【社説②】:ゲノム編集食品 食べるなら納得ずくで
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ゲノム編集食品 食べるなら納得ずくで
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年12月24日 07:53:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:ゲノム編集食品 食べるなら納得ずくで
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ゲノム編集食品 食べるなら納得ずくで
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年12月24日 07:53:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:スマート農業 地域特性への配慮必要
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:スマート農業 地域特性への配慮必要
気象や農地の情報をデータ化し、無人トラクターやドローンなどを駆使するスマート農業の実用化に向けた動きが加速している。
政府が、2025年にほとんどの農業者が「データを活用した農業を実践する」ことを目標にした実証事業に取り組んでいることが、背景にある。道内では空知や十勝地方など11カ所が対象だ。
狙いは深刻な担い手不足を補うことのほか、高齢化が進む中で「熟練農業者のノウハウ」を電子データとして蓄積し、引き継いでいく目的もある。
ただ課題は多い。初期費用の負担が重いうえ、大規模農地や中山間地などで、それぞれ必要な技術が異なることだ。
国は規模や栽培品目に応じた導入モデルをつくり、併せて助成など支援策も示してほしい。
今年の農林水産省の調査では、基幹となる道内農業者数は5年前から17%減少した。1経営体当たりの面積は30ヘクタールと全国平均の10倍に上る。大規模集約が進む中、スマート化のメリットは大きい。
農水省の実証事業では、稲作の中間報告で大規模、中山間地などごとに従来と効果を比較した。
無人トラクター、農薬散布ドローン、リモコン式草刈り機などを導入した結果、大規模水田では労働時間が13%削減できた。このうち農薬散布作業は89%の短縮となった。
中山間地も12%減だが、草刈り作業では斜面でエンジンが停止して逆に作業時間は増加した。
人件費は4~13%減る一方で、設備投資がかさみ、すべての事例で利益が減少したという。
農水省はさらに検証し、収支見通しが立つ経営モデルを作成する方針だ。初期投資を抑えるため、共同利用への支援も検討する。導入を促すには具体策が必要だ。
技術革新は日々進んでいる。NTTグループは岩見沢市での実証実験で、電波状態が悪い中山間地でも、無人トラクターへの通信が途切れないよう人工知能(AI)が制御することに成功した。
こうした知見も取り入れ、道や自治体もJAと連携し基地局整備などを後押ししてほしい。
一方で、機器の種類が増え、現場に戸惑いがあるのも事実だ。技術に詳しい人しか使いこなせないようでは、普及は望めない。
高齢者やアルバイトでも簡単に操作ができる仕組みが望ましい。
メーカーなどに相談し情報提供を受ける場も欠かせない。地域が技術を共有する態勢が重要だ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年12月01日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【余禄】:インゲンマメにその名を残す…
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:インゲンマメにその名を残す…
インゲンマメにその名を残す中国の禅僧、隠元(いんげん)和尚は江戸前期に来日し、万福寺(まんぷくじ)(京都府宇治市)を開いた。同寺にはテーブルに大皿で供される中国式の精進料理「普茶(ふちゃ)料理」が伝わる。名物の一つが大豆や葛(くず)など植物性の素材で肉や魚に見立てた献立を作る「もどき料理」だ▲中国では古代から大豆を活用してきた。10世紀には豆腐が肉の代わりに食べられていた記録が残る。「素菜」と呼ばれる精進料理のレストランでは大豆たんぱくを使い、見栄えも食感も肉そっくりに仕上げたメニューが売り物だ▲その中国に大豆たんぱくなどを原料にした米国産のハイテク「代替肉」が進出した。健康志向のベジチキンやベジバーガーに使われ、「豆腐と代替肉のどちらが優秀か」などと話題を呼んでいる▲最新のバイオ技術を応用した代替肉は本物とほとんど区別が付かない。肉文化の欧米ではさらに議論が高まる。畜産業界はバーガーなど肉を連想させる言葉の使用に反対している。ベジタリアン(菜食主義者)以外にも消費が広がることを警戒しているのだ▲肉のうまさは捨てがたい。一方で牛のゲップが温暖化の一因といわれるなど畜産の環境負荷は大きい。地球の将来を考えれば、代替肉の普及は悪いことではあるまい▲日本でも大手ファストフードチェーンなどが代替肉を使った商品の販売や開発を進める。代替肉の製造を始めた起業家もいる。日本人は古くから納豆やみそなど大豆加工品に親しんできた。欧米よりは抵抗が少ないか。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2020年12月01日 02:17:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【金口木舌】:食材が取り持つ縁
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:食材が取り持つ縁
ヘチマの味噌煮にゴーヤーチャンプルー。煮物、炒め物サラダへと七変化し食卓を飾るツナ缶。「トゥーナー」という呼び名の方がなじみ深い人も多いだろうか
▼ジューシーや冷やしそうめんのめんつゆに入れる人もいる。もはや調味料代わりである。お中元やお歳暮にツナ缶をケースで贈る沖縄の文化は、全国でも珍しいという
▼ツナ缶を製造するはごろもフーズによると、県民1人当たりの消費量は全国平均の4倍以上に上る。これだけ県民食としてなじんでいる背景には、食材が傷みやすい亜熱帯の気候で、缶詰が重宝するという事情だけでなく、柔軟にアレンジしやすいということもあるだろう
▼米国に統治された沖縄は、本土と異なる独特の食文化が発展した。1960年代から72年の日本復帰にかけて輸入加工肉食品の消費が急増した。ポーク缶やコンビーフ缶が売れ、研究者によると当時、児童の体重が急激に増加した時期と重なるという指摘もある
▼ポークランチョンミートの輸入販売元である富村商事は、輸入国のデンマークから親子3代にわたり名誉メダルが授与された。「沖縄県の消費量は世界トップレベル」というのがその理由
▼はごろもフーズは、全国トップのツナ缶の消費を誇る沖縄へ「恩返しを」と、首里城復興に1億円を寄付する。食生活を支える「トゥーナー」で首里城再建。不思議な縁だ。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2020年11月11日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:農業増産目標 オール北海道で達成を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:農業増産目標 オール北海道で達成を
道が2030年に農業産出額を18年比8%増の1兆3600億円に引き上げる目標を示した。
道内食料自給率はカロリーベースで72ポイント増の268%を目指す。国内自給率が30%台に落ち込む中、食料基地としての役割強化を打ち出したものだ。
一方、人口減で農家戸数は3割減少すると見込む。集約化やITなどによる省力化を進め、面積当たりの収量増を図るという。
前向きな展望を打ち出したことは評価したい。増産達成には、基盤整備や人材確保に向けた具体的な道筋を描くことが欠かせない。
新型コロナ禍で雇用構造や市場動向も変わり始めた。農業関係者の対応だけでは限界がある。オール北海道で臨む態勢を整えたい。
目標は第6期道農業・農村振興推進計画の素案に盛り込まれた。来年3月に決定する。
生産者団体との協議も踏まえ、すべての主要品目で増産が可能とした。多くが作付面積減となるが、効果的な輪作や多収品種利用などに基づく収量増を目指す。
必要な新規就農者は年670人とした。現状に比べ27%増だ。担い手増に加え、短期雇用でも働きやすい環境を整える必要がある。
道内各地の農業団体などからは「地域や道内全体で労働力を供給できる仕組みやアルバイト育成組織が必要」「林業や漁業などとも連携を」との意見が出た。
コロナ禍で外国人実習生の確保が不安定な一方、観光関連など仕事が激減した業種もある。商工団体なども交え、地域で人材の流動化を促す工夫が求められる。
省力化には、ドローンや自走式トラクターなどスマート農業導入が重要だ。帯広畜産大とNTT東日本が共同研究するなど実用化の動きは活発化している。
個別の導入では設備投資に見合う効果が乏しいとの声も多い。高齢農家が増える中、使い勝手の良さも大事だ。メーカーや技術者と協力し、地域で効率的に利用できる仕組みをつくる必要がある。
物流の強靱(きょうじん)化も忘れてならない。今夏は道外で深刻な生乳不足に陥り、道内からの航路運搬量を15%増やす異例の供給となった。
JR赤字路線の廃止論議次第で貨物輸送力が大幅に低下する恐れもある。路線維持だけでなく、北海道新幹線に貨物新幹線導入を図るなど斬新な戦略も重要だろう。
増産に向けた課題解決は、農業のみならず北海道全体の将来を切り開くことになる。広い視野で政策を展開すべきだ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年11月02日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:米価下落 緊急の需給調整が必要
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:米価下落 緊急の需給調整が必要
2020年産米の価格下落が広がっている。消費者のコメ離れに、新型コロナ禍の外食需要激減が拍車をかけた格好だ。
主食用米の卸売価格は全国平均で前年比4%下落した。9%も下落した銘柄もある。道内産も一部で6%ほど安い。
米価下落は6年ぶりとなる。国が生産調整(減反)を廃止した18年以降は初めてだ。
JA全中は、新米のうち20万トン程度の販売を来秋以降に先送りする方向だ。だが、これで来年に米価下押しが強まる恐れがある。
緊急対応として、政府は備蓄米買い入れ増なども検討すべきだ。さらに、飼料用や加工用への用途変更を一層促す施策も必要だ。
主食の安定供給の責任は国にある。減反政策への後戻りは難しいが、廃止の影響を検証し、米価安定に向けた方策を求めたい。
供給過剰を受け、農林水産省はおととい、21年産米の全国の適正生産量を679万トンと決めた。これは、今年産の収穫見通しより56万トンも少ない。
減反下の生産目標に代わり、これらを基に道府県の生産者団体などが「生産の目安」を作成する。
生産管理に協力的な道内は3年連続で目安を守ってきた。専業農家が多く、収穫量の増加が値崩れにつながるとの警戒感は強い。
だが、目安に強制力はない。農水省によると、今年は全国の新米予想収穫量が適正生産量を20万トン程度超過する見通しだ。天候に恵まれ、主産地の作柄が軒並み「やや良」なのも影響した。
そのうえ、毎年10万トン減っていたコメ需要は、コロナ禍で今年6月までの1年間では22万トンも減った。小売店や外食産業からの値下げ圧力は強まる一方だ。
価格下落は消費者にとってはありがたい。だが、JA関係者からは「本州米の安売り合戦で道産米が売れ残るのでは」との懸念の声も聞かれる。
生産目安を守り、国産米の品質維持を支えてきた道内のコメ農家が割りを食うのは納得できない。
道内は作付面積、収穫量ともに全国の7%程度を占め、新潟県と並ぶ最大規模のコメ生産地だ。
先行きが見えないからと急激に転作が進めば、一転して全国で供給不足に陥る。輸入米に頼らざるを得ない構造になりかねない。
急激な価格変動は市場自体を破壊してしまう。農家が安心して中長期的な経営ができるよう、国は需給バランスを保つ努力を怠ってはならない。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年10月18日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【卓上四季】:食糧の安全保障
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:食糧の安全保障
内戦が19年も続いていたウガンダ北部の町で、世界食糧計画(WFP)のモラト所長が言った。「最も怖いのは、世界に忘れ去られることです」。2005年の夏のことだった▼反政府勢力による住民殺害が横行し国内避難民は200万人に上った。コソボ紛争に匹敵する50万人以上が犠牲となったが、国際社会の関心は低かった。食料を奪われる村にとって、WFPの支援は文字通り命綱となっていた▼ノーベル賞委員会はきのう、今年の平和賞をWFPに授与すると発表した。推計で年間80カ国以上の9700万人を救い、飢えが紛争や戦渦の要因となることを防いだと評価した▼コロナ禍で貧困層の栄養状態の低下は深刻だ。授賞理由では「食料は最も有効なワクチンだ」との言葉もあった。関心の高まりで、支援に充てる拠出金や寄付の増加も期待される。歓迎したい▼ソ連が撤退したアフガニスタンで1990年代、人々を苦しめたのは干ばつだった。国際機関も「400万人が飢餓線上にある」と警告したが、イスラム勢力のタリバン政権に対し、世界は食糧を含む制裁を課した。その後、米中枢同時テロが発生。アフガニスタンは戦場となった▼80年代から医療支援やかんがい活動に取り組んだ中村哲さんが、「食料こそ最大の安全保障です」と説いていたことを思い出す。その意味をあらためてかみしめるWFPの平和賞受賞である。2020・10・10
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】 2020年10月10日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:1次産業政策 競争一辺倒でいいのか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:1次産業政策 競争一辺倒でいいのか
7年8カ月に及んだ安倍晋三前政権で、農林水産業は常に規制改革の標的にされた。
菅義偉首相は官房長官として、地域農協との分断につながるJA全中の一般社団法人化などを進めた。首相就任会見では、競争導入で農水産物の年間輸出額が「9千億円まで伸びた」と強調した。
酪農など国の支援事業で大規模化、集約化が進む分野もある。だが、多くの現場は生産者人口の減少と高齢化で疲弊している。
新型コロナ禍で世界的に需要が減退し、「25年に2兆円」とした輸出目標の達成も厳しい。
規制緩和で企業などの新規参入を進め、高く売れる農水産物の輸出を拡大するという成長シナリオは事実上頓挫したといえる。
立ち止まり、国内の生産基盤強化に軸足を移すべきだ。
次の国会では種苗法改正案が審議される見通しだ。道産米ゆめぴりかなど登録品種の不正な海外持ち出し禁止が主な狙いで、それ自体は知的財産保護にかなう。
だが、国内農家が登録品種から種や苗を育てた「自家増殖」も許可が必要となり、許諾料の負担が生じるとの懸念は消えない。
安倍政権は2年前、コメなどの種子開発を都道府県に義務付けた主要農作物種子法を廃止した。新たな法律で、その研究成果を民間へ提供するよう促していた。
これでは、従来は「公のもの」だった在来種を基に、多国籍企業などが新品種に育成して登録すれば、独り占めできてしまう。
国有林では今春の改正法施行で最長50年間、企業に対し大規模に伐採・販売する権利を与えた。
12月施行の改正漁業法は、資源保護のため漁獲上限を設ける魚種を漁獲量全体の8割に拡大する。
追加検討の15魚種には、道内の漁協が自主規制で資源を増やしてきたホッケも含まれる。一方で漁協などへの漁業権優先割り当てを廃止し、企業への開放を強める。
気がかりなのは、一連の政策がすべて、規制改革推進会議や未来投資会議など官邸の意を体した有識者会議から発信されたことだ。
人口減で国内市場が縮小する中、自動車や電機のように「日本の食」を輸出産業化する考えだ。
だが、コロナ禍に直面し、ロシアなどは一時、輸出規制を強化して自国の食料確保を優先した。
日本は昨年度の食料自給率がカロリーベースで38%にすぎない。輸出増よりも安定的な国内供給が先だろう。過度な競争で、現場がつぶし合う余裕はないはずだ。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年09月22日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【和歌山県】:モモ1玉108万円糖度31度超、農園出品
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【和歌山県】:モモ1玉108万円糖度31度超、農園出品
和歌山県は13日、糖度31度超とされるモモ1玉を、和歌山市の山本農園が108万円で産地直送ネット通販「ポケットマルシェ」に出品したと発表した。
糖度31度超とされるモモが出品された産地直送ネット通販「ポケットマルシェ」のページ(共同)
出品者は山本康平さん(29)で、品種は「川中島白桃」。12日朝に収穫し、糖度の計測器で複数回調べたところ、いずれも31度台を示したという。県食品流通課の担当者は「糖度31度超は、この品種では通常13~16度程度なので非常に高い」としている。
高い糖度を目指して、さまざまな試行錯誤を重ねているという山本さん。「今年は日照不足だったが、糖度の高いモモを栽培できると証明できた」としている。 (共同)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・産業・和歌山県】 2020年08月13日 23:44:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:種苗法の改正 農家の不安解消が先決だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:種苗法の改正 農家の不安解消が先決だ
ブランド農作物の海外流出防止を掲げた種苗(しゅびょう)法改正案は、今国会での成立が見送りとなりそうだ。農家の一部に根強い不安がある中、十分な審議時間を確保できないためだ。
ブドウのシャインマスカットやイチゴのあまおうなど、国内で開発された種苗が海外に持ち出され、現地ブランドで栽培される事例が相次いだ。改正案は、新品種を開発した育成者が栽培地を指定できるようにして、流出を防ぐ。
焦点は、農家が収穫物から種を取り出して収穫を繰り返す「自家増殖」の制限だ。現在は原則自由だが、育成者の許諾なしには行えない仕組みに変え、種苗の管理を徹底する。
これに対し、自家増殖をしている農家は、許諾料などで種苗の費用が高騰しないか心配している。
女優の柴咲コウさんがツイッターで問題提起し、注目を集めた。
背景には、品種開発の担い手を公的機関から民間に移す規制緩和を、政府が進めていることへの警戒感がある。
例えば、都道府県がコメなどの種子を安定的に供給するよう定めた主要農作物種子法が2018年に廃止され、「多国籍企業が参入して国内市場が寡占状態になり、種苗価格をつり上げるのではないか」といった疑念を招いた。
自家増殖が規制されるのは品種登録されたブランドだけで、全体の約1割にとどまるという。営利目的でない農業試験場などの公的機関が保有する種苗も多い。このため農林水産省は「農家の負担はほとんど増えない」と説明する。
ただ、懸念を打ち消すための取り組みは十分とはいえない。
不公正取引の監視体制を強化するなど、農家の不安を解消する手立てが求められよう。種苗の価格交渉を農家に代わって農協がまとめて行い、交渉力を高めるといった工夫も必要だ。
そもそも、品種開発には10年単位の期間と多額の費用がかかる。育成者も適正な利益を得ないと開発を続けられないのは確かだ。それでも、農家の収量や販売が増えて所得が増えるような関係を築かなければ、理解は進まない。
農家ばかりに負担が集まる制度にならないよう、徹底した議論を求めたい。
元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年06月04日 02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:コロナと食料 農業再生は「安全保障」
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:コロナと食料 農業再生は「安全保障」
田植えの季節。「密」とは無縁の空の下、粛々と作業が進む。この風景が消えていき、耕作放棄地が増えている。グローバルなモノの流れが突然止まる「コロナの時代」。農業再生は急務である。
国連の世界食糧計画(WFP)は、新型コロナウイルスの影響で、食料不足に陥る人が激増すると予測する。
ただでさえ温暖化の進行で、高温による大規模な森林火災や干ばつが頻発し、穀物生産や畜産が、深刻な打撃を受けている。
その上に、コロナ危機の拡大による物流の停滞や、農作業の人手不足などが重なって、世界全体の飢餓人口は今年、二億六千五百万人に上り、昨年から倍増する恐れがあるという。
まず直撃を受けるのは、気候変動の影響を受けやすく、食料を輸入に頼るアフリカなどの途上国には違いない。だが、輸入依存は日本も同じ。一九六五年には七割を超えていたカロリー換算の食料自給率は37%に落ち込んだ。半分以上を輸入に頼るということだ。
現政権は「成長戦略」の名の下で、高級農産物の輸出拡大を念頭に、農業の大規模化、効率化には力を注ぐ。しかしその陰で、農家全体の高齢化は進み、耕作放棄地は増える一方だ。生産基盤の弱体化は止まらない。
コロナ禍の拡大に伴って、ロシアなどが穀類などの輸出制限に踏み切った。世界貿易機関(WTO)は、自国の食料不足が危機的状況に陥った場合には、輸出を止める権利を認めている。「ほとんど影響は出ていない」と農林水産省は言うものの、温暖化が進行し、ウイルスとの“共存”を強いられる時代である。これからも、必要な時に必要なだけ、食べ物を売ってもらえる保証はない。
例えばかつて、牛海綿状脳症(BSE)の流行で牛丼が姿を消した。今、コロナのまん延する米国で食肉の生産が減少し、豚肉の輸入に支障が出始めている。中国からの野菜輸入も一部途絶えた。
海外依存リスクの顕在化-。コロナ禍の教訓だ。極端なマスク不足も極端な海外依存が原因だった。農産物は自然の恵み。マスクのように、すぐには増産に転じられない特殊な商品だ。農業再生は“危急重要”の課題である。
このごろ盛んに「食の安全保障」と言う。それが国民の暮らしを守るということならば、核心は豊かな田畑を守るということだろう。コロナ危機を、いびつな成長戦略をただす転機にしたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年05月18日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:コロナと農業 輸入頼み脱却が必要だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:コロナと農業 輸入頼み脱却が必要だ
新型コロナウイルスの感染拡大で、ロシアやベトナムなど少なくとも13カ国が自国の食料確保を優先し、農産物や食品の輸出を規制していることが明らかになった。
これに対し、主要20カ国・地域(G20)の農業担当相は先週の緊急テレビ会議で、農産物貿易を不当に制限しないことで一致した。
世界には農業の生産基盤を持たない国も多く、貿易を通じた食料の安定供給体制の維持で国際協調を打ち出した点は評価できる。
これまで安穏と輸入頼みを続け、食料自給率の低迷を放置してきた日本政府は、急速な輸出規制の広がりを大きな教訓と受け止めなくてはならない。
輸出入依存を前提とした食料・農業・農村基本計画を見直し、国民が必要とする食料を国産で賄える方向に農政を転換すべきだ。
国連食糧農業機関(FAO)など三つの国際機関は今月1日、新型コロナ危機に適切に対応できなければ「輸出制限のうねりが起きて国際市場で食料品が不足しかねない」と連名で警鐘を鳴らした。
万が一にもそうした事態になれば、日本は最も大きな打撃を受ける国の一つとなる。
2013年の主要7カ国(G7)のカロリーベースの自給率はカナダ、米国、フランスが100%を上回り、ドイツは95%、英国とイタリアも60%台と、少なくとも6割以上を自国で確保している。
日本の39%は極端に低く、しかも18年度には37%と過去最低を更新するありさまである。
政府の危機への備えが甘すぎたと言われても仕方ないだろう。当面は国際社会に安定供給を訴えていくしかないとしても、中長期的には自給率の向上を最優先に政策に取り組む必要がある。
政府は先月末に新しい食料・農業・農村基本計画を閣議決定したばかりだが、今後10年の指針に足る中身かどうか再検討が必要だ。
基本計画は、10年後の自給率を45%に高める一方、農林水産物・食品の輸出を昨年の5倍超の5兆円に引き上げる目標を掲げた。
そもそも45%の自給率は旧計画では25年度に達成するはずの数値であり、実質的な目標先送りである。国家として輸出に力を割く状況なのか、よく考えてほしい。
今回のコロナ禍では、農場で働くはずだった外国人技能実習生が来日できず、作物の収穫に支障が生じる恐れも出ている。
食料も働き手も外国に頼る現状を変え、国内の生産基盤を強化するためにやるべきことは多い。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年04月30日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説①】:種苗法改正 農業崩壊にならないか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:種苗法改正 農業崩壊にならないか
国の登録品種から農家が種取りや株分けをすることを禁ずる改正種苗法案が、大型連休明けにも国会の審議に入る。国民の命を育む食料の問題だ。コロナ禍のどさくさ紛れの通過は、許されない。
現行の種苗法により、農産物の新しい品種を生み出した人や企業は、国に品種登録をすれば、「育成者権」が認められ、著作権同様、保護される。
ただし、農家が種取りや株分け
をしながら繰り返し作物を育てる自家増殖は、「農民の権利」として例外的に容認されてきた。
それを一律禁止にするのが「改正」の趣旨である。原則容認から百八十度の大転換だ。優良なブドウやイチゴの登録品種が、海外に持ち出されにくくするためだ、と農林水産省は主張する。果たして有効な手段だろうか。
もとより現政権は、農業に市場原理を持ち込むことに熱心だ。
米や麦などの優良品種の作出を都道府県に義務付けた主要農作物種子法は一昨年、「民間の開発意欲を阻害する」という理由で廃止。軌を一にして農業競争力強化支援法が施行され、国や都道府県の試験研究機関が保有する種苗に関する知見を、海外企業も含む民間企業へ提供するよう求めている。そこへ追い打ちをかけるのが、種苗法の改正だ。
対象となる登録品種は、今のところ国内で売られている種子の5%にすぎず、農家への影響は限定的だと農水省は言う。だが、そんなことはない。
すでに種子法廃止などにより、公共種子の開発が後退し、民間種子の台頭が進んでいる。その上、自家増殖が禁止になれば、農家は許諾料を支払うか、ゲノム編集品種を含む民間の高価な種を毎年、購入せざるを得なくなる。死活問題だ。小農の離農は進み、田畑は荒れる。自給率のさらなる低下に拍車をかけることになるだろう。
在来種だと思って育てていたものが実は登録品種だったというのも、よくあることだ。在来種を育てる農家は絶えて、農産物の多様性は失われ、消費者は選択肢を奪われる。そもそも、優良品種の流出防止なら、海外でも品種登録をした方が有効なのではないか。何のための「改正」なのか。
種子法は、衆参合わせてわずか十二時間の審議で廃止になった。種苗法改正も国民の命をつなぐ食料供給の根幹にかかわる問題だ。
今度こそ、十二分に議論を尽くしてもらいたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年04月25日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【社説②】:農業基本計画 「足腰」鍛える政策を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:農業基本計画 「足腰」鍛える政策を
農政の指針を示す「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定された。五年に一度の改定だ。コロナ禍なども背景に、官邸が主導する農業の大規模集約化、輸出振興偏重からの転換の兆しも見える。
新たな基本計画は、カロリー換算の食料自給率を、二〇三〇年度に45%へ引き上げる目標を柱に据えている。一八年度には37%と過去最低に落ち込んだ。
現政権は農産物の輸出を「成長戦略」の一つとし、「担い手」と呼ばれる地域の中核農家に農地を集約、大規模効率化で農家の所得を向上させ、自給率を引き上げるという戦略を採ってきた。
ところが、農産物市場開放の嵐が吹き荒れる中、優良品種の開発を都道府県に義務付けた主要農産物種子法を廃止するなど、「国産」の不利になるような、ちぐはぐな政策を打ち出してきた。
農業就業者は一五年の二百八万人から昨年は百六十八万人に減少した。このうちの約七割を、六十五歳以上が占めている。耕作放棄地は滋賀県の面積と同じくらいに広がった。
「足腰」が弱っては、世界との競争に勝ち抜けるはずもない。生産基盤の強化こそ、焦眉の急である。そこで新基本計画は「経営規模の大小にかかわらず、生産基盤の強化を図る」旨、明記した。
コロナ禍で物流が停滞し、海外依存へのリスクが顕在化したこともある。急きょ「新たな感染症への対応」として、「(海外依存の)この状況を速やかに解消し、生産基盤・経営の安定を図ることが重要である」などと書き込んだ。
官邸主導の大規模集約化だけでなく、新規就農者を呼び込み、都市近郊や中山間の農地を守る地域政策にも力を入れるという。このような基盤強化政策こそが求められていたのではなかったか。
農業者の側も、新たな道を模索し始めた。例えば大規模化が困難な都市近郊で農地を探し、新規就農する若い世代が増えている。
都会のレストランと契約し、そのニーズに合わせた多種多様な食材を、日々少量ずつ速やかに送り込む-。都市近郊のハンディは、強みにかわる。
都会の人に「週末農業」の場を提供するレクリエーション農園も増えている。自ら土に触れた消費者が、国産志向に目覚める効果もあるという。
就農の仕方も、農地が生み出す価値も多種多様。育ち始めた芽を伸ばす、具体策を望みたい。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2020年04月16日 06:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
【世界食糧計画(WFP)】:過激派襲撃の西アフリカで550万人食料危機の恐れ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【世界食糧計画(WFP)】:過激派襲撃の西アフリカで550万人食料危機の恐れ
世界食糧計画(WFP)は4日までに、イスラム過激派の襲撃が相次ぎ国内避難民が急増する西アフリカのブルキナファソ、マリ、ニジェールで約390万人が食料危機に陥っていると発表した。
今後、新型コロナウイルス流行や気候変動で約550万人に増える恐れがある。
WFPによると、各国は感染予防のため全学校を閉鎖しており、給食がほぼ唯一の栄養源だった児童に影響が出かねない。物流が止まるなど経済も打撃を受け、WFPは「継続的な支援がないと、事態が制御不能になる」と訴えている。
ブルキナファソでは今年初めに約56万人だった避難民が約78万人に増え、3カ国で最も食料危機の影響を受ける可能性があるという。
各国では、国際テロ組織アルカイダや過激派組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う勢力が台頭。牧畜民と農民の間で土地を巡る争いが発端となった殺りくも頻発している。(共同)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【事件・アフリカ・世界食糧計画(WFP)】 2020年04月04日 17:21:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。