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国連・ウイグル綱引きで、中国が対米圧勝  文科系

2019年10月31日 10時30分02秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 31日中日新聞に「ウイグル問題 国連委を二分」と見出しされた記事があって、目が吸い寄せられた。直前にまさにこの問題で「戦争に代えて「人権」革命輸出」をエントリーした後にこの記事を読んだから「やはり!」と。全文を転載する。

『国連総会で人権問題を扱う第三委員会は二十九日、中国の新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族などを弾圧しているとされる問題で、欧米や日本など先進国を中心とした二十三か国が中国に人権尊重を求めた。一方、二倍以上の五十四か国が中国の人権に対する姿勢を称賛。国際社会で影響力を増す中国を巡る対立の構図が浮き彫りになった。
 二十三か国を代表して英国が声明を読み上げ、ウイグル族の大量拘束疑惑を引き合いに「私たちは中国政府に、中国全土で信教・信条の自由などの人権を尊重する国際的な義務と責任を守るよう求める」と主張した。
 一方、中国を称賛する五十四か国には、ロシア、パキスタン、エジプトなどが名を連ねた。ベラルーシが代表で二十三か国の声明は「人権問題の政治化だ」と反論し、「ウイグル自治区ではテロや分離主義、宗教的過激主義が人々に甚大な損害を与え、重大な人権問題になっている」と中国の対応を支持。国数で優位に立った中国の張軍国連大使は「世界の人々は真実を観て判断している」と自賛して見せた。
 ウイグル族の人権問題について、報道陣から米中貿易協議へ影響を問われたクラフト米国連大使は「私は人権侵害に苦しむ人々のためにここにいる。中国かどうかは関係ない」とかわした。一方、張氏はロイター通信などに「貿易協議で良い解決策を導くために有益とは思わない」と米国を牽制した』

 それにしても、アメリカ国際的権威の凋落ぶりが、凄まじい。サウジ、イスラエルに焚き付けられたやの「イラン戦争有志国募集」には、国際会議を重ねて呼びかけ続けたのにほとんど応募はなし。中南米諸国会議に持ちかけた「対ベネズエラ戦争」にも、メキシコ、ブラジルはおろかコロンビアにさえ反対された。さらには、最近の仇敵トルコ・エルドアンに大幅譲歩までしてクルド人を見捨てて、シリアからは撤退。21日エントリーに書いた「国連総会における人権理事国選出でベネズエラ当選。米の猛烈な反対工作を押しのけて」では、その面目は丸つぶれだ。
 
 これでもう、トランプ当選は、完全になくなったと確信する。「トランプが続けば、アメリカは国際的に孤立するばかり。これでは、明日の世界史的決戦場、米中衝突にも成算が立たず」。そう、米エスタブリッシュメントらは肝に銘じたに違いないのである。
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戦争に代えて「人権」革命輸出  文科系

2019年10月31日 08時20分33秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
 2011年に始まった「アラブの春」以来、「『人権』を求める内乱」が世界中の国々に巻き起こっている。その全部とは言わないが、西欧諸国、特にアメリカが様々な工作などを通じて引き起こしている内乱も多いのではないか。つまり、昔なら戦争を仕掛けるところを、内乱工作という革命の輸出を通じて何らかの要求を通していくやり方。アラブの春以降でも、リビア、シリア、トルコ、ベネズエラ、イラン、イエメンなどなどだ。
 中国をめぐる香港、チベット、ウイグルなどにも、そんな動向が見える。香港騒乱では、その指導者の一部が米CIAと繋がっていることが写真付きで明らかにされたし、ウイグル問題では中東イスラム国との人員往来が実証されてきた(このブログ2018年12月2日「中国におけるウイグル問題」参照)。イスラム国の歴史的温床であり続けたアルカイダやタリバンと米CIAとの歴史的繋がりが、ウイグル騒乱の背景としても存在すると考えるのは極めて自然なことだろう。
 
 さて、1国の人権問題は本来、国連を中心とした多国間主義外交においてはその国の内政問題とされてきた。その人権問題が内乱に発展してさえ、これを他国はもちろん、国連でさえその一方に肩入れして何らか裁定を加えたり、まして武力介入をするなどは、そういう国連の法の範囲でしか出来ないはずのものであった。なのにアメリカは常に、こういう内乱側に強力に加担して、時には「この政府に対しては、近く武力介入もあり得る」という声明までを出す。この武力介入の前段階がいわゆる「制裁」である。ちなみに、その国への輸出禁止などの厳しい制裁は、戦前日本の中国侵略に対するアメリカの石油、鉄鋼輸出禁止のように、戦争と同じような意味を持つものだ。こうしてアメリカは、現在の国際法体系では国連を通してしか出来ないことを、勝手にどんどん実行しているのである。つまり、この世界に私刑を横行させている。そして、ある国への私刑が戦争という死刑にまで発展すると、アフガンやイラクのようにその国は地獄になる。

 近頃アメリカによるこうした「戦争に準ずる私刑」が多すぎるせいか、国連を尊重した「多国間主義外交」を無視する論議が多すぎるのではないか。右翼ポピュリズムなどは特に、国連を語らないから、なおさらのことだ。

「多国間で論じなければならぬ問題」、つまり国連規模の問題には、そういう特有の性格規定と手続きとがある。「単なる一国の人権問題」は基本的に内政問題なのだ。よってアメリカがよくやる「人権問題国」は要らんお節介、国連に諮らぬアメリカだけ独断の、自分勝手な「人権問題」とも言える。こういう「人権問題」を理由にある国にアメリカが課す「制裁」とはこうして、国連を無視した私刑と言うしかないものだ。つまり、裁判にかけずある権力者が勝手に「死刑」その他の刑罰をかすようなものである。
 親米サウジのあの酷すぎる人権問題でさえ国連では扱われていないのだから、アメリカが認める「人権問題国」をアメリカが制裁するということ自身が不当なことなのである。

 つまり、アメリカが言う人権問題はほとんど、国連規模の人権問題ではないわけだ。逆に、「アメリカのいちゃもん、武力介入、革命の輸出を裁くために国連があえて『人権問題』にする」ということは、例えばイラク戦争、ニカラグア内乱のように多く起こったものだ。
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