九条バトル !! (憲法問題のみならず、人間的なテーマならなんでも大歓迎!!)

憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

今、米が本当に危うい   文科系

2020年03月21日 17時21分23秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など

 米のこの2~3年の高い株価には、GAFAバブルの上にシェール・ガス・オイルが売れる見通しが織り込み済みだった。当然その先物買いも含めてのことだ。が、だからこそイランやベネズエラから安い原油が世界に出ることを止めるべく、この両国に訳の分からない圧力、制裁を加えてきたのである。シェールの先物を買ったわ、両国から安い原油が世界に出たわでは、買った先物など大損になるからだ。なんせ、この両国それぞれ原油埋蔵量で世界4位と1位の貧乏国なのだから、外っておけば安い原油をどんどん輸出してしまう。他方、シェールのコスト減によって世界一の原油生産量を誇るようになったアメリカのオイルはまだまだコストが高く、バレル50ドルにはなるだろう。それがどうだ、サウジ、ロシアの増産で今や20ドルを切ったのである。
  アメリカにとってこの事態は二重に大変なことなのだ。ただでさえ、GAFAバブルが危うかったのに、無理無理創ったシェールバブルまでこれとともにはじけてしまったのだから。それも、国家累積赤字がGDPの4倍(日本は2倍だけど、アメリカと全く違って、それ以上の個人資産などがある。世界が危うい時円が買われるのはこれが原因なのだ)もあって、サブプライム家庭などを筆頭に家計も大赤字、物貿易も大赤字なのを対外金融利益だけで儲け、補ってきた国なのである。

 「今は、第二次世界大戦以来の世界試練の挑戦を受けている時」
 ドイツのメルケルが特別にテレビに直接出演してコロナについてこう述べたそうだが、この意味の中には今後のアメリカの行動についての心配、不安も込められているに違いないのである。第二次世界大戦は1929年の世界大恐慌が無ければ起こらなかったし、メルケルは17年から既にもう、こう語っている。「世界はもう、アメリカなしでやっていかねばならぬ」とさえ。この2月16日のNATO会議では、アメリカの単独主義が利己主義に陥っており、世界を乱しているとの批判ごうごうであった。西欧諸国は今、米も出席する会議においてさえ、米の身勝手をウクライナのロシア、西太平洋の中国並みに批判しはじめている。
 メルケルは、20世紀の歴史に翻弄されたドイツの、しかも旧東ドイツの出身である。生後数週間で牧師の父の赴任とともに東ドイツに入り、1973年にカールマルクス・ライプツィヒ大学(現ライプツィヒ大学)に入学、東ベルリンの科学アカデミーに就職し、そこで物理学博士号を取ったという人物である。

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泣き面に、米シェール売れぬ金融破綻  文科系

2020年03月20日 08時49分57秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

  アメリカが、標記の苦境に陥って、それがまた米バブル株価を大幅に下げているようだ。その震源地は、アメリカが散々いじめ抜いてきたロシア。そのロシアの復讐の仕組はこのようなものである。

 アメリカはこの何年か、「原油売買のドル支払い基軸通貨体制」のためにも、米原油価格はなんとか維持したいと画策してきた。アメリカがその原油価格主導権のためにやっと採算に乗せてきたシェールガス・オイルをなんとか売れるようにするために。ところがここに来て、サウジもロシアも大変な増産に励むことになった。つまり、アメリカの渇望する「他国に原油生産調整をさせて原油価格を高くし、単価が高いシェールガス・オイルを売れるようにしておく政策」に見事に失敗したのである。原油価格が18年ぶりという安値で、ちょっと前の何分の一かに急落してしまった。1000兆円近くが吹っ飛んだコロナによるこのダウ大暴落、恐慌に、ロシア原油攻勢が追い打ちを掛けた結果でもあるのだが、そのロシアはこう喜んでいるはずだ。

『これで、アメリカの新興シェールガス会社をたくさん潰せるだろう! 併せて、国家主導のシェールに将来を掛けて来たファンドや銀行にも大打撃を与えられる』

 アメリカは自分だけが暴力を使えると思い込みすぎてきたようだ。これで、ベネズエラ、イランに対するタガもどんどん緩んでいくならば、世界の平和のためにこそとてもよいことなのだが。

 ただ、今の世界情勢はこんなことを言って喜んでいられるようなものとは正反対、大変な状況なのだろう。ドイツのメルケルがこう叫んでいる。「第二次世界大戦以来の世界試練の時」。

 

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喜寿ランナーの手記(283)一難去って・・・  文科系

2020年03月20日 08時44分55秒 | スポーツ

 コロナでジムが使えないから、外走り専門になった。それも、疲労骨折が出やすいと言われているか所の痛みのために3月中程まで半月ほど階段往復だけをやっていて、17日から外走りを三日連続でやった。三日連続で走るというのは、10キロマラソンしか出たことがない僕としてはとても珍しいことだが、思ったほどの疲れもない。スピードをセーブしさえすれば、この僕が毎日でも何の支障も無く走れるものだ。7・5キロほど吹上公園周回コースを走るのだが、ウオームアップ走行後の5キロの記録で、それぞれこんな風に走ってきた。平均キロタイム、平均ストライド、平均心拍数である。
 17日  7分12秒、85センチ、143
  18日    6分46秒、89センチ、149
 19日    6分42秒、89センチ、159

 これ以前の最も直近の同じ数字が、3月3日の6分37秒、91センチ、149だから、心臓・血液・血管を中心とした心肺機能が、まだまだ低調と言うことだろう。19日の心拍数159というのは、僕としてとにかく高すぎる。
 
 ところで、上に「疲労骨折が出やすいか所の痛み」と書いたのは2月24日のここに書いたこの記述のことである。
『また、明らかにこの新走法が原因で右足の小指付け根の下辺りにも軽い痛みがあるので、大事を取ったという意味もある。このか所は、いわゆる疲労骨折が起こる部位だからで、渡りに船の休養となった。地面をつついて走るのは、足裏への衝撃が大きいのだ』
 ただし、今考えるに、この分析は不十分で、矢張り走り方、フォームの悪さの問題であって、これが原因である。左脚の蹴りが甘いのか、右足の前への伸ばしが足らぬせいか、とにかく右足のつま先を不自然に使いすぎていたということだった。そこにしわ寄せが来ていると言っても良い。それを意識して走ったこの二日間はここの痛みが全く出ていないから、そう理解した。まー僕程度の練習量のランナーで80歳ともなれば(この5月で満79歳・・)、あちこち故障・中断も起こるのだろう。それと上手く付き合う知恵を増やしていってこそ、いつまでも走れるということだろう。歳との付き合いは「無事、これ、名馬」で。つまり、無事を維持する方法の習得である。

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米と独、「民主主義度」で、この大差   文科系

2020年03月19日 19時14分40秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 19日の夕刊をよく読むと、標記両国のこんな情報が分かる。「米独それぞれの国民の命の差」である。両国のコロナウイルス罹患者と死者の数が、全く別の二つの記事から読み取れるのである。

「ドイツの感染者は18日時点で1万人を超え、死者は前日から倍増し26人になった」とあり、アメリカについてはこうだ。
「米紙ニューヨークタイムズは18日、米国の感染者が八千人を突破したと伝えた。うち死者は143人」
 どうだろう、よく似た数の感染者のうちで死者の比率が、ドイツ0.26%に対して、アメリカ1.8%になる。つまり、コロナ罹患者のうち死ぬ人が、アメリカはドイツよりも7倍多いということだ。この数値だけならば、いろんな解釈があり得るかも知れぬ。が、この数値を考えるにあたって、皆保険制度が全く実現できないアメリカという事実を思い出さざるを得ない。貧乏人の福祉保険。普通の人は民間保険。ここから、ちょっと貧乏でどんな保険にも入れていない人が、この中間層没落の先進国にはどんどんふえているのだ。これらの人々は、アメリカの超高額医療・医院には、なかなか通院できない。コロナに罹ったかも知れぬと思っても無保険ゆえに数十万円になるなどというこの国の高額医療費は覚悟できないでいるうちにこの病気特有の高齢者死亡率の多さで死んでしまうと、そういう現実を思うのである。

 さて、民主主義的政治とはなんぞや。国民を同じように大切にするということであろう。そして、人々にとって最も大切なものとは、まず命である。よって、命の軽重こそ、ある国の民主主義の尺度と言いたい。アメリカは先進国中で命がとても軽い国で、民主主義度がとても低い国と言える。民主主義国アメリカというのは、大きな嘘偽りである。

 世界全体で見れば、コロナ罹患者に対する死者数は18日正午現在で約4%。これだけ高い死者比率を特に上に引っ張っている国はイランとイタリア。いずれも死者の比率が1割近くになる。この両国については、何か特殊事情があるとしか思えなかった。それは何なのだろう。民主主義の世界的成長を願う立場から、この両国の死者比率の多さについてはその理由を是非知りたいものだ。

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書評 金融グローバリゼーションということ④  文科系

2020年03月18日 09時50分02秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 ドナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(中公新書2012年6月第5刷発行)の終章である第3章は、計4節に分かれている。「国際協調」、「適切な報酬制度」、「現状維持に終わる金融改革」、「金融化は不可逆的か」。 これを、順不同で要約していきたい。サブプライムバブルが弾けた後のG20やそのサミットでどんな改革論議がなされ、対立があって、ほぼ元の木阿弥に戻ってしまったか。リーマン以降、ロンドンG20から、10年のソウルG20とそのサミットまで、世界の金融規制論議経過は省いて、書かれている改革の内容自身を観ていきたい。

 ロンドン大学政治経済学院の「金融制度の将来」には4つの目的がこう書かれているとあった。①実体経済を攪乱しないように。②破綻金融の税金救済の問題。③そんな金融機関の報酬が高すぎる問題。④高報酬により人材が集まりすぎる問題。

 また、2010年11月のG20ソウル会議でもっと具体的に4つの討論がなされ、抽象的合意だけが成されたと言う。①銀行規制。②金融派生商品契約を市場登録すること。③格付け会社の公共性。④新技術、商品の社会的有用性。

 以上から何が問題になってきたかをお分かりいただけたと思うから、G20ソウル会議の4項目の順に討論内容などを観ていきたい。

 ①の銀行規制に、最も激しい抵抗があったと語られる。また、現に力を持っているこの抵抗者たちは規制提案に対して「否」と言っていれば良いだけだから、楽な立場だとも。国家の「大きすぎて潰せない」とか「外貨を稼いでくれる」、よって「パナマもケイマンも見逃してくれるだろう」とかの態度を見越しているから、その力がまた絶大なのだとも。この期に及んでもなお、「規制のない自由競争こそ合理的である」という理論を、従来同様に根拠を示さずに押し通していると語られてあった。

 ②の「金融派生商品登録」問題についてもまた、難航している。債権の持ち主以外もその債権に保険を掛けられるようになっている証券化の登録とか、それが特に為替が絡んでくると、世界の大銀行などがこぞって反対すると述べてあった。ここでも英米などの大国国家が金融に関わる国際競争力強化を望むから、規制を拒むのである。つまり、国家が「外国の国家、法人などからどんどん金を奪い取ってきて欲しい」と振る舞っているから換えられないと、酷く暴力的な世界なのである。

 ③格付け会社の公準化がまた至難だ。その困難の元はこのようなものと語られる。アメリカ1国の格付け3私企業ランクに過ぎないものが、世界諸国家の経済・財政法制などの中に組み込まれているという問題だ。破綻直前までリーマンをAAAに格付けていたなどという言わばインチキの実績が多い私企業に過ぎないのに。ここで作者は「ワイヤード・オン」という英語を使っている。世界諸国家法制にムーディーズとかスタンダードとかの格付けランクがワイアーで縛り付けられているという意味である。この点について、こんな大ニュースが同書中に紹介されてあったが、日本人には大変興味深いものだろう。
『大企業の社債、ギリシャの国債など、格下げされると「崖から落ちる」ほどの効果がありうるのだ。いつかトヨタが、人員整理をせず、利益見込みを下方修正した時、当時の奥田碩会長は、格付けを下げたムーディーズに対してひどく怒ったことは理解できる』(P189)
 関連してここで、つい昨日の新聞に載っていたことを僕がご紹介したいのだが、こんな記事があった。先ず見出しは、『国際秩序の多極化強調BRICS首脳「ゴア宣言」』。その「ポイント」解説にこんな文章が紹介されていた。
『独自のBRICS格付け機関を設けることを検討する』
 15日からブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ五カ国の会議がインドのゴアで開かれていて、そこでの出来事なのである。ついでに、日本でこういう記事はまず大きくは見えないようになっているということも付け加えておきたい。なお、この会議宣言4つのポイントすべてにおいて「国連」が強調されていたということも何か象徴的なことと僕には思われた。国連を利用はするが無視することも多いアメリカと、国連を強調するBRICSと。
 とこのように、国連や、G7などではなくG20やにおいてアメリカ以外の発言力が強くなっていかなければ、金融規制は進まないということなのである。

 最後に「④新技術、商品の社会的有用性」について。金融商品、新技術の世界展開を巡る正当性の議論なのである。「イノベーションとして、人類の進歩なのである」と推進派が強調するが、国家の命運を左右する為替(関連金融派生商品)だけでも1日4兆ドル(2010年)などという途方もない取引のほとんどが、世界的(投資)銀行同士のギャンブル場に供されているというような現状が、どうして「進歩」と言えるのか。これが著者の抑えた立場である。逆に、この現状を正当化するこういう論議も紹介されてあった。
『「金作り=悪、物作り=善」というような考え方が、そもそも誤っているのだ』
 金融が物作りを「攪乱」したり、現代世界人類に必要な新たな物作りへの長期的大々投資を事実上妨げているとするならば、それは悪だろう。関連して、世界的大銀行は、中小国家の資金まで奪っていくという「罪」を史上数々犯してきたのである。そして、世界の主人公である普通の人人の生活、職業というものは、物(作り)とともにしか存在しない。

 この本の紹介はこれで終わります。ただし、この著作中に集められた膨大な数値などは今後の討論で折に触れて適宜ご紹介していくつもりです。「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」という書名をどうかご記憶下さい。

 ここまでお読み下さった方、お疲れ様でした、ありがとう。

(終わり。2017年11月3日当ブログに初出)

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米今季の古い「インフル」死者からコロナが  文科系

2020年03月17日 07時59分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 アメリカの医療は一体どうなっているのだろう。万人向けの公的医療保険がないから見捨てられる人々が無数と聞いてはいたが、こんなに酷いとは思わなかった。いろいろ検索していたら、「HealthDay News 2020年2月7日」のものとして、こんなニュースが載っていた。それも、CDC、「米疾病対策センター」発行資料という紹介が付いていた。

『(前略)
 疾病対策センター(CDC)の発表によると、2019/2020年のインフルエンザシーズン中、1月25日までに少なくとも1,900万人がインフルエンザに罹り、このうち18万人が入院し、死亡者数は1万人を超えた。
 さらに、2月8日現在では、感染者数は2,600万人となり、25万人が入院し、死亡者数は1万4,000人に上る(CDC発行の「Weekly U.S.Influenza Surveillance Report」より)・・・(中略)
 なお、CDCは例年、米国のインフルエンザによる死亡者数は最低でも1万2,000人と予測しているが、2017/2018年のシーズンには4,500万人が感染し6万1,000人が死亡している。Camins氏によると、インフルエンザウイルスは変異しやすく、抗原性が変化して、人間の免疫力では対抗しきれない新しい型が出現することがある。
そうなると事態はさらに悪化するという。例えば、2009年には、新型インフルエンザウイルス(HINI)が出現し感染が拡大。同年にこの新しいウイルスによって死亡した人は15万1,700~57万5,400人と推定されている。
(以下略)』

  それにしても上の報告のうち、「死亡した人は15万1,700~57万5,400人と推定されている」とは一体、どういうことか! 時々聞いてきた話だが、国家としては死亡者数の集計すらやっていないのである。いくら合衆国で、州が政治主体であるとしても、酷すぎる政治と言えないだろうか。ここに、この国家としての国民への責任が象徴されていると国民皆保険・皆医療の日本人なら誰でも推察できるはずだ。建国以来「アメリカンドゥリーム」によって世界から受け入れてきた「移民(政策)」の裏側にはこんな政策もあったと、いやしくも先進国民であるならば思うのではないか。だからこそ、たかがインフルエンザでこんなに簡単に多くの人が死んでいくと、少なくとも日本人から見たらそうなる。国民一般の命がこんなに軽い国が「国防」にはあれだけの金を使ってきたって、この国は一体外国から何を守るのか。

  さてこういうアメリカの19~20年度「インフルエンザ」の古い死者からコロナウイルスが見つかっていると上記CDCが発表したのだから、ことは重大だ。中国がすかさず吠えた。
「そのコロナ死者の最も古い発生時期やそのウイルス遺伝子などの資料を明らかにせよ」

 

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書評 金融グローバリゼーションということ③  文科系

2020年03月17日 07時46分25秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

書評 金融グローバリゼーションということ ③   文科系

 ロナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(中公新書、2011年10月初版)を要約している。その第二部は、世界の金融化が社会、政治、教育、そして学者たちをどう変えたかという内容。これがまた4節に分けられていて、各表題はこうだ。①社会を変える金融化、②金融化の普遍性、必然性?(疑問符が付いている事に注意 文科系)、③学者の反省と開き直り、④「危機を無駄にするな」(括弧が付いている事に注意 文科系)。

 第1節では、格差、不安の増大、最優秀人材が金融にだけ行く弊害、人間関係の歪みの四つに分けて論じられる。
・「格差」では、06年のゴールドマン・トレイダーら50人のボーナスが、一人最低17億円だったという例を28日のここで紹介した。こういう強食の背後には、無数の弱肉がいると解説を付けて。(この点については、28日拙稿を参照願いたい)
・「不安の増大」では、こんな例が良かろう。日本の国民年金掛け金未納者が38%にのぼること。日本で新たに導入された確定拠出年金が、10年3月末の110万人調査で63%が元本割れとなっている発表された。これらの人々の老後はどうなるのだろうか?
・人材の金融集中では、2010年8月の日経新聞広告を上げている。
『野村、「外資流」報酬で新卒40人採用へ 競争率16倍 専門職で実績連動 11年春、初任給54万円』
 マスメディアのライターからも、大学人やフリーライターとかジャーナリストらがどんどん減って、金融アナリストが急増している。
・人間関係の歪みでは、情報の非対称性(情報量に大差がある2者ということ)を利用して起こる諸結果から、「人をみたら泥棒と思え」と言う世の移り変わりが説かれている。

「金融化の普遍性と必然性?」の要は、金融に特化する先進国に不当な世界的優位性を与えているということである。そこから、西欧がアメリカを追いかけ、今日本がつづき始めた、と。ただし、主要国の家計に占める株と証券との割合は05年でこうなっている。アメリカ46・6%の6・7%、ドイツ23・7%の9・7%、フランス28・0%の1・4%に対して日本15・0%の4・0%である。
 この程度でもう100年に一度のリーマンが起こって莫大な公金を注ぎ込まざるを得なかったとあっては、これで儲けるしかないアメリカがいくら頑張っていても金融立国はもう駄目だという文脈と言える。上記4国の証券%合計は21・8%となるが、1980年のこれは合計34・9%となっていた。4国で割れば、この25年で8・7%から5・5%へと家計における証券保有率は大幅に低減したという事になる。ただこれは家計に占める率であって、世界から金融業者に掻き集められた金はカジノばかりに膨大に投入されているということである。

「学者の反省と開き直り」は省略させて頂く。作者自身も嘲笑的になりそうになる筆を押さえつつ書いているようだし。

「金融危機を無駄にするな」に括弧が付いているのは、掛け声だけという意味である。アメリカの妨害でちっとも進まないからだ。
 リーマンショックが起こって、「100年に1度の危機」と叫ばれた08年秋のころはアメリカも大人しかったようで、金融安定への不協和音はゼロだったとのこと(ただ、この「危機」の長期的根本的意味が一般には3割も理解できていたかどうか、僕はそう思う。)ところが、国際機構をきちんとして罰則を入れるようなものは全くできなかった。決まった事は、G7よりもG20サミットが重視され始めて、保護主義を排し、経済刺激策を取ろうという程度だった。IMFとこれによる規制との強化とについて、新興国と西欧とがかなり主張して端緒についたはずだったが、その後はほとんど何も進まなかった。

 ここで作者は、世界政府、国際制度作りの歴史などの話を起こすことになる。特定分野の国際協力機関は20世紀初めの国際連盟やILO設立よりも前に12もできていたと述べて、「万国郵便連合」などの例を挙げる。
 同じ理屈を語って日本人に大変興味深いのは、日本の戦国時代統一の例が語られている下りだろう。
『日本が16世紀の終わりに一つの国になったのは、信長、秀吉、家康の武力による統合と、幕府という統治制度の意識的な創出が決定的だった』(P132)
 アジア通貨危機やギリシャ危機は、大国金融が中小国から金を奪い取る金融戦争、通貨戦争の時代を示している。そんな金融力戦争はもう止めるべく、戦国時代の戦争を止めさせた徳川幕府のように、金融戦争に世界的規制を掛けるべきだという理屈を語っているのである。IMF(国際通貨基金)のイニシアティブ強化以外に道はないということである。

 金融の国際制度とこれによる執行力ある万国金融規制についてさらに、前大戦中から準備されたケインズの国際通貨、バンコール構想も解説される。が、これはドル中心にしようとのアメリカの終戦直後の実績と強力との前に脆くも崩れ去ったということだ。ドルが基軸通貨になったいきさつ説明なのである。
 以降アメリカは自国生産量より4~5%多く消費でき、日本や中国はその分消費できない国になったということである。それぞれ膨らんだドルを米国に投資する事になってしまった。その意味では、中国銀行総裁、周小川が09年に「ケインズ案に帰るべし、新機軸通貨、本物の国際通貨の創設を!」と叫び始めた意味は大きい。中国は今や8000億ドルの米国債を抱え、不安で仕方ないのであろう(この8000億は現在では1兆2500億ほどになっている。文科系)。中国のこの不安は同時に、アメリカにとっても大変な不安になる。「もし中国が米国債を大量に売り始めたら。国家、家計とも大赤字の借金大国の『半基軸通貨』ドルは大暴落していくのではないか」と。周小川中国銀行総裁が「本物の国際通貨の創設を!」と叫ぶのは、そんな背景もあるのである。

 なお、これは私見の言わば感想だが、アメリカが中東重視から西太平洋重視へと世界戦略を大転換させたのは、以上の背景があると観ている。中国に絶えず圧力を掛けていなければ気が休まらないのだろう。


(次回で終わりです。この拙稿は、2017年11月2日当ブログ初出です。リーマンショック以上のことが進行中の今、改めてという趣旨です)

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書評 金融グローバリゼーションということ ②  文科系

2020年03月16日 07時43分27秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など

 中公新書、ロナルド・ドーア著「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(2011年10月初版)の要約を行っている。同書が以下の3部に別れているのに合わせて。「金融化現象とは何か」、「これにより、社会、政治、教育などがどう変わるか」、「各国、国際機関による、これの弊害是正、金融改革の試み」である。今回はその第一部の要約とする。

 ただこの本、非常に難解である。最大の特長が21世紀日本経済(ある過渡期)の最新・最大テーマということなのだが、なんせ、日本語の達人と言っても外国人が書いた日本語。やはりどこか違うと言わざるを得ない。時に省略、時に冗長と、言葉の選択が普通の日本語とは違う。これに研究対象の難しさも加わったこの難物を、順不同、勝手に要約していく。

 第一部の目次はこうなっている。①金融化ということ、②資本市場の規模拡大、③実体経済の付加価値の配分、④証券文化の勃興、と。

 金融化について、ある人の要約が紹介される。『国際国内経済で、金融業者、企業の役割や、一般人の金融志向が増していく過程』。この「増していく」の中身は、こういうもの。社会の総所得における金融業者の取り分が増えたこと。貯蓄と企業との関係で金融業者の仲介活動が急増したこと。株主資本主義。政府がこの動向を国際競争力強化の観点から促進してきたこと。

 米企業利益のうち金融利益の割合が、1950年代までは9・5%であったものが急増して、02年には41%と示される。その後非金融業の巻き返しがあってやや減少期があったものの、2010年度第一四半期はまた36%まで来たとあった。サブプライムバブルの膨張・破裂なんのそのということだろう。

 次は、こうなった仕組みとして、金融派生商品の膨張のこと。
 著者は先ず、シカゴ豚肉赤味の先物市場投資額を、急増例として示す。初めの投資総額はその豚肉生産総費用にもみたぬものであったが、これが、生産費用とは無関係に爆発的急増を示すことになる。1966年の先物契約数が8000だったものが、2005年に200万を超えるようになったと。そして、これも含んだ金融派生商品全体のその後の急増ぶりがこう説明される。2004年に197兆ドルだった国際決済銀行残高調査による派生商品店頭売り総額が、2007年には516兆ドルになっていると。この期間こそ、08年に弾けることになったサブプライム・バブルの急膨張期なのである。同じ時期の現物経済世界取引総額とのこんな比較もあった。同じ2007年4月の1日平均金融派生商品契約総額が3・2兆ドルだが、これは世界のこの月の1日実体経済貿易総額(320億ドル)の実に100倍であると。

 これほど多額の金融派生商品の売買は、証券化という技術が生み出したものだ。
 証券化の走りは売買可能な社債だが、『住宅ローンや、消費者金融の証券化、様々な方法で負債を束ね「パッケージ」にして、低リスク・高リスクのトラッシュ(薄片)に多様に切り分けて売る証券や・・』というように進化していった。リスクが大きいほど儲かるときの見返りが大きいという形容が付いた例えばサブプライム債券組込み証券(の暴落)こそ、リーマン破綻の原因になった当の「パッケージ」の一つである。
 そんな金融派生商品の典型、別の一つに、これに掛ける保険、クレディット・デフォルト・スワップ(CDS)という代物がある。この性格について、有名な投資家ジョージ・ソロスが「大量破壊兵器」と語っているとして、こう紹介される。
『ゼネラル・モータースなどの倒産を考えよ。その社債の持ち主の多くにとって、GMの再編より、倒産した場合の儲けの方が大きかった。人の生命がかかった保険の持ち主に、同時にその人を打ちのめす免許を持たせるようなものだ』
 まさに「(会社再建よりも)打ちのめした方が儲かる」というCDSの実際が、投資銀行リーマン・ブラザースの倒産でも、見事に示された。倒産時のリーマン社債発行残高は1,559億ドルだったにもかかわらず、その社債へのCDS発行銀行の債務総額は4,000億ドルだったのである。社債を実際に持っている者の保険と言うよりも、単なるギャンブルとしての約束事だけの保険のほうが2・5も大きかったということになる。約束事だけへの保険ならば、競輪競馬に賭けるようなもので、無限に広がっていく理屈になる。

 こうして、こういうギャンブル市場がどんどん膨張していった。政府も国際競争力強化と銘打って証券文化を大いに奨励した事も預かって。各国年金基金の自由参入、確定拠出年金・・・。これらにともなって、機関投資家の上場企業株式所有シェアがどんどん増えていく。1960年アメリカで12%であったこのシェアが、90年には45%、05年61%と。そして、彼らの発言力、利益こそ企業の全てとなっていった。
「経営者資本主義から投資家資本主義へ」
そういう、大転換英米圏で起こり、日本はこれを後追いしていると語られる。

 この大転換の目に見えた中身は語るまでもないだろう。企業から「金融市場への支払い」が、その「利益+減価償却」費用とされたキャッシュ・フロー全体に占める割合の急増。アメリカを例に取ると、1960年代前半がこの平均20%、70年代は30%、1984年以降は特に加速して1990年には75%に至ったとあった。
 彼らの忠実な番犬になりえた社長は彼らの「仲間」として莫大なボーナスをもらうが、「企業の社会的責任。特に従業員とその家族、地域への・・」などという考えの持ち主は、遺物になったのである。こうして、米(番犬)経営者の年収は、一般社員の何倍になったか。1980年には20~30倍であったものが、最近では彼の年金掛け金分を含んで475倍平均になっている。その内訳で最も多いのは、年当初の経営者契約の達成に関わるボーナス分である。全米の企業経営者がこうして、番犬ならぬ馬車馬と化したわけだ。

「証券文化」という表現には、以上全てが含意されてあるということだ。企業文化、社長論・労働者論、その「社会的責任」論、「地域貢献」論、「政治家とは」、「政府とは・・?」 「教育、大学とは、学者とは・・?」、そして、マスコミの風潮・・・。


(二部、三部に続く。この拙稿は2017年11月1日当ブログに初出。これの再掲である)

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金融グローバリゼーションということ ①  文科系

2020年03月15日 10時41分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 歴史進行には常に、良かれ悪しかれこういう時がある。前へ進もうとする場合と後に戻ろうとする場合と。なお、ここで良かれ悪しかれというのは、前も後ろもさしあたって民主主義的という意味での善悪を超えてということであり、そのどちらをより増やすかは時代の人々が決めることだろうという意味である。

 さて、そういう意味で世界史が今前へ進もうとするとき、史上かって無かった難問がある。いわゆる金融グローバル経済を主導する米国の発言権、行動力が強すぎて各国の手には負えないこと、この米を規制するには国連のイニシアティブをかってなく強めるしか道はないことである。
 ところが次に、この金融グローバリゼーションの行いが世界の人々にはほとんど見えていないという問題がある。見えていないと言うよりも、隠密裏に行動して、見えないようにしてきたというのが正確な所だろう。それでこうなる。今の各国の諸問題、人間たちの諸不幸の源自身が見えない。見えないけれども何となく、外国関係者がわが国を悪くしているようだとは感じている。
「グローバリゼーションなどご遠慮願って、わが国本来の形に戻れ」
 と、こう言うことなのではないだろうか。国際金融で儲けていると思われる国でさえ、その「99%対1%」問題を前にすれば、国粋主義的美化も必要になるというものだ。

 さて、そういう金融グローバリゼーションの行き着いた先・アメリカの現状を見詰めたある本を改めて紹介したい。「金融が乗っ取る世界経済 21世紀の憂鬱」(中公新書、ロナルド・ドーア著)である。
 なお、著者はこういう方だ。この本を書いた2011年現在で86歳のイギリス人、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒、50年に江戸教育の研究のため東京大学に留学。以来ずっと、日本ウォッチャーを続けて来られたと、まるで日本文学者ドナルド・キーン氏のような。なお、この本は題名の通りの内容を3部に別け、それぞれ『「金融化」現象』、『金融化が、社会、政治、教育などをどう変えたか』、『金融改革、弊害是正をめぐる各国、国際機関の動き』を扱っている。今世界史に臨む人にとっては、必読の書だと愚考する。
 今日最初に紹介するのは、こういう諸社会現象の結末としての世界「1%」の出来上がり方およびその構造。その後に、前記3部を一つずつ紹介して、4回連載とする。


 米企業利益のうち金融利益の割合が、1950年代までは9・5%であったものが急増して、02年には41%と示される。
 機関投資家の上場企業株式所有シェアがどんどん増えていく。1960年アメリカで12%であったこのシェアが、90年には45%、05年61%と。そして、彼らの発言力、利益こそ企業の全てとなっていった。
 企業から「金融市場への支払い」が、その「利益+減価償却」費用とされたキャッシュ・フロー全体に占める割合の急増。アメリカを例に取ると、1960年代前半がこの平均20%、70年代は30%、1984年以降は特に加速して1990年には75%に至った。

 そして、こうなった。
 彼らの忠実な番犬になりえた社長は彼らの「仲間」として莫大なボーナスをもらうが、「企業の社会的責任。特に従業員とその家族、地域への・・」などという考えの持ち主は、遺物になったのである。こうして、米(番犬)経営者の年収は、一般社員の何倍になったか。1980年には平均20~30倍であったものが、最近では彼の年金掛け金分を含めば475倍になっている。その内訳の大部分は、年当初の経営者契約の達成に関わるボーナス分である。全米の企業経営者がこうして、番犬ならぬ馬車馬と化したわけだ。

「証券文化」という表現には、以上全てが含意されてあるということだ。企業文化、社長論・労働者論、その「社会的責任」論、「地域貢献」論、「政治家とは」、「政府とは・・?」 「教育、大学とは、学者とは・・?」、そして、マスコミの風潮・・・。

 以下のような数字は日本人には到底信じられないもののはずだ。この本の73ページから抜粋した、アメリカ資本主義の象徴数字と言える。
『2006年のように、ゴールドマン・サックスというアメリカの証券会社がトップクラスの従業員50人に、最低2,000万ドル(当時のレートで17億円くらい。〈この記述周辺事情や、最低と書いてあるしなどから、1人当たりのボーナスの最低ということ 文科系〉)のボーナスを払ったというニュースがロンドンに伝われば、それはシティ(ロンドン金融街)のボーナスを押し上げる効果があったのである。 
 これだけの強食がいれば、無数の弱肉が世界に生まれる理屈である。2006年とは、08年のリーマンショックを当ブログでも予言していた史上最大のバブル、サブプライム住宅証券組込証券が頂点に達していたウォール街絶頂の時だった。この結果は、失った家から借金まみれの上に放り出された無数の人々の群であった。しかもこの動きはアメリカのみに留まらず、イタリア、スペイン、ポルトガル等々にも、そこの失業者の大群発生にも波及していくのである。こんな所業を放置しておいて、どうして世界の景気が良くなるなんぞと言えるのだろうか。

かくして、「ゴールドマン幹部社員50人の最低17億円ボーナス」が生まれ、社長でも金融の馬車馬を努めたお人の給料だけが上がっていく。モトローラ社長の100億円に驚いてはいけない。史上最高給記録はディズニー社社長アイズナーで、6億ドル近い額だ。何と600億円。これ、年俸ですよ。500万円の社員が12,000人雇える金額です。これでは職も増えず、世界中が失業者ばかりになる理屈。人が少ない企業ほど株価が上がり、それへの配当が増える。

(あと3回続く)

(2017年10月31日の当ブログに初出、再掲原稿)

 

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「コロナは武漢発」は、証明されていない  文科系

2020年03月14日 08時59分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 今、標記のことを強調したい。はじめ武漢で大量発病したことを捉えて、「武漢の生物化学兵器拠点から漏れ出たもの」という武漢原因説が日本マスコミにも当初喧伝されていたが、世界保健機構ではそんな発表も用語も使われていないのである。また、この流言飛語に関わるのだろうが、これを捉えて中国当局がこの度、「アメリカが武漢にウイルス」と反撃した。米国内の去年早くの「インフルエンザ死者」が、コロナ死者と訂正されたそのニュースに基づくものであった。中国当局は「0号患者は、いつ、どこで、どのように発病したのか? 米国は公表すべきだ」とアメリカに問うている。するとまたまた、「中国武漢初発病は、当局発表よりも3週間も早かった」というニュースが世界に流れはじめた。このニュースの発信元は今問題の「陰謀渦巻く」香港である。

 何にしても、今回の「0号患者」、つまり初発患者、原因はきちんと検証されねばならない。もし、故意にばらまかれたものならば、これは世界を敵に回す戦争になるからである。一部で言われているように「世界の老人、人口減らし」と観るならば、ナチスのユダヤ人殺しのような大量虐殺である。ただ、このウイルスはどうも、人為的なものではなく、長年懸けて自然界から生まれて、新たに発見されたもののようだ。これもただし、新発見した人々が、密かにこれを悪用することはできるのである。 

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米株価暴落に、CDS・AIGへの国家救済は?  文科系

2020年03月14日 08時10分38秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米(GAFA)バブルが、リーマンショックの時のように、また弾けた。現在でももう、時価総額で500兆円以上吹っ飛んだのは間違いない。ところで、今回はまだ標記のことが一向に聞こえてこないが、金融商品損失補填を商売にするこの保険会社はまた破綻したはずだが、そのニュースと、一体どんな対策がされようとしているのかという動向は、どうなった? まだ損が確定したわけではないとしても、もうAIGは破産、お手上げのはずだが、国家予算による救済はどうなっているのか? 今これをやったら、大統領選挙でトランプがお手上げになる? だから密かに潜航して動いているだけ?

 なお、こんな潰れると分かっている会社があって、それがやはり潰れる会社の格付けをAAAなどと高めてきたのだから、社会への責任は重大なのである。

 ちなみに、供給サイド経済学はもう終わったが良い。供給サイドの競争こそ進歩だ、経済発展の保障だなどという言い分は、何の正しさも保証されていないただの暴力にすぎぬという意味で、誤ったものであった。株価だけ高くする金融バブル経済は、国連で話し合って大いに規制して、止めていくのが良いと、日本住宅バブルやリーマンショックによって、そして今回また改めて証明されたのである。保護主義を取り始めたアメリカを見れば分かるように、新自由主義経済とはもう暴力で維持されているものに過ぎなくなっている。

 

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500兆円吹っ飛んだ米  文科系

2020年03月10日 08時01分39秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米のナスダック30種が、2月中旬の最高値から20%近く、500兆円ほど吹っ飛んだことになる。コロナはきっかけに過ぎず、リーマンと同じような国際金融が創った「幻の株価」が弾けたということだ。日本の官製バブルも同じこと。ただ日本は、国も家計も赤字だらけなのに国際通貨というだけで持ってきたアメリカと違って、財産がある分信用があり、円は上昇する。そこへ持ってきて、サウジ、ロシアの対米反発によってもたらされた原油価格の暴落や、金利を下げざるを得なかった米に対してこれがあるのは中国だけという状況から、アメリカは踏んだり蹴ったりである。

 真っ青なお顔と推察する名無し君、どうするね? いくらすったの? ただ君が叫んできた僕への非難と違って、僕はこの状況がとても哀しいよ。サンダースが当選しないかな。そして、ヘリコプターマネーだ!

 

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米民主、大統領候補選に、なぜだろう?  文科系

2020年03月10日 07時42分04秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 米民主党候補者選び選挙で、不思議に思ったことがある。「バイデンがこれこれの州で勝利、州合計9対4」とかのニュースは喧伝されるが、肝心の獲得代議員数の比較がなかなか報道されて来ない。

 よく調べてみると、サンダースが勝ったカリフォルニアの代議員数が全米1格別に多くて、代議員数合計では600数十対、500数十の差しか無い。つまり、州の数では9対4とかでも、代議員数は競っている接戦なのだ。それを勝利した州の数だけで報道するのは、残った州選挙への誘導になるはずだと、不審に思ったのである。

 アメリカの大統領選挙はただでさえ、前のクリントンの時に資金を1兆円使ったとか無尽蔵ということだ。つまり、金持ちが大きく選挙誘導できる仕組が存在する。例えば、活字離れからブルームバーグとかの金持ち達が直接間接にどんどん入手し始めた全米の報道機関がこんな「投票誘導」をするのでは、公正な選挙と言えるのか。

 民主主義の旗手を名乗る割には、その「自称」に合わないおかしな国なのだ。

 

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随筆 日本人男女   文科系

2020年03月08日 09時07分04秒 | 文芸作品

    日本人男女

 同人誌仲間のHさんがある日僕に言う。「脚が軽くなったねと、夫に驚かれたよ!」。そう言えば、傍らを歩いている八〇近いこの女性、歩き方がこれまでとはだいぶ違うと、既に僕の目が感じていた。ベターッとした歩き方が消えて、どういうか、腿が上がって足が利き、そもそも歩幅が大きくなっている。「片足つま先立ち・脚裏ストレッチなんかもやってきたんだよね!」、目を輝かせて続ける。二か月前の月例会後だったかに皆でいろいろ話し合っていた下半身強化法を早速実践してみた成果というわけだ。昔痛めた腰のせいでくの字型を右に倒したような彼女には特にこれが不可欠だよとは、そこで皆が述べたこと。ちなみに、「腰の怪我・前曲がり」は僕の母のトレードマーク。明治生まれで二一世紀に入って亡くなった彼女は、脳内出血で倒れるまで下半身強化には励んでいた。

 ここ一〇年ほど、僕は三つの人間集団に関わってきた。そこでつくづく感じたことなのだが、日本人高齢男女の生活差違はことの外大きい。この事で最初に目を見張ったのは、僕の壮年期に父母と同居して観察できたこと。二人とも職業人という当時は珍しいカップルだっただけに、感得できたことのようだ。
 僕の父は、老後が即余生だった。一言で言えば、一人で居るときに熱中できるものがなく、こういう人は早く老いて早く死ぬ。好きなテレビ番組を観ていても、ドラマの途中で眠っているというように早くからなっていたし。他方母の方は、同じ職業人を通しながら、退職後を一言で言えば文化活動に費やした。その内容は、身体のケアと、三味線、俳句である。身体のケアは体操グループを作り、日常では一日八〇〇〇歩が目標。三味線は師匠について八〇歳直前まで発表会に出ていたし、俳句はよくNHKで入選した。

 さて、この父母を基準として僕が属する三グループの人々を区分けしてみると、同じことに気付く。同人誌は僕以外は女性グループだし、高校同級生飲み会は逆に一人を除いては七人の男グループだった。そして、ギターのグループは男女ほぼ半々である、そこで観た男の文化度を中心に、ちょっと箇条書きしてみよう。
一、飲み会の男たちは一般に父に似ているが、父よりもやや文化度が高い。その内容は身体のケア志向が第一で、芸術も含めたいわゆる文化系はとても弱い。
二、ギターグループの男たちは、文武両道が多い。今の日本ではかなり珍しい男性集団と思うが、ギターという文化系の男が身体ケアにも熱心なことが興味深い。
三、さて、同人誌の女性たちだが、これも見事にバランスが取れていて、面白いのである。
 六五前後から八〇歳過ぎまでの同人誌女性のほとんどがこの三年ほどで順にパソコンを覚えた。文字入力だけの方もいらっしゃるが、一人を除いて全員である。七十代半ばのある女性がパソコンを買い込んで先陣を切ったのを機に、吾も吾もとばかりのことだった。そして、この先端女性こそ、作品冒頭のお方なのである。こういう女性群に較べると、高齢男性には「一念発起」ということが圧倒的に少ない。なぜかと訝っていたら、二つの事に思い至った。難しい言い方だがこうだ。一つは、文化系でしか扱えないものに対する感性の不足。今一つは、これの裏面として、目に見え手で触れるような物事にしか興味を持てないこと。要するに今後はオタクも増えるだろうというような、歪んだリアリズム。

(2017年3月発行の同人誌に初出)

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金融世界支配の歴史、現状 ⑤  文科系

2020年03月08日 08時59分23秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)

 リーマンショックに次ぐバブル崩壊が恐怖される中で、旧拙稿再掲の最終回です。よろしく。

【 金融世界支配の歴史、現状 ⑤  文科系 2017年10月06日 | 国際政治・時事問題(国連・紛争など)

 第2節 各国などの対応や議論

「金融危機国への外貨融通制度」が各地域で国家連合的に作られた。世界金融資本の各国通貨空売り搾取から、中小国家を守る互助会のような側面も持つものだ。
 アジア通貨危機から学んだASEANプラス日中韓が、日中等の支出でより大きな資金枠を持つことになった例がある。岩波新書「金融権力」(本山美彦京都大学名誉教授著)は、南米7カ国が形成したバンコデルスル(南の銀行)に注目している。
こういう独自の外貨融資制度が国際通貨基金(IMF)に対抗する側面を持つとすれば、世界銀行に対抗する動きも起こった。最近アジア開発銀行に対抗して創られたアジア・インフラ開発銀行がそれだ。
 前節にも見たように、『独自のBRICS格付け機関を設けることを検討する』とBRICS諸国が最近発表したが、これも同じ一連の趣旨のものと言える。
 IMFや世銀が金融グローバリズム寄りになり過ぎているという非難が中小国家に多いが、以上はそれらを取り込んでいく取り組みと言いうる。南米とアフリカの代表、および大国インドが入っていることが注目だろう。

 世界的不況で日米欧それぞれに内向きの動きが大きくなっているだけに、BRICS諸国などの反ワシントンコンセンサス方向と実体経済重視方向との動きが、その賛否は別問題として、注目される。
 金融中心主義を排して実体経済中心へと回帰せよとの声が強くなっている。まず、「グリーンニューディール」政策などの新実業開発を強調する人々は、そこに新たに雇用を求める。雇用問題・格差の解消一般をなによりも強調する人々は、金融規制、実業開拓の方向と言えよう。なお、「グリーンニューディール」とはこういうものだ。
『用語の起源は、イギリスを中心とする有識者グループが2008年7月に公表した報告書「グリーン・ニューディール」である。ここでは、気候・金融・エネルギー危機に対応するため、再生可能・省エネルギー技術への投資促進、「グリーン雇用」の創出、国内・国際金融システムの再構築等が提唱されている。
 同年10月には、国連環境計画(UNDP)が「グリーン経済イニシアティブ」を発表し、これを受けて(中略)オバマ大統領は、今後10年間で1500億ドルの再生可能エネルギーへの戦略的投資、500万人のグリーン雇用創出などを政権公約として打ち出した。(中略)』(東洋経済「現代世界経済をとらえる Ver5」、2010年発行) 

 グリーンニューディール政策には雇用対策も含まれているわけだが、雇用対策自身を現世界最大の経済課題と語る人の中には、こんな主張もある。
『私は非自発的雇用の解決には労働時間の大幅な短縮が必要だと考えている。具体的には、週40時間、1日8時間の現行法定労働時間数を、週20時間、1日5時間に短縮するように労働基準法をあらためるべきだと考えている。企業による労働力の買い叩きを抑止するためには、年間実質1~2%の経済成長を目指すよりも、人為的に労働需要の逼迫を創り出すほうが有効だからだ。経済学者は、そんなことをしたら企業が倒産すると大合唱するかも知れない』(高橋伸彰立命館大学教授著「ケインズはこう言った」、NHK出版新書2012年8月刊)
 8時間労働制とは、歴史的には既に19世紀の遺物とも言えて、20世紀の経済学者ケインズが現状を見たら8時間労働制が続きさらに時間外労働までふえているとことに驚嘆するはずだ。これだけ豊かになった世界がこれを短縮できない訳がないと。ただ、これを実現するのは、金融グローバリズムの抵抗を排してのこと。国連などがイニシアティブを取って世界一斉実施を目指す方向になろうが、イギリス産業革命後などの10数時間労働時代が世界的に8時間制度になったことを考えれば、空想という事でもあるまい。近年使われる言葉では労働時間短縮はワークシェアとも言えるのである。
 同じ時間短縮、ワークシェアを語るもう1例を挙げる。
『こうした格差拡大の処方箋としては、まず生活保護受給者は働く場所がないわけですから、労働時間の規制を強化して、ワークシェアリングの方向に舵を切らなければなりません。
 2012年の年間総労働時間は、一般労働者(フルタイム労働者)では、2030時間となっており、これはOECD加盟国の中でも上位に入る長時間労働です。サービス残業を含めれば、実際はもっと働いています。ここにメスを入れて、過剰労働、超過勤務をなくすように規制を強化すれば、単純にその減少分だけでも相当数の雇用が確保されるはずです。(中略)
 私自身は、非正規という雇用形態に否定的です。なぜなら、二一世紀の資本と労働の力関係は圧倒的に前者が優位であって、こうした状況をそのままにして働く人の多様なニーズに応えるというのは幻想といわざるを得ないからです。』(『資本主義の終焉と歴史の危機』、水野和夫・元三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミスト著。2014年刊)。


 第3節 平和に生きて行ける世界目指して

 岩波新書、西川潤早稲田大学大学院教授の著「世界経済入門」(07年第5刷版)は、1988年に初版が出て、『大学や高校の国際経済学、国際関係論や政治経済の副読本としても広く使われ』たというベストセラーだった。この第5版はグローバリズム経済への抵抗運動を見る点を終始問題意識の一つとして書き直された『新しい入門書』という重要かつ珍しい側面を持っている。
『経済のグローバル化』は、『人権や環境など、意識のグローバル化』を進展させずにはおかなかったと語る。そして、この書は、この両者の『相関、緊張関係を通じて、新しい世界秩序が生成しているとの視点に立っている』と解説される。これに呼応した回答として述べられているのは、最終章最終節のこんな記述であろう。
『この経済のグローバル化が世界的にもたらす不均衡に際して、ナショナリズム、地域主義、市民社会、テロリズムといくつかのチェック要因が現れている』
『これらの不均衡やそれに根ざす抵抗要因に対して、アメリカはますます軍備を拡大し、他国への軍事介入によって、グローバリゼーションを貫徹しようと試みている』
『(アメリカの)帝国化とそれへの協力、あるいはナショナリズムが、グローバル化への適切な対応でないとしたら、残りの選択肢は何だろうか。それは、テロリズムではありえない』
『これまでの分析を念頭に置けば、市民社会と地域主義が私たちにとってグローバリゼーションから起こる不均衡を是正するための手がかりとなる事情が見えてくる』
 とこう述べて、結論とするところはこうなる。
『1999年にオランダのハーグで、国際連盟成立のきっかけとなったハーグ平和会議1世紀を記念して平和市民会議が100国1万人余の代表を集めて開催された。この宣言では「公正な世界秩序のための10の基本原則」として、その第一に日本の平和憲法第9条にならって、各国政府が戦争の放棄を決議することを勧告している』
『2001年には、多国籍企業や政府の代表がスイスで開くダボス会議に対抗して、ブラジルのポルトアレグレで世界のNGO、NPOの代表6万人が集まり、世界社会フォーラムを開催した。このフォーラムは「巨大多国籍企業とその利益に奉仕する諸国家、国際機関が推進しているグローバリゼーションに反対し、その代案を提起する」ことを目的として開かれたものである。(中略)その後、「もうひとつの世界は可能だ」を合言葉とするこの市民集会は年々拡大し、2004年1月、インドのムンバイで開かれた第4回の世界社会フォーラムでは、参加者が10万人を超えた』

 上記文中の世界社会フォーラムに未来を見るアメリカ人哲学者の言葉も上げておこう。ノーム・チョムスキーの著作「覇権か生存か アメリカの世界戦略と人類の未来」(集英社新書2004年刊)からの抜粋である。
『非常に力強い展開として、一般の人々の間に人権という文化がゆっくりと育っていることが挙げられる。そうした傾向は1960年代に加速し、大衆運動が多くの分野に目覚ましい啓発の効果をもたらし、その後も長期にわたって拡大していった』
『1980年代にアメリカの本流の中で生まれた連帯運動は、特に中米について考える運動であり、帝国主義の歴史に新生面を切り開いた。帝国主義社会の多くの人々が悪質な攻撃の犠牲者のもとで一緒に暮らし、援助や保護の手段を提供することなど、それまでは一度もなかったのである。(中略) そこから正義を求めるグローバルな運動が生まれて、世界社会フォーラムを毎年開催しているが、これは運動の性質、また規模においてもかってない全く新しい現象だ』
『今日の歴史の中に、人は二本の軌道を見出すはずだ。一本は覇権に向かい、狂気の理論の枠内で合理的に行動し、生存を脅かす。もう一本は「世界は変えられる」──世界社会フォーラムを駆り立てる言葉── という信念に捧げられ、イデオロギー的な支配システムに異議を唱え、思考と行動と制度という建設的な代案を追求する』

 西川、チョムスキー両氏が注目する世界社会フォーラムは現在も続いており、当然国連の役割を重視する。ここには、チョムスキーや、リーマンショックの総括書「国連スティグリッツ報告」を出したジョセフ・スティグリッツ(ノーベル経済学賞受賞者)も一報告者として参加している。彼らは、国連のイニシアティブによる金融(暴力)規制を切望してきた。


(終わりです。ここまで読んで下さった皆さん、有り難うございました。なお、全体の目次は以下の通りです)

第1章  金融グローバリゼーションの生成と発展
第1節 その生成
第2節 民間資金の世界席巻と通貨危機
第3節 アジア通貨危機の発端、タイの例

第2章 金融グローバリぜーションの破綻
第1節 金融が世界を乗っ取った
①その一般企業支配
②デリバティブ、金融派生商品
③サブプライムローン組込証券
④CDS
⑤金融は、国家さえ乗っ取る
第2節 「100年に1度の経済危機」
第3節 破綻の構造

第3章 金融グローバリゼーションの改革
第1節 国際機関などの対応
第2節 各国などの対応や議論
第3節 平和に生きて行ける世界を目指して 】

 

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