【社説①・10.10】:衆院解散 総選挙へ 基地負担軽減も争点だ
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・10.10】:衆院解散 総選挙へ 基地負担軽減も争点だ
衆院が9日解散された。27日の投開票に向けて事実上の選挙戦に突入した。
解散に先立ち自民党は、派閥裏金事件に関係した旧安倍派の議員ら12人の非公認を発表した。執行部の判断に公然と不満を示す議員もいる。党内対立を抱えたまま自民は選挙に臨む。
これに対して立憲民主党の野田佳彦代表は「大半が公認で、裏金隠し解散だ」とし「政権交代が政治改革」と訴える。
ただ、野党の足並みはそろっていない。
立民は不記載がある議員の選挙区で野党の候補者を一本化する案を主張するものの、調整は難航している。
2021年衆院選以来となる政権選択の機会である。最大の争点は政治改革だ。
岸田文雄政権下では「政治とカネ」問題や旧統一教会問題など課題が噴出した。
自民が公明の賛同を得て成立させた改正政治資金規正法も、使途報告などに抜け穴を残し、中途半端なものだった。国民の政治不信はかつてないほどに高まっている。
再生を掲げ石破茂政権が発足したものの、早くも総裁選での公約を相次いで翻し、あるいは後退させている。
新首相の選出から8日後の解散は戦後最短だ。
石破氏は「国民に判断材料を提示するのは政治の義務」としたが、義務を果たしたとは言えない。
首相の「言行不一致」はもう一つの争点となろう。
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沖縄が抱える問題も多い。
県民1人当たりの所得が全国一低い県内では、物価高騰の影響も深刻だ。
コロナ禍後の観光業の回復を受け、県内景況は好調に推移している。好循環を賃上げに結び付ける政策が求められる。
米軍普天間飛行場の危険性除去も急がなければならない。辺野古新基地建設の供用開始には12年以上かかる。その間の危険性除去をどうするのか。
敵基地攻撃能力の保有を明記した安保関連3文書の閣議決定など、岸田政権下では安全保障政策が大きく転換した。
その影響を最も大きく受けたのが沖縄だ。自衛隊の「南西シフト」が加速。日米の軍事一体化も一層進んでいる。
日米地位協定の改定をはじめ、基地負担軽減を求める県民の声にどう応えるのかも問われている。
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県内4選挙区には17人が立候補を予定している。
1区は現行の区割りとなって最多の5人が名乗りを上げるなど乱戦の様相を呈している。
「オール沖縄」勢力が1区と4区で分裂選挙となる見込みなど、従来の自公対オール沖縄の対立構図にも変化が起きている。
来年夏には参院選、再来年には知事選と県内は大きな選挙が続き、衆院選はその初戦に位置付けられる。
結果は、参院選や知事選にも影響を及ぼす。
各党は対抗軸をより明確にし、有権者に選択肢を提示しなければならない。
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