Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

見よ東條の禿あたま: 戦中戦後の替え歌

2021-08-15 09:39:00 | エトセト等
大佛次郎「敗戦日記」に出てくる愛国行進曲の替え歌.この歌は知らないが,鵜野祐介氏による論文
笠木透の替え唄研究「アジア太平洋戦争中の日本の子どもの替え唄」前編によれば,元歌は
「見よ東海の 空明けて/旭日高く 輝けば/天地の正気 溌剌と/希望は躍る 大八洲...」
だが,
「見よ東条のはげ頭/旭日高く輝けば/天地にぴかりと反射する/がとまればつるすべる」
その他,いろんなバージョンがある.ちなみに写真で見る大佛次郎は髪の毛がふさふさである.

別な替え歌.
「勝って来るぞと 勇ましく/ちかって祖国を 出たからは/手柄たてずに 死なりょうか/進軍ラッパ 聴くたびに/まぶたに浮ぶ 旗の波」
この元歌は父方の叔父が酔っ払って歌っていた.これが
「勝って来るぞと勇ましく/誓って国を出たからは/手柄たてずに支那料理/進軍ラッパ聞くたび に/まぶたに浮かぶ支那料理」
となる.

この論文のタイトルには「子どもの替え唄」とあるが,大人が軍歌を猥歌に変える例も多いようだ.
「ここは御国を何百里/離れて遠き滿洲の/赤い夕日に照らされて...」

「ここは奥さんどこですか/離れて遠き奥座敷/明い電気をうち消して...」
に化けるとか.

この論文の前編は軍歌だが,後編は唱歌童謡流行歌.こちらには 16 トンにも聞き覚えがあるものが多数あった.

「年の始めの例とて/終わりなき世のめでたさを/松竹たてて門ごとに/祝う今日こそ楽しけれ」
→「年のはじめのためしとて/おわり名古屋の大地震/松竹ひっくり返して大さわぎ/いもを食うこそたのしけれ」
これは母親に聞いたのを思い出した.

「お手手つないで野道を行けば」→「お手てんぷらつないでこちゃん蚤に食われてかーいかい」
後世のブルコメ替え歌「森とんかつ泉ニンニク」も同工異曲だが,蚤が出てくるところが懐かしい.

「証、証、証城寺/証城寺の庭は/ツ、ツ、月夜だ/皆出て来い来い来い」
→「ポ、ポ、ポパイ/ポパイのおなら/セ、セ、世界で/一番くさい」
→「処、処、処女でない/処女でない証拠には/ツ、ツ、月のものが/三月も出ない」
最後のは学生時代に男子ばかりのコンパで歌った.「おまけにおなかが/ぽんぽこぽんのぽん」と続く.

「我は海の子白浪の」→「われはノミの子シラミの子」

流行歌では
「山の寂しい湖に/ひとり来たのも悲しい心」→「昨日生れた豚の仔が/蜂にさされて名誉の戦死」

「あの娘かわいやカンカン娘」→「あの娘かわいやパンパン娘」
あまりに直裁.でもパンパンの意味を知らずに歌ったと思う.

つい長々と失礼いたしました.お暇な方は 鵜野氏による論文,さらにそこに引用されて原著を読んでください.
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