「マスコミに載らない海外記事」のサイトに、「バイデン政権最初の「自衛」戦争」が報道されている。この問題は、ミャンマーとかタイとかの「国内問題」よりもはるかに大きな「戦争という国際問題」なのに、日本のマスコミ報道は実に小さな扱いしかしていない。
『シリアを爆撃しながら、ばかばかしくも自衛だと主張するアメリカ
2021年2月26日 ケイトリン・ジョンストン
バイデン大統領の命令で、アメリカはシリア内の施設に空爆を開始した。現時点では、正確な死者と負傷者数は不明だが、初期報告では「少数の」人々が亡くなった。
ジャーナリズムらしきものから遥かほど遠く、欧米マスメディアは、アメリカ当局が空爆について語ることを無批判に繰り返すのを選んだが国防総省報道発表と変わらない。
ワシントン・ポスト記事は、こうだ。
【 木曜日、バイデン政権は、シリア内の、いわゆるイランとつながる戦士への空爆を行い、テヘランが支援していると思われる暴力と闘う意志を示した。
国防総省のジョン・カービー報道官は、この攻撃、東シリア国境検問所でイラクとシリアでのイランにつながる暴力とされるものと闘うためバイデン政権が命じた最初の動きは「イラク内のアメリカと有志連合諸国人員に対する最近の攻撃と継続する脅威に応えて認可された」と述べた。
彼は、この施設は、カタイブ・ヒズボラと、カタイブ・サイード・アル・シュハダを含め、イランとつながる民兵に使われていたと述べた。
この作戦は、アメリカ当局が、イラクとシリアで活動する、イランとつながる集団によるものだとする最近のイラク内のアメリカ陣地に対する重大な攻撃の後に行われた。今月早々、北イラクでのロケット攻撃で、米軍と働く請負業者一名が死亡し、アメリカ兵士一名が負傷した。】
だから、アメリカが侵略し不法占領している別の国イラクの「アメリカ陣地」に対する攻撃に対し、アメリカが侵略し、不法占領している国シリアへの空爆を開始したと我々は聞かされているのだ。この攻撃は、イラク人戦士が「イランとつながっている」という全く証拠がない、致命的軍事力の正当化に全く無関係の主張で正当化されているのだ。それなのに、どういうわけか、主流ニュース・メディアは防衛作戦として描いている。
(以下略) 』
ちなみに、アメリカ軍(関係者)のイラク居座り自身が、戦争に等しい国際法違反である。アメリカのイラクにおけるスレイマニ暗殺事件によって、「外国軍はイラクから出て行け」とイラク国会が決議しているのであるから。居座る米軍の戦争行為に対して、その米軍を攻撃して何が悪いのかという国際法の問題である。シリアも同じ事。米軍(関係者含む)が居座るのは当然、戦争行為である。
これに対して、シリアやイラクの軍や民間、あるいは同盟国家による米軍攻撃は、自衛戦争という国際法上正当な意味を持っているはずだ。これらの問題は全て、その国民が望むとおりに米軍がこんな遠国への不法駐留を止めれば起こらないという、そういうものだろう。こんな米軍に、諸国の民主化とか民主化のための制裁とかなどを要求する資格はない。日本マスコミはどうして、こういう米軍の不法駐留を批判しないのか。