまでは、両チームがDFラインを押し上げて、中盤のつぶし合いが熾烈だった。繋ぎに強いヒラル、潰しが強い浦和という様相だったのだから、浦和劣勢と見えて当然である。ただし、30分過ぎからは、ヒラルのペースが落ちてきた。ファールが目立ったから、これが分かる。後から振り返れば、後半にヒラル1人2ファールで退場という事態への伏線が、すでに前半の終わりの方で見られていたことになる。
 因みにあの攻撃陣程度ならば、準決勝で浦和が死闘を演じた上海上港(ここは浦和戦の前の準々決勝で優勝候補広州恒大を負かしてきた)よりはまだ凌ぎ易かったに違いない。

②さて後半の前半、ヒラルが攻めに出るのは必然。ヒラルのホームで1対1の前戦に対して、最低1得点はしなければ敗北だからだ。ヒラルの攻めに対して浦和が粘り強く守るも、20分過ぎには浦和のバイタルエリアが次第に空くようになる。そんな浦和は、ゴール前を固めるブロック守備もやむなくされて、苦しい時間帯が続いた33分。敵選手1人が2ファール目、退場。今までの経過から見て、ここで勝利はほぼ決まった。43分にラファエルのカウンターで、1対0勝利。

シュート数もコーナーキック数もほぼ同じというのは、第1戦よりも浦和の健闘ぶりを示している。特に、守備・潰しが健闘しており、代表監督ハリルもご満悦という闘い方であった。この守備健闘の典型として、右サイドバックを努めた遠藤について、あるサイトの記事を転載する。こんなに強力な、遠藤を観ると、長澤や槙野と共に、攻撃的守備を新たな看板にしたとも言える浦和の若手代名詞と分かるのである。

『この決勝第2戦で遠藤が見せたプレーや残したデータが素晴らしいものだったことを特筆すべきだろう。大会公式サイトが公開しているデータで、遠藤が残したこのゲームでの“デュエル”の数値は凄まじい。地上戦で15勝3敗、空中戦で7戦全勝。つまり、トータルして25戦を22勝3敗ということなる。これを勝率にすれば88%だ。それだけ、ボール際の争いで強さを発揮し、縦へのフィードや逆サイドからのクロスに対して堅牢な守備を見せた。浦和の右サイドには、恐ろしく強固なカギが掛かっていたことが分かる。
 さらに、自分が受けたファウルは二つだが、犯したファウルはゼロ。激しく相手に体をぶつけながら、そのプレーは非常にフェアなものだったということだ。守備の選手として、これ以上の結果やプレーはないだろう。』

④結論として、こういうのが日本チームの闘い方なのだろう。この戦いの去年の頂点、12月の世界クラブカップ戦で鹿島が南米チャンピオンを負かし、欧州チャンピオン・レアルと90分2対2の激闘を演じたのと同じ闘い方だと観たものだ。ただ、潰しで隙を作らないという意味でこんな危うい死闘は、国代表なら無失点で済むだろうかとは思わされた。代表の攻守の連携は、クラブほどは鍛えられないからである。

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