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書評 「米中金融戦争」(2)   文科系

2020年11月10日 14時45分40秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 戸田裕大著で、この10月1日に扶桑社から出たこの本、副題がこう付いている。『香港情勢と通貨覇権争いの行方』。この著者は三井住友銀行で為替業務のボ-ドディーラーを務めた後、在中国グローバル企業450社などの為替リスク管理に関わるコンサルティング会社を開いたお方である。

 米中金融戦争の焦点である元の国際化の意味を、この本の著者は、企業の儲け方の三方法に例えて、こんな説明をする。
『中国を一企業と考えるとわかりやすいのですが、「製造2025」は売り上げを、「一帯一路」は配当や利息の受取を増やすための戦略です。・・・・
 要するに、人民元の国際化に成功するということは、会社という比喩で語るなら、大型の資金調達に成功するのと同じことを意味しているのです。
 つまり、人民元の国際化がうまく行くと、当然「製造2025」や「一帯一路」などの事業計画に対して、よりたくさんの資金を投下することができるようになります。そうすれば、よりいっそう、政策の成功確率も高まりますし、中国経済の成長の速度を早めることもできるでしょう。
 現在の世界経済において、世界中から資金を集めるという特権は米国にのみ与えられており、ゆえに米国はその確固たる地位を維持しようとしているわけです』(P75~7)

 そういう元の国際化目論見に対して、ついに米中金融戦争が起こされた時というのを、この著者は2015年に見ている。前年までずっと続いた中国国内株急上昇、元高ドル安を受けたこの2015年、中国株の暴落という形で金融危機が起こったのである。また、この2015年から、中国からの資本流出が始まることになった。これ以降の動きを日米などでは従来、中国当局による意図的な人民元安誘導と述べてきたようだが、著者の立場は米中対立の中での投資が細ったというものだ。ちなみに、中国当局は急激な元安を避けるために、以降2017年までの2年間で1兆ドルほどのドル売り元買い介入を行っている。

 ちなみに、僕から見ればこの攻防は、こう見えぬ事もない。元に対する通貨などの空売り攻撃と、これに対する中国の元防衛と。なんせ100兆円を超えるドル売り元買いが中国当局によって行われているのだ。この見方が正しければ、空売りに失敗したアメリカは以降猛反発していくわなーなどと思ったりしていた。

(続く) 

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