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ハリルジャパン(129)ハリル理解の一助に   文科系

2017年11月12日 12時19分42秒 | スポーツ
 ハリル理解の一助に、旧稿を再掲してみることにしました。見られる通り、06年7月1日のドイツ・ワールドカップ、準々決勝のフランス・ブラジル戦、1対0で終わったゲームです。以下のように、世界一の個人技多士済々を誇るブラジルも、西欧勢にはよく負けるのです。14年ブラジルワールドカップ準決勝では、ドイツに1対7でやぶれましたし。この06大会はなお、フランスとイタリアの決勝戦となり、1対1の同点からPK戦でイタリアが勝ちました。
 なお、以下のゲームでブラジルが敗れた訳に関わって、ハリルの代表戦略を理解する一つの鍵が潜んでいると愚考しているからこそ、これの再掲を思い立ちました。言いたいことを言っていますが、組織的シガラミがなにもない個人が、お金を取って書く文章ではないだけに本当に思っていることを書けるという文章。最後までお読み願えれば嬉しいです。

 ただし、今回のチッチ監督になってからのブラジルは途方もなく強くなったと、これは是非強調しておきたいと思います。


『 サッカーの一観点──フランス・ブラジル戦総括から  文科系 2006年07月04日 | スポーツ

 日本はサッカー(観戦)文化、さらに言えばスポーツ(観戦)文化の程度が低いと思う。贔屓チームの勝ち負けしか見ない。それではサッカーフーリガンと同じで、勝ち負けで喧嘩して、賭けて楽しむだけでよいというようなものだ。勝ち負けしか観ないから、点とその周辺のことしか観ない。だからホームラン打者にばかり注目するように、ブラジルにばかり注目する。野球解説でもそうだが、サッカー解説はなおさらそういうように程度が低いと思う。

 バレーボールでこういうことがよく言われる。「素人はアタッカーばかり見る。ちょっと分かってくると良いアタッカーへのトスの出し手を見る。もっと分かった人はそのトッサーに良いパスを出している人を見る」と。何のことはない、アタッカーとは、敵の攻撃を上手く受け止め反撃に換える「名パッサー」から始まる一連の流れの「結果」だということだ。勝敗の原因はアタッカー以外の別の所を見ないと分からないということにもなる。良いアタッカーを揃えたブラジルがなぜ負けたのか。次の事実を見れば一目瞭然である。「ブラジルがゴール枠に飛ばしたシュートはたった1本」。これでは良いアタッカーを揃えても勝てるわけがないではないか。なぜこうなったか。アタッカーばかりを見る観戦法がいかに程度の低いものかということを示した絶好の例となるゲームとして、この試合の分析を試みたい。

 ブラジルのエース、ロナウジーニョが全く活躍できなかった。点取り屋のロナウドは「フランスの知性にやられた」と語った。これらはフランスの「組織的防御」がどれだけ凄かったかということを示している。なお、サッカーの防御というのには、敵の得点を阻むということ以上に大切なことがある。「敵のボールを奪う」ということだ。ブラジルが枠に飛ばしたシュートが1本というのには、フランスの最後の防御戦がシュートを自由に打たせなかったという以上に「シュート体制以前に敵ボールを潰し、奪ってもいた」ということがある。誰が奪ったか。11人の知的防御組織で奪ったわけだが、狭義で言えば4バックと「その前の2人」とが協力しあって奪ったのである。2人とは、ビエラ(イタリアのユベントス所属)とマケレレ(イギリスのチェルシー所属)、知る人ぞ知る世界最高のボランチ(日本で言えば福西、稲本の位置・役目)二人である。ブラジルがフランスに足をすくわれるかも知れないと僕がここに書いたのは、この二人の存在に目を付けたからだった。ボランチとは攻守両方を組織する攻守の繋ぎ役、先述のバレーボールの言葉で言えば、「敵の攻撃を上手く受け止めて味方の良い攻撃に換える『名レシーバー・パッサー』」なのである。

 これからサッカーを見るときは、味方が攻められているときの敵の球を奪う組織・機能やプレイヤーを見よう。サッカーとは敵の球を奪えなければ結局シュートまで持って行かれたり、味方の攻撃場面がなかなか来なかったりということになる。それではいくらアドリアーノがいても宝の持ち腐れである。現代サッカーではボランチこそ面白い。

 ビエラとは、今年欧州チャンピオンズリーグで2位になったアーセナル(イギリス)で育ち、ボランチとしてはかってないような値段でイタリア最強チームにほんの最近買われていった名選手である。あのベンゲルが育てた最高傑作の1人だ。ちなみに、もう1人のベンゲルの最高傑作が今回ブラジルから点を取ったアンリである。
 マケレレとは、世界最高チームと言われたレアルマドリッド(スペイン)のちょっと前の黄金時代を築き、現在の世界最高チームと言われるチェルシー(イギリス)に買われていった名選手。レアルからマケレレがいなくなってから、レアルが急に弱くなったと言われる、「無尽蔵の走りのエネルギー」、大事な大事な、まるで縁の下を一人で支えているような力持ち選手である。』
コメント (1)
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掌編小説  「日本精神」エレジー   文科系

2017年11月12日 10時39分22秒 | 文芸作品
「貴方、またー? 伊都国から邪馬台国への道筋だとか、倭の五王だとか」
連れ合いのこんな苦情も聞き流して、定年退職後五年ほどの彼、大和朝廷の淵源調べに余念がない。目下の大変な趣味なのだ。梅の花びらが風に流れてくる、広縁の日だまりの中で、いっぱいに資料を広げている。
「そんな暇があったら、買い物ぐらいしてきてよ。外食ばっかりするくせにそんなことばっかりやってて」
「まぁそう言うな。俺やお前のルーツ探しなんだよ。農耕民族らしくもうちょっとおっとり構えて、和を持って尊しとなすというようにお願いしたいもんですな」

 この男性の趣味、一寸前まではもう少し下った時代が対象だった。源氏系統の家系図調べに血道を上げていたのだ。初老期に入った男などがよくやるいわゆる先祖調べというやつである。そんな頃のある時には、夫婦でこんな会話が交わされていたものだった。
 男「 源氏は質実剛健でいい。平氏はどうもなよなよしていて、いかん」
 対してつれあいさん、「質実剛健って、粗野とも言えるでしょう。なよなよしてるって、私たちと違って繊細で上品ということかも知れない。一郎のが貴方よりはるかに清潔だから、貴方も清潔にしてないと、孫に嫌われるわよ」
 こんな夫に業を煮やした奥さん、ある日、下調べを首尾良く終えて、一計を案じた。
「一郎の奥さんの家系を教えてもらったんだけど、どうも平氏らしいわよ」
 男「いやいやDNAは男で伝わるから、全く問題はない。『世界にも得難い天皇制』は男で繋がっとるんだ。何にも知らん奴だな」
 妻「どうせ先祖のあっちこっちで、源氏も平氏もごちゃごちゃに決まってるわよ。孫たちに男の一郎の方が大事だってことにも、昔みたいにはならないしさ」
 こんな日、一応の反論を男は試みてはみたものの、彼の『研究』がいつしか大和朝廷の誕生関連へと移って行ったという出来事があったのだった。

 広縁に桜の花びらが流れてくるころのある日曜日、この夫婦の会話はこんな風に変わった。
「馬鹿ねー、南方系でも、北方系でも、どうせ先祖は同じだわよ」
「お前こそ、馬鹿言え。ポリネシアとモンゴルは全く違うぞ。小錦と朝青龍のようなもんだ。小錦のがおっとりしとるかな。朝青龍はやっぱり騎馬民族だな。ちょっと猛々しい所がある。やっぱり、伝統と習慣というやつなんだなー」
「おっとりしたモンゴルさんも、ポリネシアさんで猛々しい方もいらっしゃるでしょう。猛々しいとか、おっとりしたとかが何を指すのかも難しいし、きちんと定義してもそれと違う面も一緒に持ってるという人もいっぱいいるわよ。二重人格なんてのもあるしさ」
 ところでこの日は仲裁者がいた。長男の一郎である。読んでいた新聞を脇にずらして、おだやかに口を挟む。
 一郎「母さんが正しいと思うな。そもそもなんで、南方、北方と分けた時点から始めるの」
 男「自分にどんな『伝統や習慣』が植え付けられてるかはやっぱり大事だろう。自分探しというやつだ」
 一郎「世界の現世人類すべての先祖は、同じアフリカの一人の女性だという学説が有力みたいだよ。ミトコンドリアDNAの分析なんだけど、仮にルーシーという名前がつけられてる。二十万年から十二万年ほど前にサハラ以南の東アフリカで生まれた人らしい。まーアダムのお相手イヴとかイザナギの奥さんイザナミみたいなもんかな。自分探しやるなら、そこぐらいから初めて欲しいな」
 男「えーっつ、たった一人の女? そのルーシー、さんって、一体どんな人だったのかね?」
 一郎「二本脚で歩いて、手を使ってみんなで一緒に働いてて、そこから言語を持つことができて、ちょっと心のようなものがあったと、まぁそんなところかな」
 男、「心のようなもんってどんなもんよ?」
 一郎「昔のことをちょっと思い出して、ぼんやりとかも知れないけどそれを振り返ることができて、それを将来に生かすのね。ネアンデルタール人とは別種だけど、生きていた時代が重なっているネアンデルタール人のように、仲間が死んだら悲しくって、葬式もやったかも知れない。家族愛もあっただろうね。右手が子ども以下に萎縮したままで四十歳まで生きたネアンデルタール人の化石もイラクから出たからね。こういう人が当時の平均年齢より長く生きられた。家族愛があったという証拠になるんだってさ」
 妻「源氏だとか平氏だとか、農耕民族対狩猟民族だとか、南方系と北方系だとか、男はホントに自分の敵を探し出してきてはケンカさせるのが好きなんだから。一体何を勉強してるのやら? ルーシーさんがこんなの見たら、泣くわよねーホントに!」
 男「そんな話は女が世間を知らんから言うことだ。『一歩家を出れば、男には七人の敵』、この厳しい国際情勢じゃ、誰が味方で誰が敵かをきちんと見極めんと、孫たちが生き残ってはいけんのだ。そもそも俺はなー、遺言を残すつもりで勉強しとるのに、女が横からごちゃごちゃ言うな。親心も分からん奴だ!」

 それから一ヶ月ほどたったある日曜日、一郎がふらりと訪ねてきた。いそいそと出された茶などを三人で啜りながら、意を決した感じで話を切り出す。二人っきりの兄妹のもう一方の話を始めた。
「ハナコに頼まれたんだけどさー、付き合ってる男性がいてさー、結婚したいんだって。大学時代の同級生なんだけど、ブラジルからの留学生だった人。どう思う?」
 男「ブ、ブラジルっ!! 二世か三世かっ!?!」
 一郎「いや、日系じゃないみたい」
 男「そ、そんなのっつ、まったーくだめだ、許せるはずがない!」
一郎「やっぱりねー。ハナコは諦めないと言ってたよ。絶縁ってことになるのかな」
 妻「そんなこと言わずに、一度会ってみましょうよ。あちらの人にもいい人も多いにちがいないし」
 男「アメリカから独立しとるとも言えんようなあんな国民、負け犬根性に決まっとる。留学生ならアメリカかぶれかも知れん。美意識も倫理観もこっちと合うわけがないっ!!」
 妻「あっちは黒人とかインディオ系とかメスティーソとかいろいろいらっしゃるでしょう?どういう方?」
一郎「全くポルトガル系みたいだよ。すると父さんの嫌いな、白人、狩猟民族ということだし。やっぱり、まぁ難しいのかなぁ」
 妻「私は本人さえ良い人なら、気にしないようにできると思うけど」
 一郎「難しいもんだねぇ。二本脚で歩く人類は皆兄弟とは行かんもんかな。日本精神なんて、二本脚精神に宗旨替えすればいいんだよ。言いたくはないけど、天皇大好きもどうかと思ってたんだ」
 男「馬鹿もんっ!!日本に生まれた恩恵だけ受けといて、勝手なことを言うな。天皇制否定もおかしい。神道への冒涜にもなるはずだ。マホメットを冒涜したデンマークの新聞は悪いに決まっとる!」
 一郎「ドイツのウェルト紙だったかな『西洋では風刺が許されていて、冒涜する権利もある』と言った新聞。これは犯罪とはいえない道徳の問題と言ってるということね。ましてや税金使った一つの制度としての天皇制を否定するのは、誰にでも言えなきゃおかしいよ。国権の主権者が政治思想を表明するという自由の問題ね」
 妻「私はその方にお会いしたいわ。今日の所はハナコにそう言っといて。会いもしないなんて、やっぱりルーシーさんが泣くわよねぇ」 
 男「お前がそいつに会うことも、全く許さーん! 全くどいつもこいつも、世界を知らんわ、親心が分からんわ、世の中一体どうなっとるんだ!!」
 と、男は一升瓶を持ち出してコップになみなみと注ぐと、ぐいっと一杯一気に飲み干すのだった。
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