路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説】:同性婚否定「違憲」判決 一刻も早く国は法整備を

2023-06-02 07:00:35 | 【LGBTQ+=レズ、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダ...

【社説】:同性婚否定「違憲」判決 一刻も早く国は法整備を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:同性婚否定「違憲」判決 一刻も早く国は法整備を

 婚姻の平等へ道を開こうと促す司法の強いメッセージだ。

 同性婚を認めない民法や戸籍法の規定が憲法に違反すると、名古屋地裁が判決を出した。5地裁で起こされた同種の訴訟のうち4件目で、「違憲」は札幌地裁に続き2例目となった。

 自ら選択や修正の余地がない性的指向を理由に婚姻に制約を課す実態は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとした。つまり同性カップルへの差別的な扱いだとの指摘である。

 とりわけ画期的なのは、婚姻の自由を定めた憲法24条2項にも違反するとし、札幌地裁より踏み込む判断を示した点だ。

 2項は、結婚や家族に関する法律は「個人の尊厳」に立脚すべきだと規定する。これを起点に、同性カップルが重大な法的利益のある法律婚から一切排除された現状を放置することは、合理性を欠くとした。

 少数者に寄り添う、まっとうな判断だ。少数者は差別を受けやすく、偏見の対象にもなりやすい。その救済は司法の責務との姿勢を感じ、うなずける。国は重く受け止め、一刻も早く法整備に着手すべきである。

 判決は、多くの同性カップルが法律婚が認められずに大きな不利益を被っていると、繰り返し言及した。原告の男性カップルは購入したマンションを共同名義にできず、パートナーがかかった病院で家族として扱われるか不安がる。異性カップルとの格差が、いかに理不尽か。今回の判決後、当事者たちが上げた「生きていく勇気をもらった」との言葉ににじみ出る。

 判決は違憲と判断した大きな理由として、社会情勢や国民意識の変化を挙げた。

 現行制度は伝統的な家族観に根差し、子を産み育てることに婚姻の意義を見いだす人は依然として少なくない。そうした現状を認めつつ「近年家族の多様化が指摘され、伝統的な家族観が唯一絶対のものではなくなっている」とした。共同通信社が今春実施した世論調査でも同性婚を認める人は7割を超えた。市民感覚に近い判決と言える。

 同性婚を認めない現状を「立法裁量を超えている」とした指摘に国会議員は耳が痛いはずだ。同性婚を認めても国民に不利益は生じず、「伝統的な価値観を重視する国民との間でも共存する道を探ることはできる」と促した点も見逃せない。世論の溝を埋める議論をし、時代に応じて国民の権利を保護する手だてを示すことこそ、国会がやるべき仕事ではないだろうか。

 LGBTを含む性的少数者への理解増進法案を巡っても与野党の協議は停滞する。当初は超党派で2年前にまとめた法案を土台に議論したが、与党は「差別は許されない」との文言を後退させた修正案を提出。結局、与党案、2年前の法案をそのまま出した立憲民主党・共産党・社民党の案、日本維新の会と国民民主党の案の計3案が並び、審議入りは見通せない。

 国民の意識と与党案の乖離(かいり)は明らかだ。特に保守派の意向を優先する自民党は司法のメッセージを重く受け止めるべきだ。

 先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)の首脳声明は「あらゆる人々が性自認や性的指向に関係なく、差別のない人生を享受できる社会を実現する」とうたう。まとめた議長国として実行する責任がある。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年06月02日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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