「ブラック企業」電話相談に1000件 「残業代不払い」過半数 (2013.9.3 朝日新聞)
若者の使い捨てが疑われる「ブラック企業」対策で、厚生労働相が1日開いた電話相談に
1042件の相談が寄せられた。相談の中身では、「残業代が払われない」が半数超。長時間労働や過重労働を訴える人も4割いた。厚労省は、労働基準監督署などを通じて企業を調べたり指導したりする。
厚労省が2日、発表した。相談は、「残業代不払い:が556件でトップ。「長時間労働・過重労働」が414件、「パワーハラスメント」が163件で続いた。働き手の年齢では、20~30代が505件と全体の半数を占めた。
「ブラック企業」対策で厚労省は、9月を「集中月間」とし、約4千事業所に立ち入る。来年度の概算要求には、夜間や休日も相談ができる常設窓口をつくる費用を盛り込んでいる。
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「新聞の片隅に載ったニュースから№102」で「追い出し部屋」について厚生労働省が調査に乗り出すことをお伝えしました。大企業が人減らしのために作った「追い出し部屋」でどのようなことがおこなわれているかの例も紹介しました。そして中小企業などでも労働者の人権や労働法を無視した労務管理を行っているところがあると書きました。
そのブラック企業が広がっていて、労働者から救済の申し立てが増えているため、厚生労働省ではその実態を調査することにしました。その前提として、ブラック企業の従業員から電話相談を受けることにしたものです。
厚生労働省のホームページには「報道発表資料」のコーナーがあります。そこに9月2日に報道陣に発表した電話相談の結果がありました。そこでは業種別に相談件数が表示されていました。最も多かったのが製造業で、213件(24.3%)、次いで商業の207件(19,9%)でした。
3日のNHKのニュースは、田村厚生労働大臣が記者会見で、離職率が極端に高いなど、若者の使い捨てが疑われる企業を巡る問題で、特に悪質な企業については、労働基準監督署が(労働基準法違反で)送検したり、企業名を公表したりする考えを示したことを伝えていました。
また厚生労働省のホームページには「非正規雇用の現状はどうなっているの?」というページがあり、〇非正規雇用は労働者全体の3分の1を超え、過去最高の水準となっています。〇特に15~24歳の若年層で、1990年代半ばから2000年代初めにかけて大きく上昇しています。〇また、雇用形態別にみると、近年、契約社員や派遣社員が増加しています。となっていました。
このような不安定な雇用形態が広がっているなかで、ブラック(悪徳)企業はクビの脅しを背景にして労働者に法律違反の過酷な労働を強要しているのです。厚生労働省が形式的な調査で済ませるのではなく、深く実体に入り込む調査を行い、ブラックな企業名を公表してほしいです。
大西 五郎