九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

記者魂  へそ曲がり

2006年07月25日 22時18分47秒 | Weblog
 21日の「落石」さんの「投稿」《昭和天皇の心は?》への私のコメントの中で、「記者魂」ということに触れました。遅くなりましたが、紹介させていただきます。


 定期購読している『週間金曜日』(7月21号)が届けられました。いつもその中の「人権とメディア」に注目していますが、今度の「第358回」では、共同通信社の「中嶋 啓明氏」が寄稿されています。
 コメントの中に「記者魂」を感じました。

 
  見出し : 朝鮮ミサイル発射事件  戦争を煽り、「在日」への暴行に冷淡

 
 朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の7月5日の「ミサイル発射」をきっかけに、マス・ヒステリーともいえる状況で、朝鮮パッシングだけが目的のような言説がマスメディア上に飛び交った。週刊誌には扇情的な見出しが躍り、国連安全保障理事会での朝鮮非難決議採択まで、マスメディアは連日、待ちわびるようなトーンで報じ続けた。
 確かに、周辺海域の漁業関係者らに多大な危険を及ぼす可能性のある「ミサイル発射」を支持することはできない。2002年9月の日朝平壌宣言違反は明らかで、東アジアの軍拡を加速させる愚行である。
 だが、米軍策定の朝鮮侵攻計画は常時、更新強化され、ハワイ沖や朝鮮半島周辺では米軍を中心にした軍事演習が朝鮮を仮想敵国に毎年、おこなわれている。日本はそれに何らかの形で参加、関与し、横須賀基地には平壌が射程に入る核弾頭搭載可能な巡航ミサイルを積んだ米軍艦艇が配備されている。
 こうしたことが、今回の問題を考える上で、全くの思考の外に置かれていいはずはない。朝鮮側によると、5月以降、米軍の偵察機はしばしば朝鮮「上空」を侵犯し、偵察飛行を続けていたという。
 7月6日付の英紙「The Times」でリチャード・ロイド・パリー記者は「何の物理的被害も引き起こしてなく、国際法も犯していない。国際法は、主権国家にミサイルの発射実験を認めている。なのになぜ、世界中の軍隊がルーティーンのようにやっている軍事演習に、あのように激怒したか」と書いた。
 過去の植民地支配、侵略戦争に対する責任に一切背を向け、米国の朝鮮敵視政策に便乗して事実上の様々な経済制裁措置を発動している日本の側こそ平壌宣言違反だと批判されても仕方がない。
 そうした状況を客観的に見ることなしに、ただ一方的に朝鮮の側のみを批判するのは、やはりアンフェアだ。対立する両当事者の意見・主張に耳を傾け、それを冷静に読者、視聴者に提供するという、ジャーナリズムの最低限の原則を放棄してしまっている。
 こうした中、敵基地攻撃能力を保有すべきだなどという主張があらためて公然と閣僚らの間から挙がっている。
 この侵略主義的な主張に対する「毎日新聞」7月12日社説は「しゃくし定規の専守防衛論に疑問を感じている国民もいるかもしれない。国民が脅威を感じるような新たな事態が生まれている以上、これにどう対処すべきかという議論は必要だろう」と、腰が引けてしまっている。「短兵急に反応するな」と、一応、この議論に釘をさす「朝日新聞」の同日社説も「いつか、本物の弾頭を載せて日本に撃つかもしれない。そんな漠とした不安を抱かせる事件だった」とアンフェアで一方的な「不安」の先導を繰り返す。
 朝鮮学校の教職員でつくる在日本朝鮮人教職員同盟は7月14日、ミサイル発射事件の5日後、13日までの9日間だけでも、各地の朝鮮人学校に「生徒を殺してやる」「火炎瓶を投げ入れてやる」といった脅迫電話やメールが相次ぎ、朝鮮学校の児童・生徒らに対する暴行や脅迫など110件以上の嫌がらせが相次いでいることを明らかにした。中には愛知県で、「朝鮮人死ね」と叫ぶ中年男性から暴行を加えられた男子生徒が2週間のけがを負うという事件もあったという。
 だが、在京主要紙では「東京」が社会面に3段見出しで報じたほかは「毎日」は20行程度の短報、「朝日」などベタ記事でしかない。在日朝鮮人に対する差別・排外主義を煽った自らの責任に全くほおかむりした無責任極まりない報道姿勢というほかない。
 メディアは一刻も早くこうした戦争先導とも言える報道姿勢を改め、日本の参戦国家化を押しとどめるために力を尽くしてほしいと強く思う。


    以上です。
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愛国心と靖国参拝⑩  落石 付録

2006年07月25日 11時01分28秒 | Weblog

付録 健康な愛国心

マイ・ホーム、マイ・カーなどというネーミングが
心にすーっと、入り込んでいった時代がありました。
先の大戦争の際、公、という概念が、
戦争協力に強引に使われたので、その反作用もあって、
戦後は「私」が大切にされました。

しかし夢の持てない時代。経済成長の時代のように
心は外向きではなく、内向きの時代です。
自分のなかに何かを探す、自分探しの旅は
行き詰まりを見せています。

    


愛国心は、この内向きの心を、外に開く力があります。
フランスでは、ジダン選手ら移民出身の選手の活躍が、
愛国心を鼓舞、バラバラになっている国民の心をひとつにしました。

私は、自由な愛国心が大切だと思います。
国家による愛国心の独占は許されない。それこそ、歴史から学ぶことです。
愛国心生産システムは、文部科学省という国家機関ではなく、
民営化が望ましいでしょう。

    

当然のことですが、愛国心にも現実が影を落としています。
影の原因は、アメリカとの関係であり、中国・韓国との関係です。

対米関係は従属的な安保条約に縛られたままです。
地位協定など、国辱的な内容です。
嫌米であっても反米にはなれない矛盾を抱えたままです。
愛国心は、このコンプレックスを抱え込んだかたちとなります。

大東亜戦争を肯定しても、アメリカに対して対等にはなれない。
安保条約を批判できないというジレンマを抱えているからです。
こうした正当な行き所を見失った愛国心の出口がアジアです。

小泉さんの靖国参拝は、このコンプレックスを抱え込んだ
愛国心を見事に体現しているように思われます。
A級戦犯が合祀された靖国神社を総理大臣として参拝することによって
アメリカに対して暗黙の独立心を。
その代償として、アジアの自尊心を傷つける。

アメリカからもアジアからも尊敬されないと思います。
現実はどんどん、進んでいます。中国・韓国が経済的に力を得ています。
半世紀以上前のアジアではないのです。
不健康な愛国心と言わざるを得ないでしょう。

    


さて、健康な愛国心の持ち主のみなさんは、
どう考えていらっしゃいますか?

つたない文章を読んで下さって感謝します。
ありがとうございました。 


コメント (1)
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議論のあり方について  へそ曲がり

2006年07月23日 01時36分09秒 | Weblog
 議論のあり方について

 7日に最初の投稿をしてから、「保守系」さんと私との間で、「戦争」を中心にした論争が続いています。

 「保守系」さんの論述の特徴のうち、2つ程を私なりに整理してみました。

1 事実を言え、事実を出せ・・・事実を紹介しても、答えないか、ねじ曲げる。 

 (例)・ 日本が朝鮮などで゜過去にどんなひどいことをしたか・・・・・平壌宣言などを出しても無回答。

    ・ ガダルカナルやインパールでの兵士の餓死・・・・・「珍論」が出たので、証拠などを出して反論したら沈黙。

    ・ 誰が弾圧したか、共産党員を殺していない・・・・・すでに「小林多喜二」・「憲兵」・「特高」などについて述べているのに、無視。

    ※ さすがに、私の戦争体験には「嘘」とは言えないようです。

 
 「例」はまだまだいっぱいありますが、全部紹介するのは無理です。7日以降投稿」・「コメント」をご覧下さい。


2 証拠となる本などを示せ・・・示しても無反応。それなのにまだあれこれ言ってくる。その中身は「産経新聞」の主張といわゆる「藤岡史観」。


 「靖国史観」論者と言われている人たちと同じ手法、ちょっとした小さなミスなどを見つけると大袈裟に取り上げ、事実全体を否定しようとする、反証出来ないと知らぬ顔、などなど。


 さあそこで、ほんの少しだけ、「本」を紹介します。その中で書かれていること1つ1つについて、事実の有無を調べて下さい。それがすべて終わったところで、あなたの見解を出してください。「嘘」というのならどこが「嘘」なのか、そして、「あなたの真実」は何かに至るまで、細かく説明して下さい。その上で、また新しい本の紹介をします。


 ・ アジアの声 第1集 侵略戦争への告発 戦争犠牲者を心に刻む会編  東方出版

 ・ アジアの声 第2集 侵略戦争の証言 戦争犠牲者を心に刻む会編  東方出版

 ・ アジアの声 第3集 日本軍のマレーシア住民虐殺 戦争犠牲者を心に刻む会編  東方出版

 ・ アジアの声 第4集 日本軍はフィリピンで何をしたか 戦争犠牲者を心に刻む会編  東方出版
 
 ・ アジアの声 第5集 清算されていない朝鮮支配 戦争犠牲者を心に刻む会編  東方出版

 ・ 天皇の軍隊と平頂山事件 高尾 翆著  新日本出版社

 ・ 元日本兵が語る「大東亜戦争」の真相 しんぶん「赤旗」取材班  日本共産党中央委員会出版局

 ・ 近現代史の真実は何か 藤原 彰・森田俊男編  大月書店

 ・ 大陸侵略は避けられない道だったのか 近代日本の選択 岩井忠熊著  かもがわ出版

 ・ 日清戦争から盧溝橋事件 吉岡吉典著  新日本出版社

 ・ 日本の侵略と膨張 吉岡吉典著  新日本出版社

 ・ 靖国問題と日本のアジア外交 松竹伸幸著  大月書店

 ・ 餓死した英霊たち 藤原 彰著  青木書店

 ・ アジアの教科書に書かれた日本の戦争 越田 稜編・著  梨の木舎

 ・ 図説 太平洋戦争 池田 清編 太平洋戦争研究会著 河出書房新社

 ・ 図説 秘話で読む太平洋戦争 森山康平著 太平洋戦争研究会編 河出書房新社

 ・ 図説 日本海軍 野村 実監修 太平洋戦争研究会著 河出書房新社

 ・ 図説 日露戦争 平塚柾緒著 太平洋戦争研究会編 河出書房新社

 ・ 図説 満州帝国 池田 清編 太平洋戦争研究会著 河出書房新社

 ・ 図説 日中戦争 森山康平著 太平洋戦争研究会編 河出書房新社

 ・ 図説 アメリカ軍が撮影した占領下の日本 太平洋戦争研究会編 河出書房新社

 ・ 図説 第二次世界大戦 池田 清序 太平洋戦争研究会著 河出書房新社 

 ・ 図説 東京裁判 平塚柾緒著 太平洋戦争研究会編 河出書房新社


 これ、私の手元にある本の一部です。あなたへの反証はこの中に全て出ています。足りないのならもっと出しましょうか?

 いいですね。1冊1冊についてではありません。これらの本の1冊の中の1つ1つについてです。さらに、人の手を借りないであなた自身の手で検証して下さい。それが済んだ後で改めて話し合いましょう。

 なお、本が無いなんて言わないで下さい。出版社に問い合わせるか、図書館で調べて下さい。


 こんな馬鹿馬鹿しい議論はしたくないですね。時間の無駄です。これ、戦争でいう「最後通牒」です。
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やはりあの大東亜・太平洋戦争を・・(保守系)

2006年07月23日 00時46分50秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など
もう私は、この場であの戦争は、マッカサーも議会で証言したように自存自衛の防衛戦争であったと、あの戦争を肯定しています。
くどいですが、落石さんも言っていますが、何故、この時期のあの内容が・・・と私は何か政治的な意図が感じられてなりません。
もう一度ご紹介した「日本の解体」などを読んでも、占領軍が巧妙に日本の戦前を解体していく過程がよく理解できます。
それに憲法を作ってしまうことは、近代戦時法の基本を定めた「ハーグ陸戦規定」に「勝者が敗者の主権を無視して恒久的な立法を行なってはならない」と定められています。憲法は、コンシュチツーションであり「国家の体質」たるものですから、まさに国家の基本法です。昭和天皇は、聡明でもありましたから、この程度のことは理解されていたと思います。それに以前もこの場でいいましたが、大正デモクラシーもあり、近代法も確立しており、議会もあり、軍縮にも精を出したりしてきたわけで、日本の戦前を全否定することは出来ないものです。そこで出てきたのが、現在のイラクではありませんが、「ファシズム対民主主義」という名付けたような、アメリカの一方的な大義でしかありません。
ここでも言いましたが、天皇が松岡と白鳥大使を批判されるのは、反って、天皇は、極めて民主主義を理解された人であるという証左にもなります
国際連盟を脱退し、あのヒットラーやムッソリーニと手を組むのですから、英国好きでもある天皇が嫌われた所もあると想像できます。
でも天皇が「アメリカやカナダにおける日本人移民への排、石油禁輸、ブロック経済体制などが、先の大戦の理由だった」との独白録の方が大事なだと思います。
まあでも靖国への参拝を止めたであろう理由が、明らかになったのでしょうが、それはまた三軍の長である天皇責任を問うことになりかねないものでしょう。
ですからこのメモは、どういう意図をもって、総裁選・靖国参拝前のこの時期に出されたのかに興味があります。
とにかくあの戦争の意義と戦後の占領軍の巧妙な支配にもっと私達は目を向けるべきではないのかと思いますが・・・。
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愛国心と靖国参拝⑨  歴史的教訓  落石

2006年07月22日 09時35分20秒 | Weblog
正当なことを主張して進んでいくこと。これは間違ったことではありません。
しかし予想した結果を得るとは限らないのです。
不健康な愛国心の囁くままに外国と敵対することは
実は危険なことなのです。

   


1941年(昭和16)、日本はアメリカなどに宣戦を布告します。
それまでの日本の行動、韓国併合、満州国建設などは、
自国の利益を追求するという「正当」な行動でした。
行動は正当であると進んでいくことが、思わぬ結果を招き寄せる。
太平洋戦争への道は、正にこの道でした。

「安全保障のディレンマ」と呼ばれていることがあります。
国の安全保障のために採用した対策が、他の国から脅威とみなされ
それらの国が対抗措置を採ることで、軍拡競争が引き起こされる。
その結果、国の安全保障が逆に危うくなることを言います。

半世紀前の体験は、日本人に、このディレンマに陥っていたことを
身に沁みて分からせてくれたはずです。
いま歴史から学ぶとすれば、これも学ぶべき事実のひとつでしょう。
自分が正当と思って行動しても、必ずしも、予想したような結果が
得られるとは限らないのです。
自分だけを愛する愛国心で、一面しか見えなくなっているかも知れないのです。


   



さて、私は、現在の日本はいいようのない空白観念に
囚われているのではないか?と、仮定してみました。
以前の飢餓感というのは、貧困への恐怖と言いなおしてもいいでしょう。
(貧困への恐怖、飢餓感とは、ルワンダの悲劇を引き起こした人口圧と
言ってもよいと思います)

日本は貧困からは一応、脱却しました。
しかし高度経済成長の夢は破れ、気が付いた時、
心にはぽっかりと空白が見えてしまったのです。
ゆとり教育が叫ばれましたが、結局、成功しませんでした。
この時、日本人の多くが人生とは楽しむものという
哲学を身につけることが出来たら、違った道を進んでいたかも知れません。
しかし永年にわたって身に染み付いて感覚は容易には変りません。
今は、試行錯誤の段階です。
ここからの出口は、一筋縄でいくような道ではなさそうです。


  

民主主義制度の結果、政治家は、当面の国民の要望に応えようと努力します。
困難な道を均すために、愛国心を教育の基本におきたいという
誘惑に駆られても仕方ないと思います。

しかし内政の困難さの余り、外に敵をつくって、国民の目を
一時的にせよ迷わすことは禁じ手です。

21世紀の日本は周囲の新しい状況を見極め、
国内の空白観念を解消するという
極めて広い視野と深い洞察力を必要としてます。

問題のありかが明確に見えない時代。基本的な矛盾が見えない。
別の小さな矛盾が基本的な矛盾であると設定。
それによって危機を克服できるように言う。それは危険な道です。

  


見えない苛立ちを共有する年齢の持つ我慢強さ。
バランス感覚の豊かな年寄りの知恵の出番かも。
しかし時代は動いていますね。福田さんが総裁選を降りると
発表しました。
安倍さんが総裁になるのなら、バランス感覚の豊かな福田さんを
副総理に推薦したいものです。


追伸  大切なことを書き忘れました。
    安全保障のディレンマを回避する
    最も有効な財産が、九条でした。

    これについてご意見を下さい。
    
    ご意見があれば、つづく

 


   





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止まらない、止まらない!   へそ曲がり

2006年07月21日 13時27分25秒 | Weblog
 17日の「保守系」さんのコメント『貴方の戦争体験は・・』の中でのいくつかのご指摘について、わたしの意見を述べさせていただきます。「コメント」で述べるべきかどうか迷いましたが、敢てこの場をお借りします。

1 わたしがあの中で申し上げた実験は、それ自体がわたしの「空襲体験」です(別の機会に投稿したいと思っていますが)。“日本軍なら機関銃で撃ち殺すことはないと思います”とのことですが、アジアの各地で無抵抗の人々を殺戮したという証言はいっぱい出ています。
 写真付きの証言も出ていますし、いくつかの本も所持しています。

2 確かに都会から離れたところでは、十分とは言えないものの、食料があったようですね。
 でもその中身はどうだったでしょうか。妻とわたしの体験はまるで違います。妻の方は“中身はひどかったがなんとか食べられた。”と言います。なんとうらやましいことか。
 茶碗に1杯の「くず湯」、それも甘味は全くなし、これだけで夕方まで過ごすという体験をされたことがありますか?
 空腹を満たすには、水をがぶがぶ飲むこと、それとも、近くの畑へ忍び込んで痩せた胡瓜を盗み、追いかけられて必死に逃げること、腹が減るのでなるべく動かないようにすること、こんな話をいまの子に話しても想像出来ないようですね。蛇なんぞ見つけたら、逃げるどころか懸命に追いかけました。
 道路の両側を自転車が通れるくらいだけの幅を残して畑にしたこと、そこにカボチャやサツマイモを植えたこと、肥やし(人糞)を運ぶ途中に紐が切れて頭から被ったこと、出来たカボチャなどを口にしても、当時でも「まずいっ」と思ったこと、などなど、いろいろありましたよ。今でもカボチャを口にすることに抵抗感があります。
 栄養失調になるとどんな体付きになると思われますか?写真などが残されていますが、腹がパンパンに膨れ上がるのですよ。まるで蛙です。わたしも蛙でした。
 山口判事の話はお聞きになっていますね。あれが現実です。

3 開戦について、海軍三羽烏のひとりで最後の海軍大将の「山本 成美」が戦後に、当時を回想して述べたそうですが(この本は持っていません。あれば、ぜひ読みたいです)、海軍最後の会議も賛否両論、喧々諤々の会議になったそうです。でも、最終的には、そこにいた将軍の一言だったそうです。海軍の神様とも呼ばれ、絶対的な権威を持っていたこの人には誰も口を挟むことも出来なかったそうです。その将軍の名前は「東郷 平八郎」です。彼の言葉がなかったら、回避出来たかも知れないとのことです。
 アメリカとの海軍力の違い、「山本 五十六」の反対はそんな程度のものではなく、アメリカと日本との「経済力」のあまりにも大きな違いから、無理だと判断した、だから、開戦にあたって彼が言った言葉、“半年間は暴れ回ることが出来る”(正確ではありませんが)、これは、《緒戦は相手の力を削ぐことが出来ても、あの経済力では、いずれは何倍もの力で圧倒される》、ということ、そのことを海軍次官の時に自分の目で見てきているからと言われているのです。《半年以後は保障出来ない》と言っていたのです。

4 報道陣や、それに煽られた国民にも責任があるとも思われるような表現ですが、戦争に反対するものを徹底的に弾圧し、それを国民にいやというほど見せ付ける、そんなことをしたら、いったい何が残りますか。
 これも「山本 成美」の回想と言われていますが、“あの時、共産党が自由に活動出来ていたら、この戦争を回避することが出来ただろう”と。

5 情報を隠し、統制する。ミッドウエイ開戦の時のアメリカと日本の情報の決定的な違いということについて紹介した本(雑誌)があります。「アサヒグラフ」か「毎日グラフ」かのどちらかだったと思いますが、本の入った部屋を探そうとしたものの、段ボールが天井まで積んだままの部屋なので見つけるのは無理でした。
 あの戦いでアメリカは空母ヨークタウンを沈められましたが、その全てを公開しています。国民からは厳しい批判も出ていますが、それらを受け入れながら、以後の作戦に取り入れたと言われています。
 一方、日本はどうだったか。「事実」を徹底的に隠した、それだけでなく「虚偽」の報道をさせた。ミッドウエイ島へ上陸させる予定の「一木支隊」をそのままガダルカナル島に送り込んだ。彼らの口から「事実」を話されることを恐れた、とも言われていますね。
 これ以後の{大本営発表」が「うそ発表」の連続であったこともよく知られていますね。東京の防御が不可能であることを軍部はとっくに知っていた。だったらどうして避難させなかったか。移動の際の混乱は当然あるでしょう。しかし、少なからぬ都民の命を救うことが出来たはずです。
 NHK特集の「東京大空襲」をご覧になったことがありますか?まだでしたら、DVDでも出ています(NHK出版)。
 空襲警報が発令されたのは、爆撃が始まってからであった、なぜか?DVDをご覧になれば、この謎についてしっかり教えてくれます。いかに国民の命を軽んじていたかが見事に証明されます。
 ストライキの場合、労働者が命を奪われることはないでしょう。一方は戦争です。殺し合いなのです。比較出来るものではないと思いますね。

 戦時中、イギリスには「コヴェントリー」という特別な意味を持つ単語がありました。「残虐行為」という意味です。「コヴェントリー」はもともと都市の名前です。どうしてそんな意味に使われたか。
 ナチスドイツによる無差別爆撃のために死者が5千人も出たことから、これを非難する意味で使われたのです。
 では、ひと晩に10万人もの死者が出た「東京」にはどんな意味を付けたらよいでしょうか?


 まだまだありますが、“言い出したら止まらないのがあなたの悪い癖!”とよく妻に言われます。今回はここまで・・・。


(追伸)

1 「保守系」さんから「転向」を奨められました。現代風「特高警察」というところでしょうか。
 近く投稿する予定の『父の遺言』をお読み戴くことを願っています。

2 それにしても、「改憲論」のみなさんには耳障りなニュースが多すぎますね。夕べから今朝にかけての「昭和天皇発言」などもその1つ。

3 安倍晋三氏が著書を出版したとのこと。どうせ総裁選へ向けてのゴーストライターの作品でしょうが、内容紹介の記事を読んで、笑い出してしまいました。

 
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昭和天皇の心は?  落石

2006年07月21日 09時04分20秒 | Weblog
昭和天皇が亡くなる前に、靖国神社へのA級戦犯合祀を
嫌っていたとの報道。とても興味深く読みました。
事の当否は別にして、私は、情報の出所と、報道された時期に注目します。

情報の出所が、元宮内庁長官。
(彼は亡くなっていますが、メモは保管されていました)
北朝鮮報道によって九条を改定しようという空気に
拍車がかかった「今」という時点。

ちょっと前のことでしたが、沖縄返還交渉の際の
外務省の責任者だった人物が、密約があったことを公に認めました。
密約をすっぱぬいた西山記者が、国会で追及された時、
密約はなかったと断言した人物です。

彼は安保条約が新しい日米条約に質的な変換を
遂げようとしている現時点で真実を明らかにしました。

いずれにせよ、日本は新しい段階に飛躍しようとしている。
それを老人たちと、その周辺の人々が、
非常に心配していることを示しています。

      

昭和天皇の心もこういう文脈のなかに置いて読んでいます。
彼ほどは、戦争はコリゴリと思い知った日本国民も
少ないでしょうから。
  (彼は日本国民でしたっけ?)

    

まあ、年寄りの忠告には万に一つの無駄はない。
という格言を思い出して欲しいものです。

   老いの繰言であって欲しいと思う落石


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ルワンダ悲劇、原因の要約   文科系

2006年07月21日 00時18分14秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
しかしながらさて、この「人口圧力」がどれほど激烈なものであったかが、実は著者にとってもルワンダの最大問題。因みにこの10章に著者が付けた題名は「アフリカの人口危機」である。ルワンダの人口危機を要約してみよう。
東アフリカ、中でもルワンダの歴史的人口増問題は前回に見た。ここでは、事件直前の状況をまとめてみる。1990年には先進国中人口密度世界1と言われるオランダに迫る勢いであったが、これを支えるためのルワンダの農地開墾は凄まじいものがあった。85年には国立公園以外は全て開墾し終わった。森林伐採、沼の水抜き農地化、休耕なしの年2~3回収穫などに加えて、丘の急斜面の農地化では、段差付けなどの土壌浸食対策もろくにやられない急造農地化が進められた。80年代後半には、土壌浸食による小川の干上がりも激しかった。結果として、農業生産高は81年以降急減するに至った。そして89年には、大旱魃、飢餓の深刻化があった。
なお著者は、これらのことの諸結果を北西部カナマという1つの地域の実態調査結果で示していく。植民地ルワンダの旧宗主国ベルギー人の師弟2人が88年と93年に16ヶ月この地域に滞在してまとめた資料である。因みに93年とは、94年の国民11%大量虐殺の前年で、この年が88年からどれだけ問題が深刻化していたかを示す比較資料として、偶然のことなのだが極めて貴重なものとなった。またこの2人は当然、94年の虐殺後もここを訪れ、後に見るような後遺惨状をも報告している。

この5年の間にカナマの人口密度は17%増え、1世帯当たり農地は逆に分割などで20%減って、2900平米。正方形換算で54メートル四方という狭さである。なのに1世帯当たり家族数はと言えば、若者が結婚できないことから、4.9から5.3人へと増えている。結果、親と同居の20~25歳、つまり「スネカジリ」が女性67%、男性100%になったという数字まで残されている。農地が分割され尽くしたその結果の惨状がよく分かる。農外収入は大工、煉瓦作り、小売業などと極めて限られ、3分の1の世帯はそれも全く持ちえなかった。こうして、1日当たりのカロリー摂取で「飢餓レベル」の1600カロリー未満が82年9%から90年40%へ、こんな数字さえ残っている。
健康問題、葬式などでこの小さい土地をすら手放す人々が出る。「飢えた泥棒」になるしかなかった。老後まで長く土地を持とうとする父とその子との争い。子ども同士の相続争い、夫婦の疑心暗鬼などなど、調停に持ち込まれた問題が続出していた。2人の研究者はこの地域で調停に持ち込まれた226件の衝突の面談調査報告まで行っている。こうしてつまり、1人だけのツチ族寡婦以外は全てフツ族だというこの地域でも、一触即発状況だったのである。
この研究者2人による虐殺後の地域調査からは以下の状況が判明している。「戦争犠牲者」は少なめに見て5.4%、全国平均11%からはかなり少ないが、その犠牲者の特徴は次のように6分類されたという。50歳前後の土地持ち世帯主、多い農外所得で土地を得た比較的若い人、いくつかの衝突を起こしていた「厄介者」、市民軍入りした貧しい若者、寡婦、餓死者である。

最後に読み終わっての僕の慨嘆。
同類の虐殺が隣国ブルンジでも遠くない規模で起こった。バングラデシュ(東パキスタン)は世界有数の人口密度であるとも、あそこの71年の大量虐殺規模はブルンジ以上だとも、著者は書いている。バングラでは、こういう食料問題はなかったのだろうか。そして何と言っても70年代のあのカンボジアはどうだったのだろう? 因みに、虐殺までは行かずとも、その一歩手前という危機にあるような「人口・飢餓問題」なら世界には無数なのだろうな? 大国による経済搾取、ルワンダの苦境にも影響した世界銀行の緊縮政策などは、世界的なものだったはずだし。などなどと、思いが及んでいく。そしてやり切れぬ感じで考え込んでしまった。日中、日韓の面子の張り合いなんかやっている場合かよ。中国だって、農村が危ないと聞いているしな。ともあれ、僕は現代世界史にこれだけ無知なのに、コスモポリタンなどと自称していたのだと、自己嫌悪に落ち込んでしまった。そんな告白に等しいことを、遅ればせながら行っておかなければならない。
「新聞にもこういう記事は載っていたはずなのに、読み飛ばしていたんだなー。人間が己を自覚するっていかに難しいことなのか!」
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愛国心と靖国参拝⑧ 落石 北朝鮮が愛国心に点火

2006年07月20日 13時46分07秒 | Weblog

小泉さんの靖国参拝は最初、総裁になるための手段でした。
中国などの批判は、そんなに予想していなかったかも知れません。
ところが、中国・韓国から強い批判が出ました。
国民の意見も割れました。
国内では、靖国参拝に反対するという人より、
小泉さんの素直な戦死者への感情、祖先崇拝の感情を
理解するという意見が多かったようです。
また、中国などの批判は内政干渉という声も多かったように思います。

(日本人が宗教と習俗を渾然一体としたものとして考えていること。
また、靖国参拝は、本来、宗教の問題というより、政治問題であるという
認識が弱かったことなど、様々な要因が重なっていると思います)

    


小泉さんは、外国から口を差し挟まれる行動ではないと反論。
中央突破作戦に出て、国民から一定の支持を得ます。
とくに、若い世代の間に、反中国・反韓国感情が強く表れたのは、
経済大国のなかで育った人たちの素直な反応だったのでしょう。
あるいは反日デモを起こした中国は知らず知らずのうちに
日本人の誇りを傷つけていたのかもしれません。
影響にたまりかねた経済界が靖国参拝を批判しても
小泉さんは参拝を続けました。
靖国参拝を支えたひとつの要因は、日本人の心の中で眠っていた
愛国心だったのでしょう。

小泉さんは新しい敵をつくりだしました。中国と韓国という外国です。
そして敵の攻撃を中央突破する作戦を支えたのが、愛国心です。
外国の「敵」は、愛国心に火をつけたようです。

    


 
そして北朝鮮のミサイル発射事件が起りました。
危機が伝えられると、愛国心はますます燃え上がりました。

北朝鮮の拉致問題は、本来、日朝間の友好が進むなかで
解決されるはずでしたが、主に北朝鮮側の事情で、
新しい局面に入りました。
内政の失点を外交で取り返そうという瀬戸際外交。
日本は経済制裁による圧力を強めようとしています。
以前より経済制裁を行いやすい空気が存在しています。
日本国内で北朝鮮は、完全な仮想敵国と化したのです。

国民の目は内政から外交に。その不満も北朝鮮に向けられていきます。
日本外交が、今回、国連安保理の議論のなかで、アメリカよりも
強硬路線を選択したのは、こうした国内での愛国心の支持を
読み取っていたからでしょう。

    


しかし、こうした動きには危険な側面もあることを知っておく必要があります。
国内の空白感、不満は解消するメドは立っていません。
そして外交は必ずしも政治家の思う方向には進みません。
強まる愛国心に押されて外交路線が、さらに強硬なものへと
簡単に転換していく可能性が高まるのです。

                つづく


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ハムレットやあい!  へそ曲がり

2006年07月19日 22時02分43秒 | Weblog
“「過ぎたるは及ばざるが如し」、この格言の適用が除外されるのは、奥さんへの愛情だけです!あなたの投稿やコメントは多過ぎます。”妻からこんな宣告を受けてしまいました。

 でも、気になるニュースなどがあったら、知らせ合い話し合いたいのに。しかも、「2」の記事はどうしても投稿したい、と。ハムレットならどうしたでしょうか?悩ましいところです。


 今日の「朝日新聞」夕刊から2件。


1 2面 「窓」―論説委員室から  「ラクダに乗っているときか」

 イスラエルによるレバノン攻撃が拡大している。いま、出張でアラブ首長国連邦(UAE)に来ているが、当地の新聞は新たな戦争が始まったかのように連日、大きな見出しで報じている。
 そんなところに、なんとものんびりした写真に出くわした。中東歴訪でヨルダンを訪れた小泉首相が、世界遺産のペトラ遺跡を見学したときのものだ。
 サングラスをかけた首相がラクダにまたがったり、赤白の市松模様のアラブずきんをかぶったりしてはしゃいでいる。
 近隣国の住民たちが戦火の下で逃げまどい、国際社会の外交が問われている最中である。わが首相ののんきな姿には強い違和感を抱かざるを得なかった。
 アラブのことわざに「失意に打ちひしがれた者は、ラクダに乗る」というのがあるそうだ。現実から目をそらすには砂漠に退避するしかない、との意らしい。知人の地元記者は「写真を見て,みんなで噴き出した」とも言った。
 中東の地を日本の首相が訪れるのはいい。大したことができるわけでないが、それでも日本が関心を持ち続けていることを中東の人々に示すことができる。地域の首脳と意見を交わすところまではよかった。
 だが、この写真で全ては台無しだ。「中東理解の低さや紛争調停力の無さが見事に象徴された写真だった」とドバイにいるイラク人学者は分析した。
 首相は「修学旅行の気分だったのだろうか。        (定森 大治)


2 3面 CIA資金「産業界から」装う 94年報道時 自民否定、認識なく?

 【ワシントン=梅原秀哉】

 米国務省が18日に刊行したジョンソン政権下(1964~68年)の対日外交文書集で、中央情報局(CIA)による自民党と野党穏健派への資金援助が、58年から64年まで少額ながら存在していた、と確認された。この援助は「米産業界から」という形を取っていたとされる。
 自民党は94年の疑惑報道時に「調べたが記録がない」と否定していたが、CIAからの援助と認識していなかった可能性もある。
 「米政府はCIAに対し、日本の政治に影響を与えるための秘密作戦4号を承認していた」。18日に刊行された史料集「合衆国の外交(FRUS)の「ジョンソン政権期集・第29巻第2部」は、冒頭の「編集ノート」でこう明らかにした。
 最初に明らかにされている1件は、アイゼンハワー政権時代。58年5月の総選挙を前に、保守(自民党)の親米的な幹部数人に対して限定的な資金援助と選挙への助言をする秘密作戦を実行するよう、同政権がCIAに許可した。野党勢力が選挙で伸長することへの懸念からだった。ただ、「受け取る側の候補者は、米国のビジネス界からの援助とだけ説明されていた」という。
 主要な政治家に対する「大きくない金額の資金援助」は、60年代に入ってからの数回の選挙でも実施された。
 もう1件は、左派の野党の穏健派を分離させ、より親米的て゜「責任ある立場」の野党を誕生させる、という期待感から、59年に別の資金援助をアイゼンハワー政権がCIAに許可したこと。この援助額は60年に1年分で7万5千ドル(当時の換算レートで2700万円)と、限定的だったという。
 資金援助作戦が64年に停止されたのは、日本の政治状況が安定して資金援助が 不要になった上、暴露された場合のリスクに見合わない、との合意が政権高官の間で形成されたからだという。

 「2」の記事には驚きました。あの当時はどんな時代だったか?60年安保・社会党の分裂と民社党の結成・全学連が右翼からの支援を受けていたこと・共産党の孤立化が進められたこと、などなど。これらの背後にアメリカのスパイ組織が深く関わっていたことが明確になったことです。
 この前の総選挙での小泉戦術にはアメリカのスパイ組織が関わっているのではないかという疑問をまわりの人に話してきたのですが、胸の中のどす黒い疑惑がますます大きくなって来ました。  

    
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「ルワンダの悲劇」 草思社「文明崩壊」より  文科系

2006年07月19日 08時42分42秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
東アフリカは、人口増加率が世界でも1~2位である。例えば最近のケニアは年増加率4.1%、17年ごとに人口が倍増するに至った。以下に述べる虐殺後の現在のルワンダでも年3%の増加、女性は15歳で第1子を生み、平均的に5~8人の子どもをもうける。この東アフリカ人口急増の長期的背景には以下のようなものがある。トウモロコシ、サツマイモなどアメリカ大陸原産物の採り入れと、農産物収穫増。予防接種普及、抗生物質活用および衛生状態の改善。国家、国境の確定で開拓農地が増えたことなどである。ルワンダは中でも19世紀から人口密度が高く、現在はアフリカ3番目のナイジェリアの3倍で、先進国中最多人口密度のオランダに迫る勢いだ。なお、1950年以降の大量虐殺ではカンボジア、バングラデシュ(東パキスタン)が悪名高いが、ルワンダのそれは人口対比ではカンボジアに次ぐものである。
ルワンダの簡単な歴史を見る。85%がフツ族、15%がツチ族、他にピグミーなどなども少数存在する。元来フツは南、西から来たずんぐり型、色黒の農耕民、ツチは北、東からの背高型、比較的色が薄い牧畜民で、後者が支配民族だった。初めドイツ、次いでベルギーの植民地となったが、ベルギーはツチを支配の道具に使い、両民族の違いを強調、拡大して、身分証明書まで発行している。1962年大戦後の独立機運のなかで、フツがツチ支配打倒の闘争を始めた。報復が報復を呼び、63年の1年間に約2万がツチ族中心に殺されたといわれる。隣国ブルンジでも、65年、70~72年にフツの反乱、ツチが数十万の大量虐殺によって支配維持という悲劇があって、これもルワンダの後の悲劇に繋がっていく。
1973年にルワンダのフツ族「穏健派」ハビャリマナ将軍のクーデター政府ができて、しばらくの平穏が続いた。そして1990年、ツチがウガンダからルワンダへ侵攻を始め、またも混乱が始まる。戦乱にプラスして、ハビャリマナ大統領がツチと反体制派フツの逮捕に踏み切ったからだ。そして1994年4月、ハビャリマナと隣国ブルンジの大統領とが、同乗した飛行機がルワンダの空港で撃墜、殺害され、混乱が頂点に達していく。なお、撃墜を招いた2基のミサイルが誰の仕業なのかは未だに分かっていないが、大統領暗殺の1時間後にはもう、フツ族過激派の計画的と思われる暴走が始まっていた。大統領暗殺直後6週間で八十万人のツチが殺されたと言われる。当時の国内ツチ族全体の4分の3、ルワンダ人口の11%である。道路に検問を設けて見つけ出しては、銃でなくナタ(マチュータと言い、一時58丁万もの「輸入」がなされている)、さらには釘を植え込んだ棍棒などを使用、ラジオで「ゴキブリは1匹残らず殺せ」と連日檄が飛ばされたという状況だった。カトリック教会などに逃げ込んでも何の効果もないどころか、「ここは安全だと噂を流しては集めて」ということもやられた。国連平和維持軍、フランス軍、米軍も駐在していたが、手を拱いて見ているしかなかった。同年7月、ツチのルワンダ愛国戦線が反撃を開始。こちらは「軍紀統制が割に取れていた」ということで「2万5千~6万人」の「報復」によって新政府を打ち立て、13万5千の「殺人容疑者」を投獄した。なお、この政府下では200万の亡命、75万の「帰国」があったということだ。
さて、この大量殺戮の原因は人権団体、ヒューマン・ライツ・ウオッチなどによってこう語られてきた。民族の支配非支配、抗争、怨念を、フツ族の、急進、穏健などなど様々な政治家たちがその野心に基づいて煽りあうことによって起こしたものと。そうには違いないのだが、その他多くの諸原因のタイミングの悪さの背後に、「食料・人口問題」という非常に悲しむべき背景が存在した。これについては次回に要約してみたい。
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なーんでか?  へそ曲がり

2006年07月18日 18時32分46秒 | Weblog
 今朝の「朝日新聞」の第2面の下に小さな記事が出ています。1段14行の小さなものです。

 以下、転記します。


      ・見出し : 印ミサイル実験 小泉首相が抗議

【サンクトペテルブルク=武内雄平】

 小泉首相は17日午後(日本時間同日夜)、インドのシン首相と会談し、インドがミサイル発射実験をしたことについて、「北朝鮮について国際的な議論をしている中でインドの実験があり残念だ」と述べた。

 シン首相は「近隣には中国やパキスタンという核保有国がある」などと応じた。


 記事はこれだけです。


・ ハテナ(?) 1  

 なんてまあ小さい記事だろうか。北朝鮮に関してはあれほど大きなスペースを割き、しかも、連日にわたって、これでもかこれでもかとばかり書きまくったのに。 インドの実験は大したことはないと思っているのか、だったら小泉首相が抗議するのは変ではないか。また、小さい扱いにしたのはなぜか?

・ ハテナ(?) 2 

 記事の内容を見よう。小泉首相の抗議は、インドの実験そのものへの抗議なのか、それとも、時期が悪いと言っているのか?、よく判らない。

・ ハテナ(?) 3  

 シン首相の応答を見ると、時期についての答えではないようだ。もし、時期だとするのなら、トンチンカンな話し合いになってしまう。(通訳のせいかな?)
 実験直後にすぐ抗議したのか?どれくらいの強さだったのか?

・ ハテナ(?) 4  

 もし、実験の正当性を言っているのなら、どうしてもっと声を大にして抗議しないのか?したのか、しなかったのか、この後、小泉首相は何と言ったのか?言ったのか言わなかったのか、記述が全くない。なぜか?

・ ハテナ(?) 5

 シン首相の答えが正当化のための開き直りだったとすれば、どんな制裁措置を考えているのか?


 尻切れトンボのような記事になっています。 こんなこと考えるのは、やっぱり私が「へそ曲がり」だからかな? 
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トンデモ記事!? その2  へそ曲がり

2006年07月18日 17時16分28秒 | Weblog
 14日に投稿した「トンデモ発言」のスポーツ紙についての続きです。「スポーツ・ニッポン」の記事は紹介出来ましたが、「スポーツ報知」の入手が出来ませんでした。近所の販売店も不在のため、「中部読売」の「スポーツ編集部」へ問い合わせ、送付するとの言を受けました。

 ここまでは、お知らせしたのですが、今日、9日付の新聞が届きました。注意深く見たのですが、どこにも出ていません。9日ではないのかなと思い、もう一度「中部読売」の「スポーツ編集部」へ問い合わせました。すぐ、調べて戴いたのですが、“見つからないので、改めて連絡する”と言われました。 
 
 しばらく待つうちに連絡が来ました。それによると「東京版」と「大阪版」には掲載されたものの、「中部版」には掲載されていないとのことです。
 「東京版」の入手方法を尋ねたところ、“東京へ連絡して、ファックスで送るよう、頼んでみましょう。”とのことでした。しばらく待つうちに、コピーが送られて来ました。
 
 以下が記事の内容です。


    ・第1見出し : 「金 正日に感謝」(1段ぐらいの大きさ 横書きで)
 
    ・第2見出し : 失言 麻生外相やっちゃった(左端に縦書きで)

    ・第3見出し : すぐ冗談と否定も

(記事)・・・のぺ80行

 麻生太郎外相(65)が8日午後、広島市内で講演し、北朝鮮のミサイル発射で主要国の北朝鮮問題に対する関心が高まったとして「金 正日(総書記)に感謝しないといけない」と発言した。麻生氏ならではのジョークだが、外相としてはあまりに軽率な“失言”に、専門家からは「言葉が独り歩きして、諸外国から批判されかねない」との声も噴出。「ポスト小泉」レースにまで影響が広がる可能性も出てきた。

 政界一の“漫画通”て゜知られる麻生氏の口から、強烈なブラックジョークが飛び出した。

 「金 正日(総書記)に感謝しないといけないのかも知れません」7発のミサイル発射によって、諸外国の北朝鮮に対する関心が高まったとして、金総書記を皮肉った発言。直後に「冗談は抜きにして」と付け加えるも、会場はドッキリ。

 麻生氏は続けて、自ら出席した先月のモスクワでの主要国(G8)外相会合で「(日本以外の)G8の関心はイランで、(麻生氏が)北朝鮮の拉致、核、ミサイルが緊急だと言ったが、反応は鈍かった」と指摘。「約10日たって、いきなりテポドン(2号の発射)ときたから、『日本の言ったことはこの話か、結構えらいことになっていたんだ』と、(北朝鮮自身に)如実に説明してもらった」とブラックジョークの“種”を説明した。

 政治ジャーナリストの山村明義氏によると、麻生氏は「ブラックジョークの塊みたいな人」。一方で、麻生氏の“失言”は「自民党の国防族の本音でもある」と語る。国防族の中では「北朝鮮がミサイルを発射したことで、外交的には国連の場で北朝鮮問題を堂々と主張できるようになり、軍事的には北朝鮮のミサイルの性能を見ることができた」との声も出ているという。

 北朝鮮のミサイル発射をめぐっては、小泉純一郎首相が6日夜、自民党幹部との会食で、ミサイル発射が訪米中のプレスリー邸訪問と重ならなくてよかったとして「オレはついている」などと自らの“強運”を自慢。物議を醸したばかり。

 北朝鮮問題で外交に注目が集まり、存在感をアピールする場が急増中の麻生氏。安倍晋三官房長官とともに「ポスト小泉」レースで急浮上する絶好のチャンスを得たはずだったが、ひとつの“失言”が大きな失点につながりかねない。

 政治評論家の浅川博忠氏は、「麻生氏はジョークのつもりだったろうが、ひとつ間違えば言葉が独り歩きして、諸外国から批判されることも考えられる。フライング発言には気を付けるべきだ」と麻生流ジョークの危険性を指摘した。


  こんな内容になっています。遅くなりました。
 
 
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愛国心と靖国参拝⑦ 落石 愛国心の登場

2006年07月18日 11時16分15秒 | Weblog
小泉さんが、自民党をぶっこわすという。
その声が共感を得たのは、なぜか?

国民が求めていた空白感からの出口を示唆してくれる指導者が、
小泉さん以外に、いなかったからではないでしょうか?

(野党の責任は重大です。とくに旧社会党や共産党は、
それを十分に認識しているとは感じられません)

小泉さんは、敵をつくることによって、政治目的を果たすという
政治手法を採りました。
改革に反対する「抵抗勢力」という言葉がマスコミのなかで
市民権を得るとともに、やがて、ひとり歩きを始めました。
つまり、多くの人々がそれを受け入れたわけです。
この結果、先回の総選挙は小泉さんの大勝に終りました。
(小選挙区制の成果です)

    

しかし、この手法は、賞味期限が短いのが特徴です。
改革が進めば進むほど、トンネルの先の実態が明らかになってきます。
どうも弱肉強食の荒野のようです。

(本当はここに経済の分野での閉塞感を書かねばならないのですが省略。
一点だけ指摘しておきたのは、現在の経済学が、十分な解決策を
示すことが出来ない点です。
技術革新に解決策を求めるのが一番、妥当のようですが、
これは自然破壊という破局への回避策としては説得力が弱そうです。
いずれにせよ西洋医学のように、ここが悪いから手術という解決策はなく、
いわば漢方薬による治療法しかなさそうです。)

国民の空白な心は一時的に、満たされたような錯覚に陥りましたが
やがて、次第に不満がたまっていきました。
構造改革そのものが新しい不満を生み出すからです。

こうした不満を解消するには、経済・政治での根っ子からの解決方向が
示されなければダメでしょう。
しかし現時点では、そんな解決策は見つかっていません。
では、どうした良いのか?
まず、そういう解決策はないことを十分に自覚する必要があります。
でも、国民の多数は、それでは満足できません。


     


そんな不透明な状況のなかで、政治家が、国民の心をコントロールしたい
という誘惑に駆られたとしても責めることは出来ないでしょう。

そのマインド・コントロールの有力な手法のひとつが「愛国心」です。
国を愛する=国の指導者の方針に忠実である。
この方程式が成立すれば鬼に金棒。
国民を自分の考える方向へ一致団結させることが出来れば、
どんなに楽でしょうか。
政治家に、そんな夢を持たせる魔術のひとつが愛国心です。

内政の失敗をごまかすために外敵をつくるという
とても古い政治手法ですが、これが案外有効なんです。

いつも時代の曲がり角になると叫ばれる愛国心の重要性は、
その文脈のなかに置いて検討することも必要です。
これまでも自民党政権は、時々、愛国心をと、望んできました。

今回は時代の空気も変っており、ちょっと違った展開を見せています。


      

                      つづく






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ソンナフウニ ワタシハ ナリタイ           まもる

2006年07月18日 01時16分00秒 | Weblog
 先日の中日新聞の写真記事に「書で潤い」というのが載っていました。(撮影は加藤丈朗氏)
 
 北京の公園の一角、木立に囲まれた小さな敷石の広場があって、人々が行き来しているのですが、涼を求める数名の人が敷石に漢字を書く一人の老人を見ています。
 大道芸人とは違う風格のある白髪の老人が眼鏡をずり落ちそうにして何か書いています。箒に似た筆に墨の代わりに「水」を浸して漢詩のようなものを淡々と記していきます。
 先に書いた文字は夏の日にもう消えかけて読むのも定かではありません。
 しかし 老人はそんな事には無頓着に「詩と書」を楽しんでいるようです。

 この写真を見て、つくづく自分もこう老いたいものだと思い至りました。
 
 表現や主張を自分の世界だけに閉じ込めることなく、外に開いて問いかける。
 しかし それを墨書・篆刻して残す事を求めず、消えるに任せ日々水書に精進
する。

 賢治の詩を思い出しました。                        
 
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