九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

河村たかしは、「哀れな人」  文科系

2020年11月17日 15時09分47秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 この16日、名古屋市長河村たかしが、愛知県知事大村秀章に公開質問状を送ったのだそうだ。大村氏へのリコール署名運動の先頭に立った河村氏を、大村氏が9日に「悲しい、哀れな人」と評した事に対する質問として、こう語ったとのこと。
「著しく品位を欠き、看過できない」
「無礼千万。いかなる事実または法令上の根拠をもとに述べたのか」

 この事件の淵源が、昨年の「愛知トリエンナーレ2019」にあることは、今や日本中が知っている。そして、この戦端を開いたのが河村氏の「天皇冒涜、日本人の心を踏みにじった」と、名古屋市の補助金取り消しとにあることも。さらに遡れば、河村氏の慰安婦観や、南京大虐殺事件観にも繋がっていることは、当ブログでも再三指摘してきたところだ。

 さて、河村たかしは「悲しい、哀れな人」であると、僕も改めて言いたい。「国の主人公には天皇冒涜の権利もある」のであって、慰安婦も、消すことができない日本の歴史的行為、南京大虐殺は以下の通り事実と確定された。よって、トリエンナーレは何も日本人の心など踏みにじってはいない。河村がそう考えるのは、日本近代史への歴史観が間違っているからだ。南京大虐殺一つ取ってもこのように決着が付いており、帝国軍の大元帥たる天皇にはこれに対する責任もある。河村はこの事件がなかったと語り続けて恥じず、姉妹都市南京との仲をぶち壊してきた政治家というお方だ。以下に転載するのは、当ブログのある書評、南京大虐殺論争史の現段階である。

 さて、そもそも河村は、こんな変な「日本人の心」にうつつを抜かしてリコール署名などやっている暇があるのか。今日の新聞でも「名古屋・中区・陽性率24.8% 7~11月市内平均の3倍」と見出しがあって、「拡大防ぐ中保健センター」「患者の健康観察 職員疲弊 濃厚接触者特定」ともある。部下が死に物狂いで働いている時に、なに? 己の「名誉」回復? どうだろう、「悲しい人」に違いないではないか。

 

【 書評 「南京事件論争史」 その最終回   文科系
2020年08月21日 19時32分19秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 「南京事件論争史」の現段階  

 これは、この14日拙稿『書評「増補 南京事件論争史」』の続きで、この内容紹介の三回目に当たるもの。この論争については今や、安倍首相も国会など正式な場所では「事件はなかった」と言えず(国際問題になって負けるから)、「南京なかった」組織に集まった自民党議員らがあちこちで嘘論議を組織的にばらまき続けるなどに落ちぶれている。ここに至った経過について、「南京なかった」側が決定的敗北を喫した事件をもう一度おさらいしてみよう。

 まず始まりは、社会科教科書検定内容を違憲と訴えた・第三次家永訴訟。南京事件の記述をも含んだこの訴訟は最高裁まで争われ、1997年8月に「(この検定は)違憲」という判決が確定している。

 次いで2番目は、稲田朋美弁護士らが訴えた、「南京事件における『百人斬り競争』記事は名誉毀損である」訴訟。これも2006年に最高裁判決が出て、稲田らが敗訴している。つまり、二人の少尉による捕虜など「百人斬り競争」は実際にあったと裁判所が認めたのである。

 三つ目は、南京事件当時8歳で日本兵によって銃剣で刺された被害者、夏淑琴さんを「ニセ被害者」と書いた東中野修道を、夏さんが名誉毀損で訴えたもの。この結末は、こうなった。2009年2月5日、最高裁は東中野と展転社の上告棄却を決定、一審判決通り両者に対し合計400万円の賠償を命令する裁判が確定した。2009年4月16日にこの賠償金は支払われた。

 最後が、以前にも書いた日米学者共同研究の成果について、この共同研究を中国首脳との間で取り決め、スタートさせた安倍首相自身が無視しているに等しいこと。この研究の日本側座長であった北岡伸一が「日中戦争は侵略戦争であった」と認めているのに、安倍はあくまでも侵略とは言わないのである。「侵略の定義が学会でも定まっていない・・・」とか、なんだとか?

 これだけ敗北を重ねてくると、「南京なかった」派は学者などにも屍累々、残っている歴史学者はほとんどいない有様。西尾幹二はドイツ文学者だし、藤岡信勝は教育開発学者である。なのに・・・と、この本の作者は南京虐殺を巡る日本の現状をこう嘆くのである。「日本会議に集まる自民党など多数議員は未だに南京事件はなかったと吹き回っている」。嘘も百ぺん言えば・・をやり尽くして、過去の醜い日本を隠そうとしているのだが、一体何のために。著者は、その「目的」をこう述べている。

『現在に続く、教科書議連の教科書攻撃を組織的に大きく支えているのが、1997年に結成された日本最大の右翼組織「日本会議」である。日本国憲法を「改正」し、天皇中心の日本、「戦争する国」を目指す「日本会議」の方針を、国政において実現しようと同時に組織されたのが、超党派の「日本会議国会議員懇談会」・・・・
「日本会議」は、歴史認識の問題でも、「南京虐殺はなかった」「従軍慰安婦はでっち上げ」「東京裁判は誤り」「首相は靖国神社を参拝せよ」「大東亜戦争は祖国防衛・アジア解放の戦争だった」「植民地支配では良いことをした」などと主張している』

 本気でこんなことを考えているのだろうか。にわかには信じ難いのだが、「『夢』の実現のためには、史実でも何でも乗り越えていく」と、そんな狂信者も多いのかも知れない。ヒトラーの夢は、史実として狂信者のそれと今なら世界が知っているのだが、その狂信者が世界史を握りかけた時期もあったのである。】

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする