【HUNTER・01.08】:萩生田氏を追い詰める自民党東京都連の裏金疑惑
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・01.08】:萩生田氏を追い詰める自民党東京都連の裏金疑惑
「今年は、まさに選挙イヤー。参議院選挙と東京都議選のダブル選挙だ」――自民党の幹部はそう言いながら新年のカレンダーに予定を書き込んだ。
昨年12月、自民党の裏金議員はこぞって政治倫理審査会に出席。「派閥が……」「秘書が……」と逃げを打ち、ほとんど真相究明にならなかった。自民党の裏金議員は約90人。衆議院選挙で落選した議員もいるが、「当初、年内に衆参すべての議員が政倫審に出席して幕引きする予定だったが、あまりに数が多過ぎて年明けの国会に持ち越さざるを得なかった」と前出の自民党幹部がため息をつく。その政倫審出席者の中で最も注目されたのは、萩生田光一衆議院議員だった。
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安倍派5人衆の一人で、一度は取りやめになったキックバックの再開について大きなカギを握る人物とされていた萩生田氏。しかし「政治資金パーティーの運営や会計に関与する立場にも、知り得る立場にも、ありません」「キックバックを中止と決めその後、再開ということですがその協議にもかかわっていない。報告もない」と関与を完全否定した。
だが一方で「平成15年に衆議院で初当選した時、ノルマを超過して販売したものが政治活動費として戻されると説明があった」と発言し、キックバックが20年以上も前から行われていたことを認めている。
20年間、ずっと黙ってキックバックを受け続け、その間に閣僚や党三役を経験して安倍晋三元首相の最側近となった。本サイトでも報じてきたが、検察が不起訴にした萩生田氏の裏金問題は、国民目線でながめると「グレー」としか思えない(既報)。
その萩生田氏に政倫審で舌鋒鋭く迫ったのが、立憲民主党の米山隆一衆議院議員。萩生田氏はが裏金2,728万円を「パーティー券専用の口座があった。そこで売上を管理して(キックバックなどが)あったりした。またその口座は使用するので、すべて引き出し(裏金を)事務所の机の中で管理していた」とする釈明に疑念を示した。
「かなり奇怪なことをされますね。現金でもらったものを現金で机に(しまっておく)というのならわかります。しかし、銀行口座にあるものを(おろしてから)机に入れる――。なんのために帳簿があるのか」
2020年5月に経産相として外遊した萩生田氏の政治資金収支報告書を確認してみた。すると裏金事件発覚後に、アメリカ外遊の3日間で約32万円(5月3日)、約8万円と約9万円(5月4日)、約9万円(5月5日)が会食費として修正追記されている。裏金事件が発覚していない時点で、計上されていたなかった会食費だ。要は、裏金がバレて裏金で会食費を支払ったことを「自白」しているということだ。
「あのアメリカでの30万円、現金で払ったのか、ドルで数えて払ったのか?」「30何万も飲食するのに、カード使うしかないが」と迫る米山氏。これに対し萩生田氏は「私が支払ったのではない。カードで払った分もあれば現金もある」――。それなら、カードで払った分だけでも明細を公開すべきだろう。
萩生田氏には、身内の自民党裏金議員からも「不満」があがっている。疑問を投げかけたのが、稲田朋美元防衛相。「安倍会長から2022年5月にノルマ超過分の還付はしないと聞いた。その時はじめて還付のことを知った」「安倍会長がやめると決断したが、いつ誰がなぜ復活させたのか。幹部は明かすべき」と述べ、萩生田氏をはじめとした安倍派5人衆に説明責任を求めた。前出の自民党幹部も「萩生田氏はますます追い込まれつつある」と語る。
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本サイトでも報じてきたが、萩生田氏が会長を務めていた自民党東京都連が2023年と2022年に開いた政治資金パーティー券の収入の一部が、政治資金収支報告書に記載されてなかったことが判明。都連は報道を受けて訂正したが、不記載額は832万円と大きい。神戸学院大学の上脇博之教授が、萩生田氏や東京都連の会計責任者らを政治資金規正法違反の容疑で刑事告発したことが分かっている。
告発状の中で上脇氏は、不記載について《被告発人萩生田光一、同代表者兼会計責任者である被告発人遠藤衛及び同事務担当者である被告発人加藤賢一がお互いに共謀した結果であろう。被告発人らは、政治資金規正法第26条の3第3号違反に該当する》として、萩生田氏と会計責任者らとの共謀を指摘している。
この件については朝日新聞も、昨年12月25日の朝刊で《東京都議会の自民党会派が開催した政治資金パーティーをめぐり、会派事務局が政治資金収支報告書に記載しなかった収入の総額が直近5年間で3千万円前後に上る疑いがあることが、関係者への取材で分かった。政治資金規正法違反の虚偽記載罪(公訴時効5年)の立件目安は3千万円とされ、東京地検特捜部は、同法違反(虚偽記載)の疑いで会派の会計担当職員の聴取などを進め、立件の可否を検討している》と報じた。
検察から事情を聞かれたある東京都連関係者は、筆者の取材に対し「NHKと読売新聞も同じような記事を出してきましたね。いよいよカウントダウンがはじまったという東京都連の幹部もいます。ひやひやしながらのお正月でした。安倍派などの裏金事件も含め、年明け直後に政治とカネで強制捜査となる可能性があります。本当に気が重い」と話している。
都連の最高責任者は会長だった萩生田氏。「Xデー」に注目が集まる状況だ。
元稿:HUNTER 主要ニュース 社会 【自民党・政治とカネ・東京都議会の自民党会派が開催した政治資金パーティーをめぐり、会派事務局が政治資金収支報告書に記載しなかった収入の総額が直近5年間で3千万円前後に上る疑い】 2025年01月08日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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