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改めて、ゲーゲンプレス   文科系

2019年09月19日 09時44分25秒 | スポーツ
 予告させていただいたように、2010年頃からドイツはドルトムントの急台頭で脚光を浴び始めたゲーゲンプレスについての旧稿を再掲したい。この戦術を知っておくと、現在のサッカーで分かる部分が急に多くなるからである。なぜ、コンパクト陣形を高い位置まで押し上げるのかとか、そもそもコンパクト陣形が重要とはどういう意味なのか、とか。さらには、点がそれほど取れなかった岡崎がなぜイングランド優勝チームであれだけ重宝されたのか、とか。

 なお、ゲーゲンプレスというドイツ語の意味だが、英語に直せばカウンタープレスのこと。カウンター攻撃というのは、敵の組織的攻撃に対して味方も攻撃し返すという意味だが、敵が組織的プレスで味方ボールを奪った瞬間に、味方も前へ出て取られたボールを取り返すべく組織的プレスをかけていくというやり方を指している。


【 ザックジャパン(145)改めて、ゲーゲンプレス  文科系 2014年02月26日 | 小説・随筆・詩歌など
 ドイツはドルトムントのゲーゲンプレッシング自身について解説したい。この言葉が現在このブログで、検索に最も多く引っかかる言葉だと編集部に教えられたからこれを書こうと思いたった。

① まず、クロップ監督自身の言葉を、最初の解説要点としたい。
『相手がこっちのボールを奪った瞬間こそ、相手のボールを奪う絶好機なのだ。敵の陣型が最も乱れている時だから、ボールを奪いやすい時でもある。また、その時にボールを奪えれば、即得点チャンスにもなるのだし』
 この言葉にゲーゲンプレスの全てが入っている。この語の意味自身とこのクロップの言葉とを結んでみると、意味がよく分かる。英語に言い換えた字義はカウンタープレスということであって、ボクシングのカウンターパンチが相手の拳にこちらの拳を合わせて威力を倍増させるというのとおなじ意味である。敵がボールを奪って前がかりになった瞬間こそ、敵陣形にスキが多いから、味方が前に出てボールを奪う最良の絶好機なのだということだ。

② ①の大切さを理解する必要不可欠な現代フットボール予備知識も挙げておく。現代最新型の守備とは、まずゴールを守る事(と考えるの)ではなくて、そのもっと前の段階で敵ボールを奪うことである。身方から見て高い位置で常に敵ボールを奪ってしまえば、敵がシュートを打てないという理屈だ。サッキ・ミランやバルサ以来世界がボールポゼションに拘ってきたのも同じ理屈である。敵から良くボールを奪い、パスが上手いから敵にボールを渡さないなら、ボールを持てない敵はシュートを打つ確率が極めて下がる。
 高いプレスとかコンパクトプレスとかの用語も、この事に関係している。前者は、高い位置で組織的圧倒的に敵ボールに襲いかかって奪う事。後者は、身方陣型を、DFは前に上げFWも守備に下がって前後を縦に詰め、コンパクト(コンパクトカーのコンパクトと同じ「小さいけれど中身が詰まった」という意味)陣型にして、その密集の中では敵ボールを絡め取りやすいという意味である。その際、DFを前に上げるのでカウンターを食わないように、一糸乱れぬオフサイドトラップ(オフサイドの罠)が極めて重要になる。ちなみに一例としてだが、ザックジャパンはこれがまだ下手だ。前のプレスが甘いとき、良いロングパスを通されてカウンターを食ってしまうのである。オフサイドトラップを多用するコンパクト陣型には前の協力も不可欠だというのは、このことを指している。
 ところで、以上との関係でゲーゲンプレスを述べればこうなる。まず、必ずコンパクトプレスになるということ。高いコンパクトも、CLリーグなどでは低いコンパクトもよく使うが。特に、高位のコンパクトプレスからのボール奪取、得点が上手いということだ。これが、ゲーゲンプレスの代名詞のようなものになっていると思う。

③ ゲーゲンプレッシングのやり方自身はこうである。
A ボールを奪った相手に最も近い味方は、すぐに敵ボール保持者からボールを奪いに行く。形だけではなく、本気で奪いに行くのである。
B 近くに敵の他の選手がいるその他の味方は、敵ボール保持者からのパスコースを塞ぐ。
C パスコースを塞げる敵がいない味方は、後ろからでもパスの受け手になりそうな敵を妨げに走る。あわよくば後からボールを奪ってやろうと意図して。コンパクト陣形にするほどに、この確率も高まるという、このことさえも狙い目なのだ。
D 以上の結果として、パスの出し所を失った敵ボール保持者が苦し紛れに蹴ったボールが身方に流れることも多いが、それもこの戦術の狙いの内なのである。

④ 最後に、以上の為にドルトムントは常日頃どんな練習をしているか。木崎伸也の見てきたところをまとめてみよう。彼は、ドルトムントの秘密練習までこっそりと覗くなどと、大変な努力を積んできた。
A 以上の為の走りにつき、常日頃死に物狂いのような練習を積んでいる。ハインケス監督時代の最後にドルトムント・ゲーゲンプレスをそっくり真似してCL杯を取ったバイエルンとともに、ドルトムントは現在の世界でダントツに走るチームと言えるだろう。それも、ダッシュが多いという意味だ。
B 例えば低く構えてコンパクト陣型を作る場合でも、DFラインはおおむねペナルティーラインの2m前まで出ようとして、そのためにDFがこんな練習をしている。DFライン4人が敵ボール位置に合わせて猛烈な勢いで左右に動きつつ、1人は敵ボールにアタックに出る、と。その時必要な攻撃に出たセンターバックをMFがカバーする練習も非常に多い。よって、このチームのMF全員がDFの練習も積んでいる。
C ドルトのパスを繋ぐ攻撃は、バルサ以上に縦に速いのが特徴と言える。攻撃の特徴、練習は、敵の間に顔を出し身方パスを引き出すこと、そのためのパス&ムーブの徹底、そしてワンタッチパスの多さなどがある。合宿などでは、ハーフコートの5対5ゲームをワンタッチ限定でやり尽くすということだった。このCの全てに対する防御練習が存在するという事になり、ここにもゲーゲンプレス練習の大事なポイントがあると言える。

 最後になったが、ザックのチームコンセプトはドルトムントに非常によく似ていると言える。ザックもドルトムントと同じで、攻撃はバルセロナ、守備はアリゴサッキのミラン(のゾーン・プレス戦法)を理想としてきたのだから、当然の事なのだ。組織規律を良く守り、よく走りもする日本人にはこの戦術が非常によく合っていると言える。】

 
 なお、このユルゲン・クロップがドイツ人としては2人目のプレミア監督になったのが2015年10月のリバプール行き。ちなみに、一人目はフェリクス・マガト。ドイツに長谷部誠を呼んで、長谷部の2年目にブンデスリーグ優勝を成し遂げた名監督である。
 その後のクロップのチーム復興実績はもう、誰の目にも明らかだろう。ゲーゲンプレスに特有の「得点も多いけど、失点が多い」という欠点をどんどん減らしていったのである。一番の変化は、引いて守る相手に、取りこぼしをしなくなったこと。そんな相手に対してもカウンターを食いにくいディフェンスを構築していった。吉田麻也の同僚であったファンダイクがその要に座っている。ちなみに、この「サッカー史上最高のディフェンダー」を取ることができたのも、クロップのおかげ。15年、16年とプレミア順位を急に上げることによって、17年ELリーグ戦決勝進出などで、急に世界的強豪兼金持ちチームになりおおせたからである。18年にはCL決勝進出、19年にはとうとう、CL優勝を成し遂げている。
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浦和と鹿島の明暗   文科系

2019年09月19日 09時12分07秒 | スポーツ
アジアのチャンピオン・クラブを決めるACL大会準々決勝で、一昨日と昨日、日本勢が明暗に分かれた。
 同じ同点、アウェイゴール差で、一昨日は浦和は勝ち、昨日の鹿島は負けた。いずれのゲームも、中盤の潰し合い・繋ぎあいが激しく、これに日本勢が優勢という意味でよく似たゲームだったと思う。強いて言えば、この激しい潰し合い、ギリギリの繋ぎあいでは、鹿島の方が浦和よりも勝っていると観たもの。現に、鹿島の相手広州恒大のイエロカードがとても多かったのは、守備には競り遅れ、攻撃でもフォローが遅れたということだろう。つまり、ポジショニング、選手同士の距離間では、いずれのゲームも日本勢が勝っていた。では、なぜ明暗の差が出たか。

 浦和にはACLを戦い慣れた名FW・興梠がいて、上海のフッキが欠場したことが大きかったのではないか。鹿島は浦和よりも遙かに勝てるゲームを進めていたと思うが、FWが力不足だった。このチームがFWをどんどん放出し、入れ替えていくのは、財政的理由からなのだろうか? これは、いつも、とても不思議に思うことである。
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