【天風録・05.01】:台湾と能登
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・05.01】:台湾と能登
豆乳に酢を入れ、ほろほろになったスープは朝一番の口に優しい。夜市では香辛料の利いた焼き肉まんを頬張った。台湾への旅行中、現地ガイドから1日3食全ての外食は茶飯事と聞いた
▲胃を満たし熟睡していた翌日夜明け前、横揺れで飛び起きた。台湾東部沖地震の余震は、100キロ以上離れた台北市の宿泊先にも及んだ。頭をよぎったのは4月初旬の本震の映像である
▲ビル損壊や崖崩れは怖いが、避難所は日本と違った。発生から1日もたたないうちにテントが整備され、日常の外食文化をほうふつとさせる温かい食事も。温水シャワーやクリーニングの衛生面だけではない。無料Wi―Fiと、かゆいところにも手が届く
▲日頃から行政とボランティア団体が連絡を取り合うらしい。必要な物資や被災者のニーズに沿い、事前に役割分担する。過去の台風や地震の教訓を生かす仕組みだ。災害大国のこちらはと、ため息をつきたくもなった
▲きょう能登半島地震の発生から4カ月。行政が当初制限したボランティアは増えつつある。なりわいの再開や、復興まちづくりで東日本大震災や熊本地震の被災者が手を貸す。日本らしい助け合い文化を見せる番でありたい。
元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年05月01日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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