【社説①・03.04】:岩手の山林火災/消火と住民支援に総力を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.04】:岩手の山林火災/消火と住民支援に総力を
岩手県大船渡市で2月26日に起きた山林火災は延焼が止まらず、鎮火の見通しは立っていない。被災した住民らは不安と恐怖、深い疲労の中にある。国や自治体は人命を最優先に消火作業に総力を挙げるとともに、住宅の確保など被災者の生活支援に万全を期してもらいたい。
焼失面積は少なくとも2100ヘクタールに及び、平成以降で国内最大の山火事となった。これまでに80棟を超す住宅などが焼失・焼損したとみられ、1人が遺体で見つかった。出火の原因は分かっていない。
岩手県沿岸南部では、降水量が平年に比べて極めて少ない状況が続いている。大船渡市では乾燥と強風の注意報が連日出されていた。日本海側に大雪が降った後、太平洋側には強い風が流れ込み、火勢が強まったとみられる。地表に積もる落ち葉などが乾いて燃えやすい状態にあったことも延焼拡大につながった。
同県沿岸部はリアス式海岸と険しい山地という複雑な地形で、多くの起伏や急傾斜があり、地上からの消火は難航を極める。消防や自衛隊がヘリコプターで上空からも懸命の消火活動を続けているが、火の勢いは収まる気配が見えない。大火の恐ろしさを改めて思い知る。
この火災による避難指示の対象は4500人を超えた。住民らの健康が心配だ。寒さが続く中、避難生活が長期化する可能性もあり、心身のストレスなどで体調を崩す懸念がある。行政は専門家を派遣するなど、対策に注力してほしい。
大船渡市は14年前の東日本大震災の津波で被災した地域だ。避難者の中には家族を亡くしたり、自宅を失った人もいる。山火事は一気に広がり、自宅の様子が気になっても見に行けない人も多いという。県や市は被害状況の把握を急ぎ、仮設住宅の準備など、暮らしの再建に向けた支援策も急ぐ必要がある。
山林火災は各地で相次いでいる。大船渡市に隣接する陸前高田市でも山火事があり、山梨県大月市や長野県上田市などでも発生した。海外でも多数の死者が出た米ロサンゼルス近郊やハワイなどで大火があった。地球温暖化の影響も指摘される。
総務省消防庁などによると、山火事は年平均約1300件発生し、うち7割が1~5月に起きている。出火原因の多くがたき火や野焼きの際の火の不始末などという。火の取り扱いにはくれぐれも注意せねばならない。農林業に携わる人の高齢化などで山林の手入れが滞って枯れ草などが増え、火が燃え広がりやすい状況となっている点も懸念される。
大船渡の火災の一刻も早い収束を願うとともに、私たちも身の回りの備えや対策を確認したい。
元稿:神戸新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月04日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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