路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【大弦小弦】:東京五輪 弁当4千食廃棄

2021-08-03 07:05:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【大弦小弦】:東京五輪 弁当4千食廃棄

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【大弦小弦】:東京五輪 弁当4千食廃棄

 地域のさまざまな話題が載る「地方面」で昨年来増えているのは、コロナ禍で困っている人たちへの寄付や応援の記事だ。「何かに役立てて」と現金を託すだけでなく、子ども食堂への食料支援や弁当、飲料の配布が続く▼感染拡大の影響で職を失い生活が苦しくなった家庭は少なくない。

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 元稿:沖縄タイムス社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【大弦小弦】  2021年08月03日  07:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【筆洗】:『怪談』などの作家、ラフカディオ・ハーンが山陰のある村での…

2021-06-01 07:32:20 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【筆洗】:『怪談』などの作家、ラフカディオ・ハーンが山陰のある村での…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【筆洗】:『怪談』などの作家、ラフカディオ・ハーンが山陰のある村での…

 『怪談』などの作家、ラフカディオ・ハーンが山陰のある村での体験を『日本の面影』の中に書いている。宿で夕食をとったが、出てきたのは「ごはんに卵、野菜にデザート」。少々、寂しい膳である▼訪れたのが旧盆の時期で漁が休みとなるため、魚を出せない。女将(おかみ)は何度もわびるが、ハーンの方は満足だったようで、「二人前はゆうに平らげた」とある▼女将は気にすることはなかったかもしれぬ。というのも、その卵こそ、ハーンの大好物だった。毎朝、生卵を一度に八、九個食べていたという証言がある。映画の「ロッキー」みたいである▼ハーンの機嫌が悪くなる話題か。鶏卵の価格が高騰しているそうだ。いつもより、二、三割高い地域もあるそうで、なるほど、近所のスーパーでも以前なら山と積まれた特売品を最近は見かけぬ▼「ニワトリが先かタマゴが先か」で言えば、高騰の背景はニワトリが先。鳥インフルエンザの流行を受け、感染した鶏を大量に処分した結果、卵の供給が落ち込んだ▼値上がりとは関係ないが、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から狭いケージでの飼育を見直し、よりコストのかかる平飼いに移行する国際的潮流もある。ケッコウな取り組みだが、その場合、価格はどうなるか。値段が変わらず、「物価の優等生」と言われ続けた卵の将来の「成績」が食いしん坊には気になる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【筆洗】  2021年05月31日  07:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:農業白書 「攻め」偏重の脱却必要

2021-05-26 05:05:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②】:農業白書 「攻め」偏重の脱却必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:農業白書 「攻め」偏重の脱却必要

 政府はきのう、2020年度の農業白書を閣議決定した。

 新型コロナ禍で農業を取り巻く環境は大きく変わった。

 外食不振の影響で農産品販売は不安定な状態だ。特に供給過剰な主食用米は値崩れが心配される。

 出入国制限も長引き、外国人技能実習生頼みの生産現場では労働力不足も懸念されている。

 白書はこうした現状を列挙するが、コメは当面の飼料用転作を促し、労働力はパートタイムの「半農半X」を提唱する程度だ。喫緊の課題解決に向け、国の主体的役割を示すには十分ではない。

 一方で前政権から続く農産物輸出戦略は強化する。だが混迷の今「攻めの農業」だけで良いのか。

 需給バランスの取れた「足腰の強い農業」を取り戻す道筋こそ、農政の柱に据える必要がある。

 白書は冒頭に「輸出の新たな戦略」の項目を置いた。牛肉や乳製品、果物など27重点品目を選定し品目ごとに目標を設け支援する。

 強調するのが相手国のニーズに沿ったブランド品を作る「マーケットイン」の発想だ。それ自体に異論はないが、売れ筋の高級品以外の生産意欲が減退しないか。

 一方で白書は世界的なコロナ禍を受け感染症を食料供給のリスクに加えた。昨年は輸出規制した国もあり備えは大切だ。カロリーベースでわずか38%の食料自給率を向上させる対策を強めるという。

 だが輸出と自給という一見相反する政策にどう整合性をとるのか。具体的な記述は不足しており、ちぐはぐな印象を受ける。

 国際交渉は経緯に触れただけで昨年発効した日米貿易協定を含め国内への影響には言及していない。輸入緩和で痛んだ産地への配慮がなく、工業製品と同じく輸出を促すだけでは筋は通らない。

 コメ過剰について白書は「需給と価格の安定が崩れかねない、まさに正念場」と危機感を示す。

 だが唯一の対策とするのが作付面積で前年比5%分の過去最大規模の転作だ。道内は目標達成見込みだが、全国的な実現は厳しい。

 緊急措置として政府備蓄米の買い入れ増を求める声が現場だけでなく与党からも出ていた。白書が一切触れず無視したのは疑問だ。

 輸出に強い農家に支援を惜しまず、主食を支える農家には実質的な減産を求めるだけにもみえる。

 白書は「農業を持続可能なものとすることが重要」と唱えスマート農業、担い手育成などを図る。もし競争の勝者だけが生き残る農業ならば持続の道は険しい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【JAグループ】:最大消費地へコメ輸出本腰 対中国、現地企業と提携

2021-05-06 05:25:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【JAグループ】:最大消費地へコメ輸出本腰 対中国、現地企業と提携

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【JAグループ】:最大消費地へコメ輸出本腰 対中国、現地企業と提携

 国内消費の減少が続くコメ市場で新たな需要を開拓しようと、JAグループや卸売業者が中国へのコメ輸出に本腰を入れ始めた。長粒種も含む中国のコメの年間消費量は1億4千万トンと世界最大で、日本の約20倍。日本食ブームも背景に、業界は現地企業との提携やニーズの高い贈答用に注力するなどして高価格帯での食い込みを加速させている。

 JAグループで輸出事業を手掛けるJA全農インターナショナルは4月、中国最大級の穀物商社、中糧集団(コフコ)にコメを供給すると発表した。コフコが立ち上げた輸入米の新ブランド向けに新潟県産コシヒカリが採用され、6月から小売店などで販売する。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・国内消費の減少が続くコメ市場で新たな需要を開拓】  2021年05月06日  05:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:RCEP承認案 農業軽視の拙速な審議

2021-04-25 05:05:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②】:RCEP承認案 農業軽視の拙速な審議

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:RCEP承認案 農業軽視の拙速な審議 

 国内農業をさらなる自由化の波にさらす巨大自由貿易協定が十分な議論もなく発効へ進んでいる。

 日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国による地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の承認案が衆院を通過し、参院で審議入りした。

 日本にとって貿易額1、3位の中国、韓国と結ぶ初の自由貿易協定だ。発効すれば国内総生産(GDP)が世界全体の3割を占める巨大な経済圏が誕生する。

 それなのに衆院審議は8時間にすぎない。米国を含んでいた当時の環太平洋連携協定(TPP)の1割ほどで、あまりに拙速だ。

 政府は日本が輸入するコメや牛肉など重要5品目を関税削減・撤廃の対象外としたことから、国内農業への影響はないと説明する。

 ただRCEP参加国は農業国が多く、野菜や果物を中心に国内農業生産の減少額が5千億円を超えると指摘する専門家もいる。

 協定は憲法の規定により衆院通過後30日で自然承認されるが、これでは産地の不安は置き去りだ。参院での徹底審議が求められる。

 協定発効で日本の工業品の多くが段階的に関税撤廃となり、特に自動車産業への恩恵は大きい。

 政府はGDPを2・7%押し上げる経済効果があると試算する。

 だが、それが農業を犠牲にして得られる成果なら見過ごせない。

 日本が輸入する農林水産品の関税撤廃率は49~61%で、TPPを下回ってはいる。しかし、重要品目まで市場開放したTPPや欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)と比べても仕方ない。

 今回は対象外とした重要品目も、生産が多いオーストラリアやニュージーランドはRCEPとTPPの両方に参加している。

 さらに心配なのは、RCEP参加国で生産が盛んな野菜や果物に撤廃となる品目が多いことだ。

 その中には転作農家や新規就農者の経営を支える高収益作物も目立つ。道内が主産地のアスパラガスやブロッコリーなどもある。

 政府は韓国の野菜を基本的に撤廃対象から外し、中国産もタマネギなど国内生産団体が加工・業務用で巻き返したい品目を外したという。それでも各国は撤廃品目を狙い輸出戦略を練り直すだろう。

 それにどう対応するのか。

 品目ごとの影響分析や対応策はほとんど議論されていない。そもそも政府は農業への影響を試算すらしておらず、理解に苦しむ。

 戦略も準備も不十分なまま市場開放を加速させてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

2021-04-22 05:05:20 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

 外食などコロナ禍の消費不振が長引き、2021年産の主食用米の価格低迷が懸念されている。

 現在流通する昨年産の卸売価格は先月、全国平均で前年比5%下落した。18%下がった本州産米もあり、値崩れを起こしかねない。

 農林水産省は過去最大級の前年比5%減産が必要とするが、各県などの目安は3%減程度だ。道内は急きょ3・8%減産を決めた。

 価格の安い飼料用米への転作に対し、国や自治体の補助制度も新設されたが先行きは見通せない。

 生産側だけでなく与野党からも政府備蓄米の買い入れ増を求める声が強い。需給調整の直接関与に農水省は難色を示すが、緊急措置として早急に検討してほしい。

 農家の経営が悪化すれば生産基盤は弱まる。持続可能な食料供給態勢を維持する視点が大切だ。

 価格下落自体は消費者には歓迎すべきことだ。ただ道内産でも「ゆめぴりか」は前年並みかやや高く、下落銘柄との差は広がる。

 将来的に人気のない銘柄が選別され、高価格のブランド米が主流となる可能性も否定できない。

 国は本年度から都道府県独自の飼料用転作支援に上乗せ助成する制度をつくった。昨年度は加工用転作を促す事業を立ち上げた。農家の減収を抑える対策は必要だ。

 主食用米で国が都道府県の目標値を割り振る生産調整(減反)は18年産から廃止された。現在は国が示す全国適正量を基に生産者団体などが地域別の目安を定める。

 だが強制力はなく農家への影響力が弱い県もある。急激な転作は容易ではない。全国で30万トンに上る減産目標達成は不透明だ。

 政府備蓄米は10年に1度の不作に対応するため、毎年21万トン程度を買い入れる。5年間保管後は結局飼料用米などに売却される。

 飼料用転作に助成金を出すのなら、備蓄米を増枠した方が主食用の流通を減らす即効性があるのではないか。ただ、泥縄的な買い入れにならないよう注意すべきだ。

 気になるのは余剰米が生活困窮者に十分届いていないことだ。国は「子ども食堂」や「子ども宅食」に上限を決めて、政府備蓄米を食育目的で無償提供している。

 この上限撤廃が国会で議論になったが、農水省は「コメの需給に悪影響を及ぼす恐れがある」と及び腰だ。国民の食を守る自らの役目を忘れてはいまいか。

 コロナ危機の中、需給のアンバランスを放置すれば生産者、消費者双方にしわ寄せがくる。国は抜本的対策に踏み出す必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

2021-04-20 05:05:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:コメ過剰懸念 備蓄増枠検討すべきだ

 外食などコロナ禍の消費不振が長引き、2021年産の主食用米の価格低迷が懸念されている。

 現在流通する昨年産の卸売価格は先月、全国平均で前年比5%下落した。18%下がった本州産米もあり、値崩れを起こしかねない。

 農林水産省は過去最大級の前年比5%減産が必要とするが、各県などの目安は3%減程度だ。道内は急きょ3・8%減産を決めた。

 価格の安い飼料用米への転作に対し、国や自治体の補助制度も新設されたが先行きは見通せない。

 生産側だけでなく与野党からも政府備蓄米の買い入れ増を求める声が強い。需給調整の直接関与に農水省は難色を示すが、緊急措置として早急に検討してほしい。

 農家の経営が悪化すれば生産基盤は弱まる。持続可能な食料供給態勢を維持する視点が大切だ。

 価格下落自体は消費者には歓迎すべきことだ。ただ道内産でも「ゆめぴりか」は前年並みかやや高く、下落銘柄との差は広がる。

 将来的に人気のない銘柄が選別され、高価格のブランド米が主流となる可能性も否定できない。

 国は本年度から都道府県独自の飼料用転作支援に上乗せ助成する制度をつくった。昨年度は加工用転作を促す事業を立ち上げた。農家の減収を抑える対策は必要だ。

 主食用米で国が都道府県の目標値を割り振る生産調整(減反)は18年産から廃止された。現在は国が示す全国適正量を基に生産者団体などが地域別の目安を定める。

 だが強制力はなく農家への影響力が弱い県もある。急激な転作は容易ではない。全国で30万トンに上る減産目標達成は不透明だ。

 政府備蓄米は10年に1度の不作に対応するため、毎年21万トン程度を買い入れる。5年間保管後は結局飼料用米などに売却される。

 飼料用転作に助成金を出すのなら、備蓄米を増枠した方が主食用の流通を減らす即効性があるのではないか。ただ、泥縄的な買い入れにならないよう注意すべきだ。

 気になるのは余剰米が生活困窮者に十分届いていないことだ。国は「子ども食堂」や「子ども宅食」に上限を決めて、政府備蓄米を食育目的で無償提供している。

 この上限撤廃が国会で議論になったが、農水省は「コメの需給に悪影響を及ぼす恐れがある」と及び腰だ。国民の食を守る自らの役目を忘れてはいまいか。

 コロナ危機の中、需給のアンバランスを放置すれば生産者、消費者双方にしわ寄せがくる。国は抜本的対策に踏み出す必要がある。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月20日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張】:米価の下落 ■「米作って飯食えね」の声聞け

2021-04-09 07:15:35 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【主張】:米価の下落 ■「米作って飯食えね」の声聞け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:米価の下落 ■「米作って飯食えね」の声聞け 

 「このままでは米作りは続けられなくなる」。田植え時期を迎える農村でいま強い危機感が広がっています。コロナ禍による米の需要激減で在庫が増大し、2020年産の米価が下落していることに加え、これから作付けし、秋に収穫される21年産の米価も暴落が懸念されるからです。この事態を打開し、農家が安心して米作りに励めるようにすることは政治の重大な責任です。

 ■史上最大の減産を強制

 菅義偉政権は「過剰在庫」を強調するだけで、自らは何の対策も行わず、その“解決”をもっぱら生産者の「自己責任」による米減らしに求めています。21年産米の生産量を20年産米より36万トン減らす必要があるとする減反拡大の「指針」を20年秋に示しました。史上最大の減反拡大です。自治体や農業団体を通じ、米農家にその達成を迫っています。

 しかし、長期にわたる米の生産調整で農村に「限界だ」の声が渦巻いています。一定の支援があるとはいえ、主食米から他作物への転換には、機械導入や農地整備、販路や技術の習得など課題が多く、今回の政府の方針は生産現場に多大な負担と苦痛を与えています。

 20年秋以降、コロナの感染拡大が続き、米需要の減少が当初見込みを大きく上回っています。36万トンの減産が達成されたとしても、新米が出回る秋には大量の「過剰在庫」が繰り越されるとみられます。21年産米価が大暴落するとの不安が強まるのは当然です。

 ここ二十数年、歴代自民党政府の市場まかせの米政策により生産者米価は下落を続け、かつての1俵(60キロ)2万2000円台がいまや半値水準です。生産費が1万5000円を超えるのに農家の手取り米価は1万2000円前後です。それが1万円以下になりかねません。まさに「米作って飯食えねえ」事態です。

 大多数の米農家が赤字生産を強いられ、中小農家の多くが離農に追い込まれてきました。事態を放置すれば、大規模稲作経営も立ちゆかなくなり、米作りが総崩れになりかねません。

 いま求められるのは、コロナ禍で生じた「過剰在庫」を国の責任で市場から切り離すことです。その米を生活困窮者や学生への支援、子ども食堂などで活用することを進めるべきです。農家にとっても、販売不振に見舞われる米卸や小売業者にも、コロナで苦しむ困窮者にも救いとなる対策です。

 国内生産には減反拡大を強いながら米輸入を“聖域”扱いする政府の農政にも農家の怒りが高まっています。ミニマムアクセス(最低輸入機会)米の削減・中止に踏み出すべきです。麦や大豆、ソバなどについて増産に見合って輸入を減らすことも、水田の米からの転換を進める上で欠かせません。

 ■事態打開する政治実現を

 日本共産党は国会の内外で米の危機的事態を打開する対策を再三求めてきました。米の需給と価格の安定に国が責任を持ち、生産費を償う米価の実現など米政策の抜本的転換も訴えています。

 農家の叫びに耳を貸さず無責任な米政策に固執する菅政権の姿勢は重大です。来たる総選挙で菅政権を退場に追い込み、市民と野党、農業者が力を合わせて連合政権を樹立することは、米の危機を打開する確かな道です。

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】 2021年04月07日  07:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:乳価据え置き 経営安定へ支援拡充を

2021-04-02 05:05:35 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説②】:乳価据え置き 経営安定へ支援拡充を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:乳価据え置き 経営安定へ支援拡充を 

 ホクレンと乳業メーカー15社が2021年度の道内産乳価で、飲用、乳製品用すべてを据え置くことに先週合意した。交渉難航で例年より3カ月遅い決着となった。

 コロナ禍による外食不振などで生乳の供給過剰が続き、生産者側にとって不利な状況だった。現状維持できたことは評価したい。

 生乳廃棄を避けるためチーズなど加工品の在庫は膨らむ。道産販売量を確保するため、メーカーが安い輸入品から置き換えた分は価格を割り引くことも決まった。

 これを含めると酪農家が受け取る実質乳価は1キロ当たり2円下がり100円程度という。増産意欲を保つぎりぎりの線といえよう。

 道産品増産を掲げる国や道は、可能な限り輸入品から切り替える施策や乳製品の消費拡大に力を入れ、現場を支えてほしい。

 全用途乳価据え置きは2年連続となる。道内の20年度生乳生産見込みは最多の418万トンで、21年度はさらに2%増の方向だ。機械化や集約が進んだ効果という。

 道外の生産は横ばいで不足分を道産が賄う。特にチーズや脱脂粉乳など乳製品の比重は高い。

 国は昨年策定した基本方針で、30年度の生乳生産目標を18年度比7%増の780万トンとした。うち道産は最大16%増の462万トンで乳製品の国産強化を図る。

 中国を中心とした世界的な消費増で、将来安定的な輸入が見込めない事態を想定したためだ。

 だが日欧経済連携協定(EPA)などで乳製品の関税が段階的に下がったうえ、コロナ禍の需要減で輸入品価格は下落傾向という。

 このため国は21年度のバター輸入枠を前年度から半減する。コロナ緊急対策には、脱脂粉乳の輸入品を国産に置き換えることなどへ財政支援も盛り込んだ。

 一方で道内酪農家からは資材や飼料、輸送のコスト増を訴える声が強い。経営が圧迫されて減産に踏み切れば元に戻すのは難しい。国や自治体は生産基盤強化も含めたさらなる支援を模索すべきだ。

 気になるのは、先月の規制改革推進会議で複数の委員が生乳流通でホクレンのシェアの高さを問題視し、分割に言及したことだ。

 だが、今回の乳価のように、生産者がメーカー側との価格交渉力を持つには一定の規模が必要だ。

 新規参入を促した18年の法改正後、一部の卸業者が品質を理由に道内の集荷を停止して生乳廃棄に至ったトラブルも記憶に新しい。

 流通改革は酪農家の利便性と経営安定にこそ主眼を置きたい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年04月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【パックご飯】:コロナ&防災で好調 生産量過去最高

2021-03-14 07:39:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【パックご飯】:コロナ&防災で好調 生産量過去最高

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【パックご飯】:コロナ&防災で好調 生産量過去最高

 電子レンジで温めて食べるパックご飯の国内生産量が右肩上がりだ。5年連続で増加し、2020年は22万トンを超え、過去最高となった。

サトウ食品のパックご飯(同社提供=共同)サトウ食品のパックご飯(同社提供=共同)

 新型コロナウイルス感染拡大のため、家で食事する機会が増え、手軽に食べられるよう常備する傾向が強まったことなどが背景にある。食品メーカーも市場拡大に力を入れている。農林水産省の食品産業動態調査で、レトルト米飯と無菌包装米飯の生産量を合計して算出した。国内生産量は10年には11万8148トンだったが、東日本大震災が起きた11年には災害備蓄用などの需要が高まり、13万6939トンに増えた。

東洋水産のパックご飯(同社提供=共同)東洋水産のパックご飯(同社提供=共同)

 新型コロナの影響で消費量が増え、20年には22万4430トンとなり、統計のある1999年以降の記録を更新。人口減少で主食用米の消費量が年々減少する中、関連商品では数少ない成長分野となっている。サトウ食品(新潟市)は工場をフル稼働して生産している。佐藤元社長(56)は、約30年前の発売当初は売れなかったが、相次ぐ災害や新型コロナで便利さや味が認知されるようになったと指摘。「まだ食べたことがない人やパックご飯を認めていない人も多い。市場はまだまだ伸びるだろう」と期待を示した。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・企業・産業・電子レンジで温めて食べるパックご飯の国内生産量が右肩上がり】  2021年03月14日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【秋田県】:あきたこまち新品種、デビューへ 25年にも、既に登録出願

2021-01-23 14:32:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【秋田県】:あきたこまち新品種、デビューへ 25年にも、既に登録出願

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【秋田県】:あきたこまち新品種、デビューへ 25年にも、既に登録出願

 秋田県は、コメの新品種「あきたこまちR」を開発した。艶や香りに優れ、品質が安定しているあきたこまちの魅力はそのままに、土壌に含まれる有害物質カドミウムをほとんど吸収しないように改良した。既に農林水産省に品種登録を出願した。2025年の市場デビューを目指す。

 農業環境技術研究所(現在の農業・食品産業技術総合研究機構、茨城県つくば市)と12年から共同で開発してきた。カドミウムの蓄積量が少ない品種「コシヒカリ環1号」と、あきたこまちを掛け合わせてできたコメに、さらに7回、あきたこまちを交配した。遺伝子はあきたこまちとほぼ同じという。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・秋田県・コメの新品種「あきたこまちR」を開発】  2021年01月23日  14:32:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【クローズアップ】:ゲノム編集、食を救うか 1号トマト、来年流通

2021-01-18 02:05:10 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【クローズアップ】:ゲノム編集、食を救うか 1号トマト、来年流通

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【クローズアップ】:ゲノム編集、食を救うか 1号トマト、来年流通

 遺伝子を効率よく改変できるゲノム編集技術で開発された食品が、2022年にも国内で流通する見通しだ。農畜産業分野で研究開発が進むが、食品にこの技術で開発したことを表示する義務がないことなどに懸念の声もある。ゲノム編集食品は、食卓に定着するのだろうか。

 「すでに3700件を超える申し込みをいただいています」。筑波大発のベンチャー企業「サナテックシード」(東京都港区)には、ゲノム編集技術で品種改良したトマトの栽培モニターへの応募が相次いでいる。

 サ社は20年12月、ゲノム編集食品として初めて、このトマトの流通販売を厚生労働省に届け出て受理された。今回は本格流通に先だって、家庭菜園向けに無償提供する企画で、届け出直後に募集を開始した。従来の新品種などで同様のキャンペーンを実施すると、応募は多くても300件程度だといい、10倍以上の反響だという。

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  元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【クローズアップ】  2021年01月18日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【「和牛甲子園」】:水沢農“牛児”奮闘、白河越え後輩に

2021-01-16 07:00:30 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【「和牛甲子園」】:水沢農“牛児”奮闘、白河越え後輩に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【「和牛甲子園」】:水沢農“牛児”奮闘、白河越え後輩に

 和牛を肥育する“高校牛児”が取り組み内容と枝肉品質を競う「第4回和牛甲子園」(JA全農主催)がオンラインで開催され、水沢農(岩手)が奮闘した。

枝肉評価部門で優良賞を受賞した水沢農の枝肉断面(JA全農提供)枝肉評価部門で優良賞を受賞した水沢農の枝肉断面(JA全農提供)

枝肉評価部門で優良賞を受賞した水沢農の枝肉(JA全農提供)      枝肉評価部門で優良賞を受賞した水沢農の枝肉(JA全農提供)

取組評価部門で優良賞、枝肉部門で優良賞と審査員特別賞を受賞した水沢農の生徒たち(撮影・鎌田直秀) 取組評価部門で優良賞、枝肉部門で優良賞と審査員特別賞を受賞した水沢農の生徒たち(撮影・鎌田直秀)

 「取組評価部門」では優良賞。昨年度は王者となった「枝肉評価部門」でも優良賞と審査員特別賞を受賞した。卒業後は肉牛の繁殖農家に勤めることが決まっている佐藤翼さん(3年)は「目標としていた総合最優秀賞は逃してしまったけれど、2頭出した『白清3号』が優良賞、『陸助号』が審査員特別賞を取れたので、来年につなげてほしい」。高校野球と同じく“悲願の優勝旗白河越え”を後輩たちに託した。

 今回は牛のストレス軽減をテーマに掲げてきた。「牛舎の敷料をフカフカにすると肉質につながる」と地元関係者の助言を受け、おがくずを約25センチの高さまで敷き詰める形式に変更。餌も酒かすやトウモロコシなどを与えて脂肪の質につなげた。「バラの厚さなども評価していただけた」と高品質の岩手の和牛育成に幅を広げた。

 東北勢では8校が出場。初出場の村山産(山形)は「取組部門」で優良賞を受賞した。【鎌田直秀】

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・和牛を肥育する“高校牛児”が取り組み内容と枝肉品質を競う「第4回和牛甲子園」(JA全農主催)】  2021年01月16日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【「和牛甲子園」】:市来農芸V2、管理難のコロナ禍克服

2021-01-16 07:00:20 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【「和牛甲子園」】:市来農芸V2、管理難のコロナ禍克服

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【「和牛甲子園」】:市来農芸V2、管理難のコロナ禍克服 

 和牛を肥育する農業高校の高校球児ならぬ“高校牛児”が、牛への取り組みと肉質を競う全国大会「第4回和牛甲子園」(JA全農主催)が開催され、市来農芸(鹿児島)が総合最優秀賞となり連覇を達成した。

枝肉評価部門で最優秀賞を受賞した市来農芸の枝肉(JA全農提供)      枝肉評価部門で最優秀賞を受賞した市来農芸の枝肉(JA全農提供)

枝肉評価部門で最優秀賞を受賞した市来農芸の枝肉断面(JA全農提供)     枝肉評価部門で最優秀賞を受賞した市来農芸の枝肉断面(JA全農提供)

2連覇を達成した市来農芸の生徒たち             2連覇を達成した市来農芸の生徒たち

 取組評価部門、枝肉評価部門でともに最優秀賞を受賞する完全V。春夏の甲子園など大会中止が相次いだ高校生の思いも背負い、コロナ禍による休校措置などの管理困難な状況も乗り越えた。大会はオンライン形式に変更されたが、過去最多33校47頭が参加して、丑(うし)年の年初をモ~り上げた。

   ◇   ◇   ◇

 昨年度王者が“高校牛界”を牛耳った。「取組」ではハツラツとした発表で3年連続最優秀賞獲得。「枝肉」でも、初の頂点に立った。副主将を務める上田平夏美さん(3年)は「3年間、牛に青春をささげてきた。完全優勝が目標だったので最高にうれしい。自信を持つことも出来たので、これからも牛との挑戦を続けていきたい」。自身は牛や畜産の魅力を伝える教師を目指して進学するが、後輩たちの3連覇も願った。

 繁殖から出産、育成や出荷までのすべてを経験するなかで、「甲子園」に向けての新たな挑戦が結実した。前回は優良牛がテーマだったが、「おいしい肉は健康であることが一番」と話し合って作戦変更。まずは病気をなくすことによる牛のストレス軽減を図った。尿石症予防のため、健康管理徹底に重点を置き、少しでも予兆があれば利尿剤を投与するなど、牛の“サイン”を見逃さなかった。配合する餌も、米ぬかからオレイン酸含有量の多いトウモロコシやきな粉に。ロースやバラの部位の分厚さや、均等な脂肪など、肉質の“得点”アップにも直結。大舞台で“特大ホームラン”を連発した。

 昨年3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による休校や自宅待機も続き、牛との時間も制限された。担当教諭しか携われない時期もあったが、電話で連絡を密に。会えない期間が、牛への愛情をさらに深めた。配合飼料やハエ対策、牛舎改良など、他校のさまざまな発表も収穫だ。「コロナでいろいろな大会が中止になった中で、開催していただけたことに感謝。同級生も応援してくれましたし、支えてくれた地域の方やJA職員の方にも感謝したい」。鹿児島黒牛とともに、深紅の大優勝旗をギュ~とつかんだ。【鎌田直秀】

 ◆和牛甲子園 

 世界的に人気の高い黒毛和牛を育てている農業高校生徒の評価の場として、17年度から開催。高校生らしい工夫を凝らした育成から出荷までの過程を発表形式で競う「取組評価」と、2年から3年程度で出荷される牛の肉質を競う「枝肉評価」の2部門で審査。第1回は15校の参加だったが、33校に増加。第1回、第2回は飛騨高山(岐阜)が連覇。大会参加や他校との交流による将来の就農意欲や、知識、技術向上を図る目的を担う。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・和牛を肥育する“高校牛児”が取り組み内容と枝肉品質を競う「第4回和牛甲子園」(JA全農主催)】  2021年01月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【きょうの潮流】:01月03日

2021-01-04 04:14:50 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【きょうの潮流】:01月03日

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【きょうの潮流】:01月03日

 生物学、民俗学をはじめ幅広い分野に業績を残した在野の学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす)の代表作『十二支考』にはただ一つ、今年のえとである丑(うし=牛)の章がありません▼和歌山県田辺市にある旧宅隣の南方熊楠顕彰館で企画展「書かれなかった十二支考『丑』」を開催中です。牛について書いたメモや、原稿を催促された手紙を展示しています▼博覧強記の南方が、えとにかかわる古今東西の伝説、伝承を自由闊達(かったつ)に展開しながら、なぜ牛だけ欠けたのか。資料があまりに膨大なため「全然出来おらず」と弟子への手紙で訴えています。未完に終わった事情はこのあたりにあるようです▼南方を悩ませたほど、牛と人間のかかわりは密で古い。2万年前の作とされるラスコー洞窟の壁画には野牛の姿が生き生きと描かれています。ヒンズー教では神聖な生き物です。国連食糧農業機関(FAO)の推計によると、家畜として飼育されている牛は約15億頭に上ります▼古代中国では地を耕す牛に万物を育てる願いを託しました。最古の部首別漢字字典『説文解字(せつもんかいじ)』には、天地の事柄は牛を引く耕作に始まると書いてあるといいます。「物」の字のへんが牛であるのもそのためとされます▼100年ぶりに感染症の世界的流行に見舞われて、昨年、社会のあり方を問い直す動きが各地でわき起こりました。凍った大地からすべての物を伸ばす力を持つといわれる牛の年、人間の尊厳を中心に据えた世へ、牛のようにしっかりと地を踏みしめて歩む年にしたいものです。

 元稿:しんぶん赤旗 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【きょうの潮流】 2021年01月03日  04:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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